第266話 砥石城

 光秀の献策を受け、信玄達は行動を開始した。光秀達は砥石城から兵が出てこないように各門を500ずつの兵で見張り、残った兵は包囲網を敷く事で抑え込んでいた。どこからか出てきたならば近くの隊が対応し、包囲網から順に援軍を送りだす作戦であった。


 この包囲網から抜け出すのは至難であり、砥石城内にいた将は黙って去っていく信玄達の背中を見るしかできなかったのである。


 信玄は砥石城から兵がやってきたとしてもそれを殲滅すれば砥石城が楽に手に入ると考えており、そこまで心配はしていなかった。それよりも村上を殲滅する事に心血を注いでいた。村上も必死の抵抗をするものの、北南から挟撃され奮闘虚しく敗れ、落武者狩りを避けながら北へ北へと逃げ去っていったのである。結局、この砥石城攻めでは無血開城を達成することになり信玄は史実と比べて大きな損失も出さずに信濃統一を成し遂げていたのであった。


 「此度の北条殿からの援軍は大変助かり申した。砥石城の兵達を無傷で降伏させることができたのは貴殿のお陰である。心ばかりではあるが、これをもって帰ってもらいたい。」


 そう言って小姓が差し出した箱には甲州金が詰まっていた。光秀はそれを有り難く受け取ると元々自分の直轄の兵しか残していなかったのですぐに支度をして上杉に対する防備を固めるために自分の城へと戻っていったのである。


 これが、信長達の頑張りの横で起こっていた北条武田に関する出来事である。尾張を纏めた信長、甲斐と信濃を纏めた信玄、未だに安定しない三河を力で押さえつけようとする今川、大領地を手に入れて内政に心血を注ぐ北条、そして越後を圧倒的カリスマ性と武略で纏める上杉、彼らの対立や共闘などが日々蠢く時期に入ってきたのである。


〜〜〜


 翌年1553年3月


 信長はお市との婚姻同盟を纏めるとすぐに行動を始めた。北条からの貿易品を婚姻同盟をダシに安く買いたたき自領の農業活性化と新規開墾に当てたのである。また、北条へと派遣していた配下達を取りまとめとして任命し、数人部下をつけて軍部の統括と強化、内政官に関しては中央集権化体制の確立と地方統治の強化をはかっていた。そして、それらが少しほどではあったが軌道に乗り始めた頃に、織田家当主として氏政に対してお市への顔合わせとしてこちらへ来ての面会を申し出ていた。勿論、相手の次期当主に対してなんたる振る舞い!うつけはやはりうつけか!と北条でも騒ぎになったが、氏政はしっかりと意図を見抜いて氏康に対して行くべきだと進言した。


 織田としてはここで北条との親密さを示すことによって今川武田に対する牽制、美濃に対する脅迫をしたい事、多分だが信長は氏政と気兼ねなくまた話したいと思っている事、これからの軍略について話したい事等である。勿論これらは圧倒的織田メリットしかない。北条側のメリットはなんだと氏康から問われるのは必然であった。


お疲れ様です。作者です。

最近は氏政メインではなくすいません。これらも大事な伏線になるので読んでもらえれば幸いです。この話がひと段落つけば氏政がガンガン活躍します。

さて、話は変わりますが、今平行で書いている時代物がありまして、10万文字行くまでは出さないのですがどれを読んでみたいか聞きたいです。

毛利輝元、六角義治、足利義輝の3名です。

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