第22話 本当の姉妹
あれから2か月が過ぎた。この体にも大分慣れた。いまだに慣れないのは風呂だ…
男湯に入るのはリーン姉様が許してくれないし、何よりリーン姉様が一緒に入ってくるのだ。家族だし同姓なら別に問題ありません! と。確かに男の時と違い、込み上げてくるものはないが…
リーン姉様の裸を見るのも、自分の裸を見るのも兎に角恥ずかしい。風呂に入る度に目のやり場に困っている。むーちゃんは前と同じ男湯でサイアスさんと入ってるし…
その、湯で毛が張り付いたチンチラとは思えないほっそりしたボディが見れないのはちょっと寂しい。
修行は順調だ、今ではリーン姉様と剣を交えての模擬戦も行っている。大怪我する時もあったがむーちゃんが綺麗に治療してくれるので傷もない。そうそう、リーン姉様の刀を見せてもらった。守護霊が契約者の為に作ったアーティファクトにはその者にしか扱えないように文字が刻まれているのだが…
リーン姉様の刀にも刻まれていた。その文字は刃の横腹に刻まれていて
(シャリーンの刀) と日本語で…
どうやらこの世界では日本語は古代、神様が使っていた言葉とされているようでその文字を読める人はほとんどいないらしい。この修行場を管理している守護霊、さだ子さんは少しわかるらしい。俺の剣、捏紫ねしの
この妙なセンスはアーティファクトを作る守護霊の個性によるものだろうな…そして現在の俺のステータスはというと。
【ヒロミ・ライラック】
LV 56
HP 30568
MP 81265
降霊術士候補 (
年齢 15歳 女?
【スキル】
巨力(大) 快足(大) 堅体(大) 自己強化(大) 魔力検知(中)
【特 性】
毒耐性(極) 麻痺耐性(極) 変態の娘 ヒナの弟子 元おっさん リーンの妹
性転換 月との契約
<守護霊>
通称 自称神様
属性 神属
能力 ****
自由奔放 創世者
LVはかなり上がって、HPもMPも普通のLV帯ではありえない数値になっている。異世界チートと言ってもいい数値だが高位の守護霊持ちとやりあうとこれでも足りないと思われる。女の体になった事で当然性別は女、?が付いているのがいずれ元に戻れるからなのか?
しかし、男の時も?は付いていたよな…初めから予想されていた感じもするが今は考えても仕方がない。スキルとしては増えていないがそれぞれの能力が強化されている。特性は… 相変わらず訳わからん表示になってる。性転換てなんだよ、確かに性別変わったけどさ。月との契約というのがむーちゃんとの契約になるのかな。
むーちゃんは俺の守護霊ではないので守護霊としては表示されないらしい。天照は… 相変わらずだがどうやらバカンスは終わったらしい。前回女に変えられた時から会ってはいないが何かしら気配を感じる時がある。こちらの様子を見ているのだろう。
リーン姉様のステータスはこんな感じだ。
【シャリーン・ヒナ】
LV 273
HP 12585
MP 16426
降霊術士 (
年齢 17歳 女
【スキル】
縮地(錬) 扇の舞 剣の舞
【特 性】
慈愛 モフる者 料理好 王国降霊術士序列3位
スリーサイズ 82・47・73
<守護霊>
通称 ニニギ
属性 神属
能力
家庭的 天照の孫
リーン姉様もLV上昇値には合わないHPとMPの状況だ。俺との修行で魔力が活性化した結果らしい。縮地に(錬)が付いているがこれは俺との追いかけっこの際に身に着けたらしく普通の縮地は入り口と出口が一つだがリーン姉様は出口を複数選べるようになったらしい。最初は出口が一つだったのでそこに向かえば良かったが出口が複数現れてどこから出てくるかわからないないから捕まえるのに苦労するようになった。
リーン姉様の刀は守護霊であるニニギさんが作成した刀だが扇子とセットだったらしい。
え?俺のスリーサイズ? 内緒に決まってるでしょ。
「さあ、では王都に向かいますよ」
サイアスさんが用意した馬車に荷物を積みながらリーン姉様が意気込んでいる。色々あったが日本人である俺には実に快適だったこの修行場も今日で最後だ。
「さだ子さん、ありがとうございました」
