第2話 病みを継ぐ者
第2話
伊織side
私は霧崎 伊織。
竜馬お兄ちゃんの
今日は大好きなお兄ちゃんと遊ぶ日なのです!
でも…
「何でお前が此処に…」
「お前じゃないよ、お義姉ちゃんだよ?」
私の嫌いな雨崎 朱里(表朱里)が居たのだ。
「お兄ちゃん!」
「偶然会ってな。皆で遊ぶ方が楽しいだろ?」
鈍ちんめ…
まぁ、良いや…
頑張ってお兄ちゃんを独り占めして…
「今日は伊織ちゃんが居るから、久しぶりにオママゴトでもしてみる?私達が夫婦役で、伊織ちゃんが我が儘な娘役でさ!」
「朱里ちゃん!?」
ゆ、油断も隙もないなコイツ…
下手をすると全部持っていかれる…
「お兄ちゃん私と夫婦役をやろう!そこの朱里ちゃんは煩い姑役にしてさ!」
「り、リアルおままごとかな?」
でも、朱里ちゃんは実際にそうなりそうだし…
「ねぇ、お兄ちゃん!」
「ねぇ、リュー君!」
「「どっちを選ぶの!」」
変わらぬ日常、変わらぬ関係。
私はそれを楽しんでいた。
だが、そんな物はあっさり崩れる物だ。
私は今日思い知らされる。
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帰り道、私達は一緒に帰っていた。
何気ない風景、代わり映えのない景観。
私は朱里ちゃんに悪態をつき、朱里ちゃんは受け流して私をからかい、お兄ちゃんがそれを見て笑う。
だが、それを奪う運命が近付いていた。
「なっ、危ない!」
お兄ちゃんが急に私を突き飛ばした。
その瞬間、お兄ちゃんと朱里ちゃんは吹き飛び…
「えっ…」
一瞬、何が起きたのか解らなかった。
そして、何かが飛び散ってきて…
「何これ…紅い……」
私の頬に紅い液体が付いていた。
ああ、良い匂い…
鉄みたいなのに香ばしくて…
『ごめんね。傷付ける事しか出来なくて。でも、大好きだよ、○○…』
『俺もだよ。だから、君の好きな様にね。』
『ありがとう、○○。
頭の中に存在しない記憶が浮かぶ。
でも、何処か懐かしい…
「そんな場合じゃない!お兄ちゃんは!」
慌ててお兄ちゃんを探すと、血塗れで倒れていた。
動く気配はない。
まるで石ころの様に転がっているお兄ちゃんの姿を見て、私は…
「あはっ♪」
思わず、そんな声が出た。
だって、綺麗なのだ!
いつもカッコいいお兄ちゃんが、よりカッコよく見えるのだ!
ズルいよ、お兄ちゃん…
「大好き!大好き大好き!大好き大好き大好き!ああ、心の底から大好き!」
もう、私の大好きが止められない!
この時の私を見られていなくて良かった。
今なら解る。
この時の私は間違いなく…
「ああ、お兄ちゃん♪お兄ちゃんお兄ちゃん♪お兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃん♪」
悪魔の様に嗤い…
「…美味しそう♪」
…鬼の様な言葉を呟いていたのだから。
続く
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