第7話 演出
俺、
しかも転生前の記憶を封印されて…
異世界で生まれてから15年、普通の人として過ごしてきた訳だ…
「全く普通って訳じゃ無かったよ〜」
胡散臭い神様は俺を見てニヤニヤしてる。
「完全に記憶が封じられ無くてさ〜、生また時に凄かったんだよ〜」
えっ⁉︎
「生まれてしばらくした日にお乳をあげようとした母親に突然ね」
《お母様、今日は右のおっぱいから頂いてよろしいでしょうか?》
「真面目な顔をして言ったんだよ〜」
なにそれ! 全然覚えてない!
「家族は大騒ぎ、父親は幼馴染の領主に相談して魔力特性の玉を借りて来てね、君に握らせちゃったからそれでまた大騒ぎ〜」
「玉が
「慌てて君の記憶を再度封印して、母親に啓示も与えて大変だったよ〜」
「神様が記憶封印漏れって…」
「予想以上に君の魔力が強くてね完全に封印されなかったみたいだね〜」
「まあ、お陰で啓示が出来たしそのおかげで家族も君をそういう者として育ててくれたからね〜」
「そういう者ってどういう啓示をしたんだよ?」
「なんだったかな〜 世界を救っちゃう! みたいな〜」
なるほど… お母様の妄想的な期待はそのせいか…
親父の異常なシゴキとか姉達の過剰ないじりもそういう事か…
「何にしても成人おめでとう〜」
「これからが大変かもだけど君なら大丈夫だと思うから〜 頑張って〜」
色々知ると家族との接し方がなんか不安だな。
「それは大丈夫だと思うよ〜」
「なんで?」
「だって
「辞退してもよろしいでしょうか!」
「ふふふ、無理だよね〜」
「さあ、彼女が待ってるよ〜」
「一つだけわからないんだが?」
「何かな〜?」
「俺の家族はなんであんなに変態仕様なんだ?」
「ああ、あれはね君のお世話をしてもらうので私の眷属から加護を与えているからなんだよ〜」
「普通じゃ君の相手はできないからね〜」
なにそれ、それじゃ俺もそれ以上に変態なのか…
すごい嫌な気持ちになると同時に家族と過ごした15年間を思い出していた。
変な子供だったろうによく普通に過ごせていたな…
普通だったかどうかは疑問だが…
しかし普通ではなかったもしれないが家族としての幸せはあった事には家族に感謝したい…
「はい〜 そんじゃバイバイ〜」
人が感傷に耽っているのに相変わらず軽い神様だ!
…また周りが白くなる
それにしても俺はこれからどうなるんだろうか…
………
シャ……
シャラーーーーン …
鈴の音が聞こえる…
気がつくと前の台の上で亜麻色の彼女が踊っていた。
夢… だったのか?
…違うな 今の俺には転生前の記憶が確かにある。
不思議な感覚だな。この世界で15年過ごしこの世界が全てと思っていたのに別の世界から来ただなんて。
降霊術や規格外の人達が居るので転生者が居るんじゃないかと思ってはいたけど…
自分だった…
「あれっ?」
うお! いつの間にか踊りをやめた亜麻色の彼女が目の前に居て俺の顔をまじまじと見てる。
「おかしいですね?霊の気配がしたのに直ぐ消えてしまったみたい」
「でもあなたからさっきとは違うものを感じるし?」
さらに顔を近づけてくる彼女から良い匂いが漂って来た。
「ちっ 近い近い!」
異性との交流が転生前も含めて無いんだから!
「うーん、ひょっとしてもうなんか貰いました?」
自称神様から転生前の記憶を貰いました!
とは言えない…
… ごめんね〜 演出を忘れてたよ〜 …
頭の中に自称神様の声がした。
その瞬間、天井から真っ白い光が俺たちに向かって降り注いだ。
「あ、今来たのね⁉︎」
亜麻色の彼女は慌てて元の儀式台に戻る。
シャラーーン…
鈴を高らかに鳴らしその光がが注ぐ先に溢れんばかりの笑顔送っている。
作り笑いじゃなく何かを期待している子供のようなキラキラした笑顔。
よくこんな笑顔をできるもんだ。
思わず見惚れてしまう。
光の中から神々しい人影が降りて来る。
あれ? さっき見た自称神様と違う?
こっちの方がすごい神様ぽい!
違うのが来た?
スパ~ン!
「あいた!!」
突然何かに頭を叩かれた⁉︎
… 余計な事は考えないようにね〜 …
やっぱり自称神様かよ… 叩かなくても。
しかし驚くのも無理はない、さっきとは違い立派な衣装で後光もさしてる!
見た目も女性に見えるな… 女神だったのか?
「賢み〜 賢み〜 出ましたる御魂〜 」
亜麻色の彼女は変わらず神々しい光に負けず素晴らしい笑顔で空から来た何かを迎えている。
( 私を寄せる者よ。この私を寄せる術、見事でした)
儀式の事を忘れてたくせに・・・よく言うな~
透き通る声、やっぱりさっきの自称神様とはちがうやつだな・・・
現れた何かがこちらを睨む感じがした。
「ありがとうございます。あなた様に出会えました事を幸せに存じます。」
ま、まぶしい!
自称神様の光と亜麻色の彼女の笑顔で目が潰れそうだ…
俺は何を見せられているのだ!これが演出なのか!
華やかな音楽まで聞こえてきそうだ!
( その笑顔、覚えがありますね。
「知っているのですか?」
( 私を降霊した唯一の者でしたからね、あの者もとても素敵な笑顔で儀式を行っていました)
「
(そうでしたか、あなたがあの者の…)
(面影がありますね…)
なんだか
(それでは、儀式を進めましょう。その前にそこにいるのでしょう? 姿を見せなさい。)
え、何か他に居るのか?
(天照様… 申し訳訳ございません)
!! 亜麻色の彼女の方からまた知らない声が聞こえた。いやそれよりも⁉︎
〈〈 天照様⁉︎ 〉〉
亜麻色の彼女と俺は完全にハモって叫んでいた。
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