第123話


 「港に関しましては安房の本城である館山 大きな湾をもつ木更津 千葉 の整備を続けており、特に館山には試作型の超長距離砲台を設置、海から敵が来ないかを見張っております。また、他の港と連携を取るため江戸や横浜 横須賀 三浦 鎌倉 下田 熱海 と北条の海を守るように相互が連携できる形での海上巡回の航路も整備されてきております。


 それと同時に伊豆の方では武器庫計画の通りに従来までの貿易 交易用の港を減らし新型艦建造場にしております。しかし、河東や江戸 房総方面で交易 貿易を行うことで収支としては黒字となっています。」


 「わかった。他に話しておくことはあるか?」


 自分の意見を押し通すだけではなく部下同士で意見を出させたりもする。ワンマン経営はカリスマ性があればできるが俺にはそんなものは無いし、光秀達の方がよほど地頭がいい。俺は会議が煮詰まった時や上司としてやらなければならない事をこなすのだ。


 「そうですね、やはり房総の方でも生活にゆとりができてきた大きな町では民のお金の消費先が問題となっています。賭博を楽しんで身を破滅させるものは制度上ほぼいませんが、身の回りの生活用品を揃えた後のお金の使い道についてもう少し整えるべきかと。」


 「房総ならば湊町が多いゆえに様々な交易品や貿易品が入り娯楽等も多いのでは無いか?」


 「勿論其方にも消費は回っておりますが山中の方になると行商人が向かわなければ買い物すらできないのです。というのも、港町で大体のものは売り切ってしまえるのです。なので山中まで荷物が届かないということもあります。」


 「なるほどな、そこまで考えてはいなかったな。わかった、後で考えておこう。」


 「それでは次に馬の牧場に関する突き上げが激しいです。小田原 伊豆の競馬場が作動してから特に武士や裕福な民が競馬に熱を上げています。これは先ほども述べたお金にゆとりができたこと、その消費先として1番身近に感じれるものというところがあります。


 大きなものとしては競馬場を増やしてほしい 出走日数を増やしてほしいと言うものですが、他にも馬を育ててみたいからその許可が欲しいなども多いです。武士だけでなく民の中から自発的に馬を持ってみたいという者が現れたことは驚きですね。」


 前世で言う馬主と牧場主のような形で分けて制度を整えてみるか。


 「ならば、こういうのはどうだ。民や武士関係なく自分の馬を持ちたいものは馬を買うのだ。そしてその飼育に関しては馬主達が牧場をそれぞれ決めて預ける。育成や管理に関しては牧場主が行うのだ。様々な問題があるだろうが馬興隆期の今ならば不可能ではないはずだ。」


 「そうですね、その方向で進めたいと思います。その中から軍の使用にも耐えられる足が早く力がある品種を厳選していきましょう。」


 「今日はこの辺りでいいだろう、今ある分を仕上げたらいっしょに食事でもどうだ?」


 「ご相伴に預かります。」


〜〜〜


 別の日


 「そういえば義堯、房総の方の軍に関してはどうなっている?」


 「はっ、徐々に数を増やしております。関東大蜂起では5000程しか出せませんでしたが今ならば1万5千は出せるでしょう。そして、この数が平時から常備しておける軍の安定した数かと。」


 「割り振りはどうしている?」


 「歩兵が8000 鉄砲隊が2000 騎兵が3000 それぞれの城に砲兵が合計2000割り振っております。そのうち歩兵は各軍学校や城の周辺の巡回をさせております。水軍に関しましては直勝殿が取り仕切っておりますので詳しいことは分かりませぬ。」


 「よくぞそこまで揃えてくれた。これからは虎高や綱成と連絡をとり非常時に備えて連携を密にするようにしてくれ。」


 「はっ!」

 

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