第14話 二人ぼっち

第14話


最後の力を振り絞って、リュー君の元へ急ぐ私。


くそ、精神的な疲労が肉体にも溜まってきてるじゃないか!


最後の最後までロクな事をしない化け物だ…


「大丈夫か、朱里?」

「えっ、リュー君!?」


何で居るの?


私から向かおうとしてたのに…


「昨日、少し不安になってな…。かなりお前に会いたくなってたんだ…」


何それ嬉しい…


惚れるじゃん…いや、惚れてるんだけどね?


でも、これも今日で最後だ。


早く終わらせないと、私が辛くなるだけだ…


「ごめん、リュー君…」

「ん?何だ、朱里?」

「私はこれからリュー君に酷い事をするの…」


いや、何度も何度もやってきた…


でも、元凶は消した。


だからこそ、此処で終わりにしなければいけない。


私が本当にリュー君と未来を歩む為にも。


「大丈夫だよ、朱里…」

「りゅ、リュー君!?」

「俺は君の全てを受け入れる。例え、君に殺されるような目にあってもね。」

「えっ…」

「だから、思いっきりぶつけてこい!」


と、手をばっと広げて受け入れるポーズを取るリュー君…


はは、私も歪んでるけどさ…


「リュー君も大概じゃん…」

「…?……何がだ?」

「愛情度♪」

「当たり前だ!」


…よし、行こう。


これが私の最後のループだ。


「来い、朱里!」

「行くよ、リュー君!」


胸に飛び込み、思いっきり刃物を心臓へと捻り込む。


リュー君は血を吐きながら、後ろへと倒れ込み、私はそれに続く。


そして、抱き合う様な形になり…


「ふふ、また今度ねリュー君♪」

「ああ、また今度だな朱里。」


こうして、二人は冷たくなっていく。


当然だ、私は別の世界に行くという事は、私の身体から私の魂は消え去るのだ。


そして、もう私の身体には化け物も居ない。


故に、あの身体は空っぽなのである。


死がふたりを分かつまで、分とうとも一緒にあり続けられるのは嬉しかった。


(元に戻っても、私を選んでくれると嬉しいな。)


表朱里ルート

トゥルーエンド 『二人ボッチ』


続く


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「はい、表朱里ちゃんの物語は一旦此処で終了です。」


ご愛読、ありがとうございました。


でも、物語はまだまだ続きます。


えっ、私は誰かって…


唯の傍観者ですよ、唯のね…


では、次の物語をお楽しみください。


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