第49話

 現在の北条軍はこうだ。



伊豆20万石 総勢7500


本城

韮山城3000 通常常備兵2000 黒鍬衆1000

長久保城1500 通常常備兵1500


支城[砦]

下田城1500 通常常備兵1500

高谷城1000 通常常備兵1000

丸山城500 通常常備兵500


河東30万石 7500

興国寺城1500 常備兵1500

吉原城1000 常備兵1000

蒲原城3000 常備兵2500 鉄砲衆500


支城

御殿場城1000 常備兵1000

羽鮒城1000 常備兵1000



相模50万石15000

小田原城6500

八王子城3000

三崎城2500


支城

実田城1000

七沢城1000

新井城1000


武蔵45万石12000

江戸城2000

河越城5000

鉢形城3000


支城

日野城1000

松山城1000


上総85万石 8000

[戦と農開発により充分に活用できないし軍制が整っていないため元々の軍の中から志願者のみ配置]

久留里城1000

真里谷城1500

小弓城1000

本佐倉城2500


支城

臼井城1000

笹子城1000


安房10万石[千葉と同じく]

館山城1000

稲村城1500


→戦後に港や砲台などを整備予定。

海軍本拠地



 これを見たら分かる通り伊豆とか安房とか山がちで平野が少ないところと、上総や武蔵半国を比べると圧倒的な差がある。平野の大事さがよく分かるな。その分、安房や伊豆にしかない特徴などもあるからトントンだろうがな。


 親父の軍はほぼ常備兵だが、まだ兵士だけを遊ばせておく余裕はないようで、部隊ごとに訓練の日と労役や農作業の手伝いをさせる日を交互に割り当てて、常備兵を上手く活用している。


 半農半兵ではなく二農八兵といったところか?一応親父の要請に応えて、黒鍬衆を何人か送って指導には当たらせている。


 武蔵は史実でも100万石を超えるすごく豊かな土地だ。だからそこを争って紛争が起きまくってた。山内上杉がそこそこの武将だけで何とかなっているのは土地の豊かさによるところが大きい。


 つまり武蔵を手に入れられれば関東はほぼ北条のものと言っても過言ではないくらい優位に立てる訳だ。武蔵を開発している間は上総の80万石が充分に利用できるようになっているだろうし、そちらの兵を回して防衛できるかな。


 この冬と春の間に実行できたのは安房攻めで失った兵の補充と増員、蒲原城や支城の強化と訓練を密にする事、治療部隊と砲兵部隊の設立をして棲み分けをさせたくらいだ。後は敵が攻めてくるのを待つだけだ。


 治療部隊に関しては応急処置部隊だが、そのまま放置して死なせるよりは何倍もマシだろう。応神天皇から学んだ神術として、煮沸殺菌、洗浄、縫合、(江戸時代力士の御用達)卵内膜絆創膏に動脈圧迫止血、阿芙蓉(阿片)の麻酔利用を書物にして教え込んだ。鶴岡八幡宮流医術と名付けられたそれは軍医達が学校で学んでいる。酒を蒸留して作った高濃度の消毒用アルコールを必ず軍医には装備させている。勿論基本的な手洗いやうがいなどの衛生管理は、常日頃から石鹸などを流通させる時に叩き込んでいるため、多分だが他の国に比べて病気の罹患率や死亡率は大幅に下がっているはずだ。


 そして砲兵隊は攻める時用の攻城兵と守る時用の籠城部隊に分けた。守る時の砲兵は基本的に蒲原城や設置予定の下田、館山、稲村あたりに配備する予定だ。当然ながら城から出て戦うことはまずない。


 技術的な話としては銃の改良を頼んでいる。まずは銃床を肩当て式に元々なっていたのを折り畳み式にして、強度も保てないかを試作させている。蝶番を使った構造で竜騎兵達には好評だ。


 大砲に関しては射程距離が400mほどだったのをライフリングを施させて1km飛ばせるようにした。だが、これは量産が難しく蒲原城に3基ほどしか設置できなかった。また、砲身の過熱で連射も難しいため、どちらかと言うと狙撃と言うか、ピンポイントで狙い撃ちするようだ。その分近づいてきた敵には従来の大砲で雨霰のように撃たせる予定である。


 うん、大丈夫。出来ることはやった。配下達の配置もしっかりとしている。安房攻めとは違い、今回は守る戦だ。大丈夫。


 安心は出来ないが、そこまで大きな不安を覚えることもない、と思う。だが、相手は海道一の弓取りに、下手したら甲斐の虎だ。くれぐれも油断せずに行こう。

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