第255話
信長side
「ふん、愚かだな。」
信長はただ走り寄ってくる愚図どもを見下しながら参謀の長秀に全てを任せていた。そもそも信長自体としてはこの戦を楽しめる要素など無いため、自分の配下の兵の練度を確認するための調整くらいにしか思っていなかった。
「中央の我々が長弓と大楯、長槍、弩を使い彼らの勢いを止めます。」
長秀が信長直轄の軍2000のうち1000を使って人の波を止める。長弓と弩による一斉射撃によって怯ませる。その内に装填を済ませたり絶え間なく弓を射る事でどんどんと敵の勢いを削る。しかし、こちら側の陣地に取り付こうとするもの達もいるが人の大きさほどもある大楯を前に弾き飛ばされたり、乗り越えることが出来ずに長槍によって叩き殺されていた。
時としては四半刻ほどの事であったが敵の粗方は前線と呼ばれる場所までたどり着いているのを確認していると、信勝直轄軍500が旗をたな引かせて合図を送ってきた。柴田勝家達はそれを見るや否や即座に鶴翼の陣である翼を伸ばして包囲に入る。騎馬隊達を元に一気呵成に突貫して敵の陣形を更に乱していき、もう軍と呼べるような態勢では無くなったのを確認した信勝達は軍を前に進めて彼らの逃げ場を無くしていった。
包囲網が完成する頃には信長直轄軍達が農民に投降を呼びかけ敵の戦意を削いで行った。この動きまでにかかった時はたったの1刻程であった。敵将は捕縛したところで結局切腹か首を落とすだけであると事前に伝えられていたため勝家達は彼らにせめてもの慈悲として一騎打ちの場を次々に与えそれらを悉く打ち取っていった。信勝達の軍が合流して、農民兵達を麾下に組み込み軍の再編を行う中信長達2000は反転し、本命であった伊勢守、大和守の軍と相対していた。
〜〜〜
坂井
伊勢守家で権勢を誇っていた坂井にとって、ぽっと出の末森派閥、つまりは信勝など勝とうが負けようがどうでも良かったため軍を動かしたと言う報告の後は注視していなかったため彼らが信長達と協力していることなど全く知らなかった。
「さて、皆様方、ご覧になればわかるでありましょうが奴らは挟撃に合い慌てふためいております。右翼と左翼は末森派に気を取られ信長の軍もほぼその対応に追われているようです。今こそ我々の力によって奴らを打ち崩し織田家の結束を固めましょうぞ!それに信勝殿も助けてやらねば可哀想でございますしの。ほっほっほっ。」
坂井は自分の策が上手くハマったことに対して何の疑問も持っておらずただただ信長を打ち破った後のことをどうするかと取らぬ狸の皮算用を行っていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます