第151話
「良くみんな集まってくれた。今回は前回決めた計画について付け加えることができたので知らせようと思い呼んだのだ。」
幸隆と勘助 義堯 光秀に加え源太郎 秀吉 次郎法師が今回もこの場にいた。彼らは一言一句聞き逃さないように気を張っている。それに今回は小太郎がそばに控えていた。
「さて、具体的な内容だが、長尾景虎改め上杉実虎が秘密裏にこちらに接触してきた。そこで上杉は対武田を視野に入れている事、山内上杉から救援依頼が来なければあちらから手を出すことは無いと書面には残らない形でだが伝えられたのだ。」
「ほう、それはこちらにとって有り難い話ですな。山内上杉からの使者を全て止める、もしくは憲政本人を討ち取れば我々は越後上杉と敵対すること無く関東全土を手にすることができると。」
義堯が悪い顔をしながら答える。
「そうだ、それにこちらが北信に支援をしている事をあちらの忍びが察知したようでな。風魔を通じて密かにこれからも縁を結ぶ事になった。同盟という形では無いが我々の最大の懸念が一つ消えたのだ。」
「小太郎殿達にはなんとかして山内上杉からの伝令を狩っていただく必要が御座いますね。」
光秀がいつもの澄ました顔で付け加える。
「我々の数も最初に比べて大分増えましたのでなんとかなるでしょう。既に配下を数名城内の兵に紛らさせております。それに上野の城下には数百の配下が居ます。」
「小太郎達には今回見えないところで大きく働いてもらっている。今度は我々の番だな。」
「我々が既に宇都宮と那須にも手を入れておりますればいつでも暴発させることは可能でございます。」
「では、刈り入れ時の後に兵を起こさせるとしようでは無いか。その時期に合わせて我々も迅速に動くぞ。康虎達にも連絡させるのだ。我々の手勢も5000を独自に動かし同時に山内上杉を攻めるのだ。攻める理由としては今回引き起こした那須と宇都宮の戦いは山内上杉が裏で手を引いていた、とでも言っておけばいいだろう。」
「「ははっ!」」
実際に侵攻するのは10月初めごろになるだろう。あと1月ほどだな。
「それと別の件で御座いますが三河で人員の確保に向かっていた配下達がこちらに向けて帰還しているようです。詳しい人員はこちらについた時に早馬で知らせるようになっております。」
「なんと!良かったな次郎法師、遠江と三河衆はお主に任せるつもりだからそのつもりでいろ。」
「本当にございますか!?私よりも上の立場の方がおられた場合はどうなさるおつもりで!?必ずや反発がございますが…」
「まとめ役と言っても配下にする訳では無い。俺に通したい話が有れば次郎法師から伝わるようにするだけだ。勿論三河衆や遠江衆の中で有力なものは出てくるだろう。しかし、我に一番近いのは次郎法師となる筈だ。これならできるだろう?」
「つまりは彼らの意見がしっかりと通るようにする意見伝達役みたいなものですね。彼らが言わないけれど思っている事を伝えたりするのも私でしたら内側から聞き取ってお伝えできますし…。」
「そういう事だ。義堯のいる前でこのような事を言うのは申し訳ないが安房や房総衆達の中にも内部監視役や風魔を入れてはいる。これはこれからの北条を舵取りする上で必要な事だからな。」
義堯が苦笑している。小姓3人は驚いたような顔をしているが他の光秀や幸隆 勘助はさもありなんと特に動じても居ない。小太郎に至っては無関心である。
「そのお役目しかと拝命いたします!必ずやお役に立って見せまする!」
次郎法師がやる気を見せている。それを見て源太郎と秀吉もやる気が上がっているようで彼らにも何か役目を与えなければなと思う。
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