第264話 小諸城後始末
小諸城の城壁をボロボロに破壊した後、北条軍から伝令が出され武田軍へと迅速に城内制圧命令が降った。飯富が率いる赤備え達は北条軍の圧倒的な破壊力に驚き恐怖する一方で我らも負けてたまるかと赤備えという軍隊の一員である誇りに誓って士気を上げていた。それを聡く読み取った飯富は止めることなく突貫の命令を出しあっという間に小諸城を制圧したのであった。
光秀は武田の旗が城に立ったのを見て支援部隊に大砲の搬送を指示、砲兵隊も撤収させた。残った兵は3000ほどとなったがそのうち鉄砲隊500はそのまま秀吉に任せ、歩兵隊500をそれぞれ正信、信綱、政直に任せた。そして、自身は残った歩兵500を率いていた。部隊の再編をしていると武田軍から使者が来て今回のお礼とできれば砥石城攻めに後方待機して欲しいことを述べた。
光秀としても経験を積ませたい思いがあった上に氏康から徹底的にやってこいとも言われたので快諾し、飯富の軍の後ろをついて行った。禰津に着いた時には直ぐに本陣である武田信玄の前へと通された。
「北条氏政が配下、明智光秀にございまする。お目通がかない嬉しゅうございまする。」
武田信玄はジロッと光秀を見ると表情を柔らかく、しかし目は爛々と輝かせて話しかけた。
「此度は盟約に基づく支援要請とはいえ我らの手伝い戦に出張ってきてもらい感謝する。小諸城を迅速に落とし、こちらに合流までして貰ったと聞いて驚き申した。次の砥石城攻めでは我ら武田の力を拝見頂ければと思う。明日には砥石城攻めの軍議をするので是非とも出席して頂きたいのだがいかがであろう。」
武田信玄は丁寧な物言いだが戦国大名としての威厳や圧力を崩さず光秀に要求していた。しかし、光秀も慣れたもので軽く受け流しながらしっかりと目を見つめて答えた。
「是非ともよろしくお願いします。小諸城でも飯富殿率いる赤備えの力をしかと目に焼き付けましたが、武田様の武略はやはり興味があります。こちらでも武田様の知恵や武力は伝えられており皆が戦々恐々としておりまする。もし宜しければ私の付き添いとして今回ついてきている彼らを軍議の場に立たせておいてもよろしいでしょうか。」
そう言って付き従ってきた4名を紹介する。真田信綱を紹介した時には少しざわついたが信玄がそれを快諾した事でなにも問題にはならなかった。また、軍議の場に参加することについても快諾を得られたのである。
「では、各々方は自軍に戻り明日、もう一度軍議を行いましょう。」
その言葉を皮切りに光秀は頭を一度下げ自軍へと戻った。
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