第8話 口出す権利

第8話


Aルート


送っていく


「何言ってんだ、バカ。お前の様な美少女を一人で帰す訳がないだろ。」

「なっ、美少女!?…おっほん、そうだね。なら、私をちゃんとエスコートしてくれるかい?」

「仰せのままに、お嬢様。」

「ぷっ、似合ってないねぇw」

「言うな。俺もそう思ったから…」


慣れない事はする物じゃない。


ていうか、めっちゃ恥ずかしくなってきた…


ヤバい、キツイなコレ…


「なぁ、同類?」

「何時まで君は私を慰めてくれるんだい?」

「何だ、いきなり…」

「良いから、答えて。」


急に真剣な目を向けるなよ…


ビックリするだろうが…


でも、答えは決まっている。


「お前の気が済むまでだ。事によっては、ちゃんと責任も取るつもりさ。」

「…そうかい。勿論、私も同じ結論だから、覚悟しておくように。」

「解ってるよ…」


少しだけ心地よい夜風が吹く道を、二人で歩いていく。


ほんの少し…ほんの少しだけ……


…こんな日常も良いかと思った竜馬だった。


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翌日、今日も今日とて何となく過ごす一日を送る竜馬。


昼休憩となり、いつも香織と食べている屋上へ向かおうとすると…


「少し待ってくれないか?」

「ん?俺、急いでるんだけど…」


メガネを掛けている見知らぬ男子に呼び止められた。


後ろには、恐る恐る此方を見る女子も見える。


ていうか、よくよく見れば何処かで見た事がある様な…


「頼む、少しだけで良いから…」

「…はぁ、仕方がないか。で、何の用だ?」

「香織…花崎 香織についてだ。」


香織について?


コイツ、香織の友達か何かか?


でも、アイツに女なら兎も角として、男友達は…


いや、まさか…


「俺は半崎はんざき 直人なおとだ。」


直人、昨日聞いた名前だ。


そうか、コイツが…


なら、俺の行動は一つだ。


「すまんが、前言撤回だ。俺はお前とは話さないし、話すつもりもない。」

「待て!お前は香織と付き合ってるのか?」

「はぁ?」


何を言ってるんだ、コイツ?


俺と香織が付き合ってる訳ないだろ…


「凪子ちゃんから話を聞いた。もし、そういう関係なら、俺は何も言わない。だが、そういう関係でも無いのなら、俺は…」


2回目の何を言ってるんだ、コイツ?


全く、反吐が出る…


「確かに俺と香織は付き合ってないよ。」

「なっ!ふざけるな!なら、直ぐに…」

「だが、お前はそんな事を言える立場なのか?」

「そ、それは…俺とアイツは友達だからだ。心配して何が悪い!」

「それは立派だ。ご立派過ぎて笑えてくるレベルだよ。だがな、お前に人と人との関係に口出しする権利が有るのか?」

「それは…」


黙るのなら、語るんじゃねぇよ。


はぁ、本当に面倒だ…


「もう、俺に関わるな。俺と香織の関係は俺達が決める事だ。お前に干渉される問題じゃない。」


俺はそう言って、この場を立ち去る。


はぁ、気分が削がれた…


早く行って癒やされよう、そうしよう…


続く

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