第7話 こうして俺達は中学でも二人になった

第7話


奴等の天敵…というとカッコいい感じになるが、分かりやすく言うと先生という存在が来るまで俺は…


「くそっ、コイツ軟体動物か!」

「クネクネしてて気持ち悪い!発狂しそう!」


誰が都市伝説の怪異だ!


お前も案山子にしてやろうか、あん?


と、全員をあしらい続けていた。


こんな奴等、マトモに戦ってやるまでもない。


あの耄碌女難クソ爺の方がコイツ等の百倍強いし、楽しいからな。


でも、油断はしない。


「全く、疲れるだけじゃねぇかコレ…」


そして、喧嘩という名の俺の独壇場セカイが始まって数分間が経った。


奴等も息が切れ、疲れが見え始めた。


うーん、そろそろかな?


「お前ら何をやってるんだ!」


ふぅ、やっと来た。


お前らの天敵、先生の登場だ。


「あっ、そうそう。君達は反論しても無駄だからね。このカメラに真実が映ってるから。」


と、この事態を止めに来た裏から出てきた朱里がそう告げる。


彼女は奴等が俺に襲いかかった時から、隠れて事態を見ていた。


そして、こっそり撮影も。


そのお陰で助かったけど、もう少し早く呼んでくれても良いじゃんか…


途中、お前興奮して忘れかけてたろ…


最終的に呼んでくれたから、ありがたいけどさ…


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その後、あの先輩達は停学処分となった。


まぁ、俺は普通に無事だったし、充分ちゃ充分か?


俺?


孤立しましたね…


何かヤバい奴として…


…俺被害者なのに、酷くない?


まぁ、隣に朱里が居るから良いんだけどさ。


「そういえば…朱里は大丈夫だったか?」

「ん?何の事?」

「お前、他の女子達を睨んでたじゃん。」

「ああ、アレね。ちょっと、お話しただけだよ。」


そうか、何か笑顔が怖いが大丈夫と言うのなら、大丈夫なのだろう。


彼女はそういう存在だ。


「最近の子は弱いよね。少し殺気を漏らしただけでガクブルするんだもん。」

「お前も最近の子だろう。それに、お前の殺気は冷たく鋭いんだから、当然だろ?」


俺も時々浴びてるから解るけど、下手したら失禁ものだぞアレ…


怖いし、恐い。


どんな生き方したら身につけられるんだろうな?


割と普通の女の子なのに…


「でも、良かったよリュー君♪」

「何がだ?」

「これで、私達は二人きりで居られるね♪」


と、何処か歪んだ様ないい笑顔で、朱里はそう告げる。


ああ、本当に可愛いな。


「ふっ、そうだな!」


俺にとって嬉しい限りだ。


どうせ、俺はお前しか居ないのだから。


「これからも宜しくね、リュー君♪」

「ああ、宜しく頼むよ朱里。」


この日々が長く続けば良いのになぁ…


唯…


(気持ち悪い…)


…そんな声が聞こえた気がした。


続く

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