第269話 義元と
実は六角の筆がめっちゃ進んでて野良田の戦いまでで10万文字余裕で越えちゃいそうです。それが終わったら毛利書いて、足利さんはちょっと複雑怪奇すぎませんかねぇ…
毛利と六角が10万両方超えたら取り敢えず両作品投稿します。1月は毎日投稿の予定で、それからは週一とかです。
1553年 5月 今川義元
「遠路はるばる、というほどでも無いのか。よく参られたな、伊豆守殿。」
駿府城の広間にて譜代外様問わずさまざまな配下をできる限り集めて氏政達を出迎えてやった。三国同盟を結んでいるのに敵対している織田との婚姻や駿東を取られている事など家臣達の不満が噴出する前に北条に対してぶつけさせる為だ。一応そばには息子である氏真を座らせているがこいつは何も考えていなさそうで氏政に比べてしまって次代が心配になる。ため息が出そうになるのを慌てて飲み込むと扇子を開き口元を隠す。
「はっ、おひさしゅうございまする。今川殿には常日頃から格別の取り計らいを頂き、我ら北条も頭が上がりませぬ。今回は不躾ながら日頃の感謝の意味を含めて幾つかの贈り物を持ってきておりまするのでご笑納下さいませ。」
氏政のやつがいけしゃあしゃあと貢ぎ物の目録を配下の岡部に渡して、岡部がそれを持ってくる。ふむ、鉄砲に大砲と呼ばれる大きな鉄砲や丸薬に始まり、椎茸やわさびなど様々な特産品などを持ってきている。詫びのつもりか?我々を舐めているのかと義元は内心憤懣し始めていた。
「ほう、これほどの物確かに有難い、しかしこれは織田との婚姻によって我々を侮辱したことによる詫びのつもりかな?」
義元の言葉に家臣達が殺気立つ。特に譜代達はその眼力で殺してやろうというほどだ。
氏政はゆるゆると首を左右に振りゆっくりと答える。
「そんな事はございませぬ。あくまでもお市殿は側室であります。それに、信長殿とは東海道の要衝を持つ事から関係が深まっただけにございまする。勿論、織田殿に肩入れするつもりはございませぬぞ。」
「口だけではなんとでも言えるわ!」
この声は朝比奈か。顔からも態度からも怒りを爆発させておる。あれを見たら逆に少し落ち着いたな。それに、確かに口だけならなんとでも言えるな。
「はっ、ですので私が今川殿の力になりましょうぞ。織田殿と決戦をし、もし万が一織田殿が生き延びる事があれば全面降伏する様に私が段取りを纏めましょう。」
この大言壮語に対して皆が息を呑む。先ほどまで大きく怒鳴り散らしていた朝比奈を筆頭に皆が鎮まりかえった。空気が変わってしまったな。これはもうあちらに主導権を取られてしまったか。
「勿論、織田殿には戦う前から降伏を促すつもりですが彼もこの乱世を生き抜く益荒雄の一人でございますれば一度も戦わずして引く事はございませぬでしょう。先ほども申し上げた通り織田殿が負けた際には生きていようが死んでいようが家臣達を纏めて納得させましょう。そのためにも今回の婚姻同盟を結んだ事を納得して頂きたい。」
この提案を飲む事が可能ならば大分大きな利となる。北条が尾張の反乱分子を収めるというのであれば三河に注力できる上に尾張の豊かな土地をそっくりそのまま、いや、それ以上に使える。
「今川殿の目標を達成するには東海道の安定は必須でありましょう。となれば、是非とも尾張は譜代の方々で固めたいのではございませぬか?ある程度尾張に通じている人物かつ今川よりのもの達がいれば登用すれば宜しいかと…それ以外の反抗的なものはこちらで処理いたしましょう。」
今川の利が大きくなりすぎたわい。こちらが何か注文をつける前に氏政殿の提案が大きな利となっている。裏にある意思が透けて見えるがそれでも呑むべき提案だな。
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