第270話 斎藤の動き

お知らせ 六角の話がそろそろ8万いきます。

4月の間は毎日、それ以降は週一のスタイルで六角の連載もするのでお楽しみに

また、カクヨムでは1週間早く4.1〜

なろうでは4/8から投稿するのでできるだけカクヨムで読んで作者にアフィリエイト下さると嬉しいです。


 1553年 7月 斎藤道三


 「婿殿が是非とも父上に終わりまできて欲しいと言っているそうですが、そのように軽々といかれては美濃の格が斎藤の格が下がりますぞ!」


 たらたらと意味のない事を述べるのはワシの息子である斎藤義龍だ。他にも奴に同調する土岐の家臣達が何かを言っておるわ。無能どもはよく吠えるから煩いわ。


 「ふんっ、そんなもので格が下がるならばこちらから願い下げじゃわ。我ら斎藤は商いによってこの美濃を富ませて来たのだ。その動線の一つとなったのは尾張の熱田や那古屋、清洲などの銭が集まる地域の力、東海道の力があってこそだ。それが分からぬようでは先が知れておるわ。」


 忌々しく思いながら吐き捨てる様に教えてやると奴らはさらに不愉快そうな顔をする。義龍のやつは思い通りにいかないことに対して、家臣達は美濃を奪われたことに対してだな。愚かな奴らだ。


 「ワシは孫四郎と喜平次を連れてお濃達に会ってくるわ。その間のことはまぁ無難にこなせ。それくらいならお主にでもできるであろう?共周りは利三で良いかな。では、任せたぞ。」


 道三はその場をさり溺愛していた二人の息子の元へと向かうのであった。


 同日 斎藤義龍


 「父上は自分の欲望を達成して満足してしまい腑抜けているのだ。そろそろ当主の座から引いてもらうべきではないだろうか。」


 義龍は昼頃に起きた父との口論の後その場にいた家臣達を下がらせ、夜に長井道利を筆頭に自分を支持してくれている者たちを纏めて密会をしていた。


 「確かに良い機会です。内戦となれば国力を消耗してしまいますが追放となればほぼ被害なく家督を奪い取れまする。そうすればきっと道三派のもの達も義龍様に従うでしょう。従わない場合は武力で追放して仕舞えば良いのです。」


 熱心に義龍のことを励ましながら反道三を掲げるのは長井道利であった。他にも旧土岐家のもの達が集まっていた。薄暗い部屋の中で熱気がこもっているのは夏の暑さだけではないだろう。


 「前々から進めようとしていた件はどうなっている?」


 安藤守就がすっと前に出て答える。


 「一色を名乗る件ですがうまくいきそうにございまする。しかし、幕府の一色殿に多額の献金が必要になりましょうな。」


 「それで正当性が買えるならば安いものだ。斎藤の、父の美濃ではなく俺たちが新しい美濃を作っていくのだ。皆の者!もう少しの辛抱ぞ!」


 義龍はこれで自分の好きな様に美濃を強く纏められるという気持ちと、父を手にかけなくて済んだことに対して安堵している自分の気持ちに戸惑い、それを隠す様に皆に声をかけていったのであった

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