第9話 面倒事は次々と
第9話
「…という事があったんだよ。本当に疲れた……」
「…そうかい。お疲れ様だ。」
俺が香織用に作った弁当を彼女に渡し、一緒に食べながら先程の事を喋っていた。
案の定、香織は嫌な顔をしている。
「もう関係のない話だろうにねぇ。それに私の事情に口出しするなんて傲慢すぎる。」
「そうだな…」
「何で私はそんな奴を好きに…」
「やめろ、それ以上は自分を傷付けるだけだ。」
「…そうだね、申し訳ない。」
好きだからこそ、傷付いた。
傷付いたからこそ、離れる事を選んだ。
唯、それだけだ…
「私って子供なのかな?」
「…かもな。俺もそうだが、人から見ればしょうもない理由で意地になってる子供にしか見えないかもしれない。」
「そう…だね……」
「まぁ、だから俺達は慰め合ってるんだろう?お互いの傷を癒やして、大人になる為に。」
まぁ、未だに癒えないので、この関係は当分長引きそうだ。
下手したら、先に二十歳になるかもなぁ…
「ふふ、大人か。その時は一緒にお酒でも飲むかい?」
「良いね。一緒に飲み明かそうか。」
「はぁ、暗くなって損した気分だよ。ほら、気分をよくする為に私に膝枕されたまえ。」
「了解、大人しくされますよ。」
と、先程まで気持ちは晴れ、さっぱりとした気分になれた。
ていうか、かなり心地よくて眠い…
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放課後、今日も二人で帰る俺達。
「今日はどうする?」
「うーん、今日は溜めておいた本を一気に消化するから、別に良いよ。」
「そうか。まぁ、俺もやりたいゲームがあるし…」
たまには、こういう日も良いか…
そう思っていると、目の前に立ち塞がる者が現れた。
俺はコイツを知っている。
はぁ、面倒だ…
「ちゃんと向かい合って喋るのは久しぶりだな、竜馬。」
「そうだな、
コイツの名は。
まぁ、俺は嫌なんだけどな。
何故なら、コイツは…
「で、何の用だ?」
「何って勧誘だよ、もう一度サッカー部にお前を入れる為にな。」
「無理、嫌、断る。じゃあな。」
「そうか、悪いな。じゃあ…って、違う!」
「ちっ、勢いでもダメか…」
はぁ、本当に面倒な奴だ。
「何だい、コレは?君の友達かい?」
「昔のな。今は破綻してるし、関わる気もない。邪魔になるだけだろうしな。」
俺の耳にコソコソと話し掛けてくる香織に、そう答える俺。
ていうか、それやめてくれません?
俺、耳が弱くてソワソワするんだけど…
「ん?何だ、お前…良い奴を見つけたんだな!朱里を避けてるみたいだから、まだ未練タラタラなんだと思ってたぜ!」
……………………………………………………はぁ?
ふざけるなよ、俺が…
俺がどんな気持ちで、お前に朱里を……
………お前が朱里と付き合い始める瞬間を見てたと思ってるんだ?
「…帰るぞ。」
「そうだね…」
「あっ、おい、待て!」
「これ以上は良したまえ。これ以上は、彼の我慢の限界だからね。」
香織が賢人を制止し、その隙に俺は前へと歩いていく。
とんだ厄日だ、今日は…
「ごめん、同類。今日も私の家に来るかい?」
「………うん。」
「…だよね。まぁ、どの道今の君はほっておけないよ。断っても無理やり連れていくつもりだったさ。」
こうして、俺は香織に連れられながら、彼女の家を目指す。
ちくしょう、やっぱりダメダメだな俺…
続く
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