第215話

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「しかし…!」


 尚も食い下がろうとするのは多目だった。彼の考え方はごく当たり前のものであった。現代では海難などほぼほぼ起こり得ないが、この時代は木造船が主体であり、海の流れなどによっては簡単に遭難するのだ。そんなところに嫡男である氏政を送るなどもちろんできなかった。


 「それに、今の海軍を見ても不安になるか?直勝を筆頭に間宮など粒揃いが揃っている。船自体も他の国とは比べ物にならない。加えて航路自体もいつも使っている今川 織田 京都の道を進む。不安になるならば途中から陸路に変えてもいいが、そちらの方が危ないのではないか?」


 「確かにその通りではございますが。」


 話の論点を氏政が行く行かないから陸路か海路か、どうやって行くかに論点をすり替える。


 「父上、我々に京に行かせて頂けませぬか?新たに手に入れた領土も落ち着き始めております。このまま家臣達に任せたとしても問題なく回ることでしょう。なにとぞ!」


 氏政は父 氏康の前に体を出し、平伏する。


 「北の備えに康虎と光秀は置いていけ、佐竹への備えは勘助と多目に任せるとしよう。そして、お前自身には幸隆と義堯 義弘に政豊を供回りとして連れて行かせる。船はガレオン型5隻だ。兵数は各船に500ずつの計2500だ。これならば許しを与える。」


 これはかなりの大所帯であった。ガレオン自体にはそもそも海兵が300ずつ乗っており合計4000の軍団となる。それらが京へと派兵されるのだ。すわ、戦闘か!?となってもおかしくない。


 「わかりました。事前に各領地に連絡を入れて混乱を抑えることと致しましょう。この場合、三好や足利、六角を刺激することになりますので風魔の人員や使者としての武将などはお借りしてもよろしいですか?」


 「そこは好きにするといい。だが、なによりも自身の身を重んじろ。其方は北条一族の嫡男なのだ。身軽に動いていい立場では既にないのだぞ。」


 「ははっ!」


 それだけ言うと氏康は手を払うようにふり、氏政を元の位置に戻させた。頃合いをみて幻庵が今回の評定をまとめ始める。


 「では、将軍家や朝廷との交渉には氏政様が向かうと言うことになります。目的は朝廷から役職を頂き足利の拘束下に入らないように立ち回る。しかし、出来るだけ敵対は避けると言うことでよろしいか?」


 「はっ!」


 幻庵がまとめると評定が終わり皆が疎に散っていく。氏政は小田原の自室に戻ると幸隆と義堯、政豊、義弘、小太郎を呼び出した。


 「今回このようになったが、命を下すためついてきて欲しい。まずは以前から決めていた通り、義堯は直勝と連絡を密にし水軍を纏めよ。幸隆は陸上兵力の総大将だ。義弘と政豊は俺の馬廻りとして身辺警護に当たれ。小太郎はすぐに各領地に話を通すのと、前久殿にある書状を届けてもらいたい。出来るか?」


 「はっ、年末に伺われるとの事ですので余裕を持って取り組めると思います。」


 「よし、では頼むぞ。」 


 氏政は前久と朝廷に対して交流を持ち始めた当初から文通をしていた。そこには他愛もない話から少し踏み込んだ話まで様々な話し合いをしてきていたが、今回はより踏み込んで話をすることになる。また、これを見られると大変まずいことになることを分かっていながらも書くべきだと思ったことを書き連ねていく。

 用意ができ、封をした後に小太郎本人に渡した後、そのまま新たに文を書き始めたのだった。その相手は日本の副王となる道半ばで頭角を表している三好長慶、その人であった。



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