第4話 厄日

第4話


目の前に、朱里が居る。


最悪だ、神様はどうやら俺達を苛める事がマイブームらしい。


全く、嫌なマイブームだな…


「ね、ねぇ、リューくん。何でこんな所に?」

「別に良いだろ、お前には関係ない話だ。」

「そ、そんな…」


くそっ、だから何でそんな悲しそうな顔をするんだよ!


はぁはぁ、苛立ちが止まらない。


自分が自分じゃなくなりそうで、どうにかなりそうだ!


「ほら、落ち着いて。」

「すまん、香織…」


俺が我を失いそうになっている時、香織が俺の手を握る事でも呼び止めてくれた。


しっかりと握った事で、嫌でも相手の熱が此方に伝わってくる。


ありがとう、香織。


お前のお陰で正気に戻れたよ。


だから、今回はサラッと恋人繋ぎにした事は許してやる。


「…ふぅ。朱里、はこれから本屋に行くんだ。だから、邪魔をしないでくれ…」

「じゃ、邪魔!そ、そんなつもりじゃ…」

「…じゃあな、朱里。行くぞ、香織。」


俺達は手を繋いだまま、朱里の元を去っていく。


はぁ、気分が悪い…


「よく頑張りました。赤ペン先生が花丸をあげようじゃないか。」

「はっ、嫌な赤ペン先生も居た物だ。進研ゼミも堕ちたな。」


そう答えると、香織は無い胸を張りながら物凄いドヤ顔で…


「私は学年1位だからね。墜ちるどころか、持ち上げてみせるさ。」

「くっ、勉強強者め…」


因みに、最近はコイツに教えて貰っているので、やっと上位陣に入れました。


コイツ、勉強も上手くて、教えるのも上手いとか完璧過ぎる…


まぁ、お互い恋愛面ではファンブルしか出てないがな…


…何でわざわざ自分で傷を抉るんだろうか?


「ねぇ、同類。」

「何だ、香織?」


ほんの少しだけ、真面目そうな顔をする香織。


一体、何をする気だ?


「少し、待っててもらっても良いかな?」


そう告げる彼女は、真剣な顔で真っ直ぐ俺の瞳を見つめていた。


ルートA

制止する


ルートB

容認する


続く

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