第283話 刈谷の戦い
283 刈谷の戦い
1554年 4月 織田信長
「丹羽と柴田を前面に出せ。」
それぞれに5千の兵を預けて義元に対してぶつけさせる。前列の兵達には大盾と鉄砲を装備させており、射程距離の少し前で停止し鉄砲を撃ちかけさせる。義元の軍も鉄砲を使ってくることは予想をしていたのか、しっかりと盾で防いでいる様だ。それを見ても撃ち続けさせる。相手はジリジリとこちらとの距離を詰めてくる。
「木下と佐久間を使え。」
前面に出していた兵達の後ろから騎馬に乗せられた鉄砲兵を左右に素早く展開させる。騎馬兵は降ろした後そのまま後方に向かって駆ける。
少し遅れて左右から斜め前に向かって撃つ形で今川軍の前面を削っていく。今川としては盾の兵の数が足りずに正面か左右を守るかで迷うはずだが、流石は今川義元、隊を鏑矢の形にするとくの字の形になる様に盾兵を配置して被害を防ぐ。
そのタイミングで駆け抜けた騎馬兵が後ろから突撃をするための準備をしているがそれを読んでいた義元は自軍の騎馬兵を後方に配置して睨み合いをさせていた。
今川と織田の正面の戦いはこの様な推移で始まったのだ。
同刻 今川義元
「正面はこのまま睨み合わせてこちらも鉄砲を撃ちかけよ。次は左翼と右翼の戦いになる。気を引き締めろ!」
「右翼の朝比奈に少し前に出る様に指示しろ。左翼の岡部にもだ。」
軍全体の形としては大きな鶴翼の形になっているはずだ。その動くを素早く察知した信長は方陣にするとファランクスを組ませた。
「あの形はちと攻めるのが面倒そうじゃのう。それち全軍で方陣を組むのではなくいくつかの軍ごとに組ませることで火力の分散を狙っているのか?小賢しい。油壺を投擲させよ!」
今川が開発していた原油爆弾を使って方陣に投げかけると盾で塞いだもののそれのせいでものの見事に油を被ってしまった。
「よし!順次火の矢をいかけさせるのだ!」
義元の戦方は十分効果的だった。次々と火矢をいかけると方陣に火が燃え移り始める。その様子を見てそのまま長槍兵を前へと出していく。
織田の方陣は崩れ去り火のついたもの達は転げ回るもそのまま消えることなく死んでいき、その様子を見た織田兵は怯んでしまい戦線が乱れた状態で交代することになった。
また、火がついた影響で彼方此方で鉄砲兵の丸薬に燃え移り爆発が起きていた。今川軍の秘策は織田に対しての天敵となったのだった。
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