第3話 放課後遊戯

第3話


あっという間に放課後となった。


最近、時間が過ぎるのが早い。


昔は一日が長く感じたというのに…


やはり、俺が歳をとったという事なのだろうか?


「何だい、同類?そんなノスタルジーな想いを馳せてる様な顔をして…」

「どんな顔だよ、それ…」


流石は香織同類


俺の事はお見通しという訳か…


だからこそ、俺達は何故…


…いや、当たり前か。


俺達は同類だから解るだけであって、所詮は赤の他人なのだから…


「おいおい、折角女の子と放課後デートしてる身なんだぜ?もう少し楽しそうな顔をしたまえ…」

「ああ、すまん。…ん?これ、デートなのか?」

「ん?男女が一緒に出かければデートではないのかね?」

「はは、そんなの大概が使いっ走り荷物持ちなんだ。俺は詳しいんでね。」

「そんな事はしないんだがね…」


と、少しだけフグみたいに頬を膨らませて拗ねる香織。


こういうのも似合うのだから、つくづく美少女という存在は卑怯だ。


本当に卑怯だったなぁ…


駄目だな、周りの全てが地雷になってる…


「うーん、コンビニに寄りたいんだけど、君も何か買うかい?」

「うーん、鮭おにぎりとカフェオレ(グ○コ)かな。お前は?」

「私は塩おにぎりとブラックコーヒーかな。」


俺と香織は同類なので、同じくカフェイン中毒だ。


必ずコーヒーを摂取しているのだが…


「相変わらず、君は甘党だねぇ。それ、かなり甘くて飲めた物じゃないのだが…」

「お前のそれもかなりアレだろうが。アレは絶対にコーヒーなんかじゃない。苦いヘドロだ。」

「宜しい、喧嘩を売ってるんだね?」

「そんな事より、早く買うぞ。その後なら、幾らでも喧嘩を買ってやるから。」

「ちぇ、乗らないか。これだから、きのこ派は…」

「余計に火を注ぐ様な真似するな!」


きのこたけのこ戦争をこの場で起こす気か!?今、此処で!?


一度起きれば、死傷者は免れないな…


尚、俺はすぎのこ派である…


----------------------------------------------------------------


コンビニで無事に買い物を終え、買った飲み物を飲みながら、共に歩き続ける俺達。


「だから、このグ○コカフェオレはまだ甘くない方だぜ。この前千葉に行った時なんか、コーヒーに練乳をぶち込んだマックスコーヒーなる物があったからな。」

「何、その面妖なコーヒー。最早、コーヒーなのかい?唯のクリームジュースじゃないのかい?」


参った、否定できない。


昔、全国展開は一応したらしいのだが、アレは一体どうなったのだろうか?


まぁ、関係のない話か…


「で、何処に行くつもりだい?」

「うーん、本屋でも行くか?ちょうど買いたい本があるし…」

「そこは一緒に遊びに行こうだろう?まぁ、私も同じだから文句はないけどさ…」


そう呟きながら、後を着いてくる香織。


鼻歌混じりで、今にもルンルンと聞こえそうな調子でだ。


何だ、お前さんノリノリじゃねぇか…


そう思っていると…


「…香織!?」

「えっ!?か、香織ちゃん…」

「その声は…」


香織を呼ぶ男と女の声が聞こえた。


その方を振り向くと、以下にもインテリメガネっぽい男と、清楚系美少女みたいな女が立っていた。


ていうか、あの制服は…ウチの生徒か?


って、香織!?


「大丈夫か、香織!?」

「はは、大丈夫だよ同類…」


ウソつけ!だったら、何であの男と女を見た瞬間、震え出してるんだよ。


…はぁ、仕方がない。


「行くぞ、同類。」

「えっ!?」

「ほら、早く!」


早くこの場から立ち去る為に、俺は香織の手を握って走り出す。


怒りとか叱責とかは、後で沢山受けてやる。


だから、今は彼女を…


「此処まで来れば、大丈夫か?」

「どうして…」

「何だ、香織?」

「どうして、こんな事をしたの?」


戸惑い過ぎて、素を晒す香織。


やっぱり、俺的には此方の方が好みだな…


「はっ、変な事を聞くな。同類が困ってたのなら、助けるのは当然の事だろう?」

「…そうだね。その通りだよ。ありがとう、竜馬くん♪」


と、素の彼女はとびっきりの笑顔を見せたのだった。


だが…


「なら、次は私が助ける番だね。」

「へ?」

「ほら…」


彼女が指を指した方を向くと…


「リューくん…」


…はぁ、今日は厄日だな。


続く

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る