第14話
さて、手に入れた鉄砲は2つ職人達に回して分解用と完成品で使わせる。これの量産を最優先事項にする。そしてもう一つの鉄砲は自作していた火薬を使って弾丸を撃つ試験や、作った弾丸を使えるかの試験だな。
フランキ砲は2つとも職人達に回して同じように量産させる。クロスボウに関しては半分を職人達へ、半分を風魔に回しておく。
目処としてはクロスボウを半年で、鉄砲を1年で、フランキ砲はまあ3年で量産の目処を立ててほしいと伝えておく。多分だが大きい分フランキ砲の方が早く出来上がると思う。それでもいいとは伝えている。
勘助には火薬を使っての部隊運用を学ばせるために出来るだけ鉄砲などに触れさせる機会を増やす。その為に鉄砲の職人達との連絡役に指名しておいた。
最近ではスリングのおかげで農兵や常備兵達の投石が威力があり、統率の取れた攻撃になってきている。この調子なら壺などに火薬と鉄片でも入れた爆薬を上から降り注がせるなんて事もできるだろうな。
あと、風魔には先々のことを考えて竹筒に入れた爆弾と壺に入れた城壁破壊用の爆弾を調節して作ってもらっている。竹筒爆弾は闇夜に敵の拠点や保管庫に設置して破壊工作をするようだ。うまくやれば城の架け橋や城門の蝶番をピンポイントで壊せると、小太郎がニヤニヤして喜んでいた。
鉄砲を使うための人員を調節する為に兵をまずは500ほど新しく徴兵した。黒鍬衆の徴兵に見せかけて鉄砲隊としての訓練をさせる。とりあえず今は鉄砲自体が足りない為、通常の訓練と鉄砲の形をした木の模造品に銃剣のようなものをつけた白兵戦を虎高に考えてもらい、部隊長として訓練させている。それと全員を馬に乗らせる訓練だ。
伊達が史実でやったと言われている。竜騎兵を再現する為に馬に乗る練習をさせる。それと火薬を使って音だけでも再現をして人と馬に慣れさせる訓練だ。
こんなにやっていると勿論火薬は足りないが、風魔だけでなく、長久保や韮山の所でも硝石作りをやっていた為そこそこ余裕があるし、薬だと言って小田原で秘密裏に量産させたりしている。
「楽しくなってきたな。」
ポツリと呟いたのをめざとく拾った勘助と虎高が、
「大将は悪ですのう」
と褒められる。[悪=強いという時代です。]
「勘助や虎高、幸隆が柔軟な頭を持っていて助かったよ。お前達の力は必ず役に立つ。」
「大将に付き合ってたら、そりゃこうなりますぞ。」
男4人ではっはっはっと笑いあう。
一応ここではっきりさせておくと、人前ではこんな態度を取らないが、我々だけの時は気安く友のように接してもらっている。俺の精神的にも楽だし、ストレスを溜めたくないのだ。
あと、序列的には、
伊豆北条?と自称するメンバーでは、
俺 幻庵>直勝>勘助>伊豆衆 虎高 幸隆となっている。俺は名目上、実質は幻庵だ。そして伊豆衆を纏める直勝が来て、軍師である勘助がくる。そしてそれぞれの部隊長となる伊豆衆と虎高、幸隆である。できれば伊豆衆の中でも武勇に秀でていないメンバーと、今育てている文官メンバーは戦場に出したくはない。
文官は代えが利かないのだ。引き継ぎやらなんやらでめんどくさい。
とりあえず、年末前最後の評定を行う。
「今年一年も皆が俺を信頼して従ってくれたおかげで、来年の収穫も楽しいものとなるだろう。ありがとう。さて、喜んでばかりもいられないのが現状だ。来年はついに雪解けから蒲原城の築城に入る。大義名分はできている。
実際に北条の豊かさを聞いた農民達が保護を求め、こちらに逃げてきている。彼らの安全と豊かさを保護する為とする。
まずは最初の3日間で陣地を構築する。この間は攻められないだろうから、ここでどうにか固められるだけ固めたい。
そして、あとは常備兵500を警備に当たらせて、黒鍬衆と大工達で築城に入る。期間は半年、残りの半年で強化をする。とりあえずは形になるものを作る。
その間に警戒するのは今川は勿論、武田も注意しておくように。挟み撃ちにされれば幾らなんでも厳しいものがある。
勿論道を整備してすぐに救援に駆け付けられるようにするが、物見を忘れるなよ。
河東を実質的に支配して今後の憂いを絶つ!」
みなが俺の話を聞いて気合を入れる様子が伝わってくる。これなら大丈夫だろう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます