第284話
284 刈谷の戦い2
同刻 織田信勝
「信勝、後は任せるぞ。」
信長は自軍が後退しているのを横目に総大将を弟の信勝に変わる。信勝は直ぐに崩れた軍を立て直すために後方の油をかかっていない兵を亀の様に固めさせて迎え撃つのではなく、こちらから接近させて敵の攻撃を防がせる。
油を被ってしまったと思われる兵の鉄砲や火の元は全て回収させて弓兵として運用させる。
1万の正面兵力のうち500ほどが死亡、1000〜2000の兵が一旦離脱、並走変更することとなった。
無事な兵で今川の正面兵力1万5千を受け止めようとするがどうしても無理がくる。
ここで敵の左翼と右翼が突出していたこともあり鏑矢の陣で崩された正面兵力を囲い込まれそうになる。
こちらも控えさせていた1万の兵力をそれぞれ5000に分けて敵の左翼と右翼に当たらせることでなんとか包囲を免れることになった。
「兄上、早くしてくださいよ!」
信勝は歯を食いしばって北条で学んだ戦略や眼を使って持ち堪えさせていた。
「残しておいた騎馬兵を1000ずつ使って左翼と右翼の後方を荒らさせろ!それと相手の油壺を置いてある陣を確認させろ!」
信勝は元々決めていた作戦の通りに信長が動ける様に苦心しながらもこちらが崩れない様に仮でも総大将として任されたことでその才覚を発揮させ始めていた。
「確認出来次第騎馬兵には火矢を装備させて相手の無力化を図れ!」
〜〜〜
織田信長
「やるではないか。俺と戦った時とは大違いではないか。」
信長は弟が総大将として義元と互角とまでは行かないものの見劣りのしない戦を繰り広げているのを見て満足な様子を見せながら義元軍からは見えない場所を遠回りで馬で駆け抜けていた。
目指すのは最初に後方へ駆け抜けた3千の騎馬隊だ。彼らと合流して背後から義元の首を目掛けて突撃するのが信長がたてた策だった。
油壺を使われ思った以上に苦戦を強いられた為狙い以上に本陣が伸びて義元の陣まで横っ面から入りやすくなっている一方で、信勝の活躍がなければ本陣が崩れ落ちていたとしてもおかしくない形だった。
〜〜〜
今川義元
「ふむ、このまま一気呵成に攻め立てるのだ。油壺は後方に置いてきたのだ。あちらが警戒している間に攻めつぶすぞ!」
朝比奈と岡部の方が思った以上に進めない。良い兵と将を配置している様だ。しかし、正面だけは最初の油壺の攻撃によって如何ともし難い被害を受けた。
そのせいでこちらが優位に攻め立てられている。さて、このまま正面を押し切るか。それとも正面を抑えるだ気にして左右の陣の裏を取りに行くか。両方だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます