第140話
「そういえば幸隆の息子も来ているのだな。真田源太郎はまだ元服させていないのか?他の二人もまだか?」
「はっ、恥ずかしながら忙しいのもあってまだ済んでおらぬのです。そろそろ…とは思っているのですが。」
「私めは親が居ませんので特に行う予定はございませぬ!それよりも今を頑張ることに精一杯でございますれば…」
秀吉が表情を変えながら身振り手振りを交えながら雰囲気を明るくして伝えてくる。
「次郎法師殿はどうなのだ?」
「そのような呼び方おやめください!私めは氏政様に助けて頂けなければあのまま朽ち果てていたかも知れないのです…どうか配下として扱ってくださいませ。それに、井伊家は既にもう…」
そう、三河侵攻の際に義元は非情とも言える決断を下した。井伊家を筆頭に今川がおさえておきたい土地の国人衆や目障りな家臣を先頭にに立たせてわざと援軍、後詰めを遅らせて処分したのだ。これによって三河と遠江の支配は史実よりも盤石なものとなった。
「そう、だな。その事だが、小太郎、風魔の調べによると松平家臣達が今川にバレないように何人か匿っているらしい。もしかしたらまだ可能性もある…悲観するでないぞ。」
「ほ、本当にございまするか!」
「ああ、三河武士は精強なものが多いからな出奔する前にこちらで囲い込もうと思って風魔を入れていたのだ。彼らを船で連れてくる計画を今立てている。それに紛れ込ませて今川に捨てられた彼らを保護しようとも考えているのだ。上手くいくかわからないが…な。」
「あ、ありがとう…ございまする。」
「さて!源太郎と秀吉と次郎法師、それぞれしっかりと働いて結果を出すのだ。そうしたら我の名である政を与えよう。だが結果を出そうと焦らずに周りの言うことをしっかりと聞くのだぞ。」
「「「ははっ!」」」
「幸隆、勝手なことをしてしまったが良かったか?」
「むしろ、光栄なことにございますれば不満などございませぬぞ。」
「いい感じの雰囲気になったところでそろそろ、話を戻そうか。皆はいい案はあるか?」
さっと雰囲気を変えて皆が真剣になる。
「今やっていること、北信濃への支援は続けましょう。そして、山内上杉を追い出す事も問題はないかと、憲政がどこに向かったところで我々の目的は達成できまする。」
幸隆が用意していたようにしゃべりだす。
「そうだな。特にその後の動きは追わなくても対策をしっかりとすればいいだけだしな。俺も焦りすぎていたのかもしれぬ。」
「その上で、でございますが、憲政は無視して武田殿の支援を致しましょう。そうする事で早めに北信濃に目を向けさせるのです。上野を抑えた、北信濃を抑えて欲しい。物資の支援を厚くする。軍をけん制に西上野に出兵するなどですかね。」
「なるほど、北信濃衆の影響力を増やすことばかり考えていたが武田自体の動きに介入するのか。」
「はっ、信玄は取れるものは全て取ろうとする欲深い男に在りますれば…」
そうか、そもそも幸隆は信玄と相対していたのだ。よく分かっているのだな。
「よし、幸隆の案でいこう。皆も異存ないな?」
「「「ははっ!!!」」」
〜〜〜
木下秀吉 井伊次郎法師 真田源太郎
「我々に軍略会議を見せて頂けるなんて有難いことじゃったのう!」
この3人は元々同じ軍学校にいたため仲も良く成績も競いあっていたいいライバルであったので今こうして仲良く話していられるのだった。
「ああ…父から話だけは聞いていたがみなの雰囲気や迫力に飲まれて何もできなかった…」
「しかし、あの場に残された意味は大きい。殿は我々に対して期待しておられるのだ。その期待に負けぬように頑張らねば…!」
「そういえば、お主の家族に関する事も殿はしっかりと考えてくださっていたのだ良かったな!」
「ああ、感謝しても仕切れないよ…。この身が擦り切れるまで使い切って仕えてみせるさ!」
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