第一部 第1章 決別した俺の学園生活

第1話 朝のその道

第1話


俺の名前は霧崎きりさき 竜馬りゅうま


まぁ、何処にでも居る普通の高校生だ。


「はぁ、もうこんな時間か…」


朝早く、ジリリリンと煩い目覚ましの音で、目が覚める。


起きれるのは良いが、かなり煩いのが難点だ。


別のに買い換えようか…


いや、早く顔を洗って着替えるか…


「あっ、お兄ちゃん…」


2階にある俺の部屋から下へ降りると、偶然妹の霧崎きりさき 伊織いおりと鉢合わせてしまう。


はぁ、朝から面倒だな…


「何だ、今日は朝練あるのか?」

「ふん!別に良いでしょ!じゃあ、行くから!」


と、自分が先に反応した癖に、この応答である。


俺と妹はとある一件で、兄妹喧嘩の真っ最中である。


気にしてないのかって?


全くもって、気にしてなどいない。


昔のアイツはかなりブラコンだったし、遅めの反抗期が来た位の感覚だ。


「さて、今日は何を作ろうか?」


俺は台所に立ち、冷蔵庫に残る食材と睨めっこする。


今日の自分の弁当を作る為だ。


妹は中学生だから良いよなぁ…


高校生の俺と違って、給食が毎日昼飯として食べられるのだから。


まぁ、泣き言はここまでだ。


いざ、作るとしようか。


まぁ、殆どが昨日の晩飯の残りになるのだが…


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「よし、出来た。今の時間は…」


ヤバいな、そろそろアイツが起きて行動し始める時間だ。


早く家を出る準備をしよう。


水の元締めOK!無駄な電気も切った!最後に家の鍵もちゃんと掛けた!


よし、学校へ行くか…


「あっ、もうこんな時間!」


後ろで、そんな声が聞こえる。


アイツ、高校生にもなってまだ寝坊してるのか…


…いや、何を考えているんだ俺!


もう関係ない話だ。


もう気にかけても遅い話なのは理解わかってるだろうが!


これ以上関われば、俺自身が傷付くだけなのは身に染みて理解した筈だ。


「俺はバカだな…」


はぁ、朝から気分が落ち込んでしまった。


どうしてくれるんだよ、全く…


「やぁ、同類♪今日は朝から落ち込んだ顔をしているね。もしかして、何時もの自己嫌悪症候群かい?」

「お前は朝っぱらから、厨ニ臭いな香織かおり。」


この厨ニ臭い女は、花崎はなざき 香織。


俺のクラスメイトで、まぁ1種の同類みたいな奴だ。


「その同類って呼ぶの止めてくれないか?何かこすばゆくなるんだよ…」

「おいおい、君は同類だろう?同類は同類だ。それ以上でもそれ以下でも、それ以外の何者でもない。それは君の頭でも理解できているだろう?」

「煩えよ。それだったら、俺は同類どころか爆発物OR競走馬になってるじゃねぇか!」

「そうかっかするなよ。冗談さ、同類♪」

「このクソアマ…」


俺とコイツの関係はかなり単純で、以外と複雑だ。


友達かと言われれば、お互いにそうじゃないと否定するだろう。


でも、仲良しかと聞かれれば肯定するかもしれない。


好きかと言われれば、NOと確実に答える。


嫌いなのはお互いに間違いない。所謂、同族嫌悪みたいな物だ。


それでも、俺達はつるんでいる。


まぁ、その理由は唯一つに尽きる…


「さぁ、今日も傷を舐め合おうか同類!」

「そうだな、香織…」


これは唯の傷の舐め合い。


敗北者が勝手に集まり、勝手にそうしているだけの話なのだ。


これ以上傷付きたくなくて、これ以上相手にも自分にも失望したくなくて…


「さぁ、今日も一日頑張るぞ♪」

「そうだな…」

「何やってるんだい、君もほら!バンザイ!バンザイだ!」

「えぇ…」


無理やり、手を上げさせられた。


何これ、超恥ずかしい…


続く

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