番外編6 誰も知らないおとぎ話1 病みを繋いだ者

番外編6


昔、昔、ある所に小さな集落がありました。


そこには鬼が住んでいました。


誰よりも愛に生き、誰よりも愛に囚われ、誰よりも愛に苦しめられた…


…可哀想な鬼が。


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彼女は生まれた時から鬼の様な物が頭にありました。


ですが、歴とした人間でした。


最初は親に隠されて生きていました。


ですが、そう長くは持ちませんでした。


彼女は親から離され、閉じ込められました。


勿論、親は殺されました。


「お前は鬼の子なのだ!」


集落の人々による心無い言葉、仕打ちが彼女を犯していきました。


彼女は怒り、恨み、全てを呪い始めました。


それが実現化したかの様に集落に様々な不幸が訪れます。


そして、それがより人々を駆り立てて…


しかし、そんな彼女を助けようとする存在が居ました。


「大丈夫?ごめんね、いつもこんな事しか出来なくて…」


彼は話し掛けてくれました。


彼は食べ物をくれました。


彼は心を向けてくれました。


彼だけが彼女の光でした。


ですが、現実は残酷です。


「おい、鬼!聞こえるか?お前にたぶらかされた男は今日死ぬんだ。お前なんかに優しくするだとか、あの男もとんだキチガイだよなぁ!」


死ぬ?


彼が死ぬ?


また、私のせいで?


殺された両親の様に、彼もまたコイツらに奪われるのか?


「嫌だ…」

「ん?何か言ったか、鬼?声が小さくて聞こえんぞ?」

「殺すって言ったんだ。」


その瞬間、彼女を閉じ込めていた檻も、目の前の人間も吹き飛びました。


到底、人間の成せる術ではありません。


そう、彼女は…


「彼以外…皆殺しだ!」


…本当の鬼に成ったのです。


続く

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