… ん、また来るといい …
この修行場の守護霊であるさだ子さんはここを離れる事ができないらしい。ここを守るという使命もあるしね。俺は王都に上がりそこで降霊術士の試験に挑む。合格したらしたでまた色々あるらしいがとりあえずは試験合格だ。
… さだ子よ、世話になった …
… ツクヨミ様こそ、会えてよかった …
さだ子さんがツクヨミ様の分体であるむーちゃんを抱きかかえて馬車の中へ送りだす。
「では、行ってきますね。さだ子さん!」
… リーンもがんばって …
「また、降霊術士になって絶対きますから~」
… 待ってる …
馬車は動きだした。さだ子さん、あまり話さないけど優しい守護霊だ。座敷童だがお母さん的な存在。絶対また来よう…
◆ 王 都 ◆
17日間をかけてディアマンディ国の王都までやってきた。今回は道中、魔獣や獣に襲われなかった。俺の大きい魔力を怖いものとして認識するようにむーちゃんが結界のようなものを張っていたからだ。
本来なら、直ぐにでも王宮に出向き王へ謁見しなければならないがそちらを先にしてしまうと試験に支障が出るとの事で試験が終わってからになった。正直、王様になんぞ会いたくはないが… リーン姉様の所属している
「部屋をお願いします」
「あいにくと今日は二部屋しかないのですがよろしいでしょうか?」
「ええ、では二部屋でお願いします」
支払いをしているリーン姉様に聞いてみる。
「二部屋ということは私はサイアスさん達と同じかな?」
リーン姉様がこちらをガッっと見る。
「何を言ってるの!私と一緒に決まってるでしょ!」
「え、ああ、わかりました」
ここに来るまで野宿で皆一緒だったからつい自分が女になってる事を忘れてしまっていた。しかし、リーン姉様と一緒の部屋か… 二人きりは初めてなんだけど。
… ミーちゃんも一緒にどう? …
サイアスさんの足元で毛繕いしているミーちゃんに念を送ってみた。ミーちゃんは一瞬震えて答えた。宿屋の店員には見えていないらしい。
… だ、大丈夫にゃ! 私はサイアスの守護霊だからサイアスと一緒にゃ! …
この王都に来る間ミーちゃんは散々リーン姉様にモフられてたからな~
… そ、そうなんだ?そしたらむーちゃんは …
… むーちゃんはサイアスさんと一緒! …
すかさずリーン姉様から念が飛んできた。むーちゃんは普段から男湯に入り、女性陣とは距離を置いている感じでリーン姉様の認識では完全に男認定だ。実際雄なんだろうけど…
ミーちゃんというと男湯、女湯どっちも入りあまり性別の垣根がない。本人も性別は無いと言っているのでそうなのだろう。
「では、お部屋は2階の奥の部屋二つになりますので」
「ありがとう、さあ、行きますよ~」
リーン姉様は俺の腕に手を回してがっりし組んで部屋へ連れていく。
「リーン姉様、一人で歩けますから!」
「ふふふ、だめです」
こうなったらリーン姉様は言う事を聞かない。割と頑固なところがあるんだよな~
「では私も部屋に…」
やり取りを傍観していたサイアスさんが自分の部屋へそそくさと移動する。ミーちゃんはリーン姉様の真似をしてむーちゃんの手を掴み連れて行った。
各自の部屋に入ると…そこにはベッドが一つしかなかった…
「ええ~、ベッド一つなの?」
「いいじゃない、姉妹で一緒に寝ましょう~」
「は、恥ずかしい…」
「襲ったりしないから大丈夫よ!」
男だったら大歓迎なんだが、この体じゃなんか恥ずかしいんだよね… この2か月以上、リーン姉様とはずっと一緒にいて本当の姉妹のような感じで接してもらっている。おかげで女になった不安など感じる事はなかった。この人なりのやり方で支えてくれていたのだと思える。本当に感謝しかないね…
しかしその夜は割と広いベッドなのにリーン姉様、すごい近くてなかなか寝付けなかった。疲れていたのでその後すぐ寝たらしい気が付いたら朝だった。試験は明後日からなのでそれまでは今日は色々と準備だな。
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