第二話 人、龍人、モンスター。
ドアを開けた先は、『リビング、ダイニング、キッチン』の三つが揃ったいわゆるLDKの部屋だ。
リビングには
手前がキッチン、一番奥がリビング、二つの真ん中がダイニングだ。
「部屋の奥ってこんな感じなのかー、新しいのか古いのか……」
ノワールは目上の人相手には基本的に丁寧な言葉
この部屋は飾りなどがあまりなくシンプルだ。壁にかけられている一つの写真以外にあるのは、飼育場の柱に貼ってあったような領収書や納入書、さらにはウェールズ語で書かれた家畜のエサの注文書だけだ。
二人が向かったのは
電源をつけた時にはまだドキュメンタリーは始まっておらず、経済ニュースで英国だけでなく世界の株式市場について報道している。
治安状況が不安定なはずのイラクにある
経済ニュースの間、サルンは人数分のピーナッツと水を用意する。ピーナッツはさらに乗せられているが、水は水道水をコップに入れたものではなく
サルンは用意した飲食物を乗せた二つのお盆をソファのすぐ前にある背の低いテーブルの上に置き、その後
ピーナッツの分量もノワールのものより、確実にサルンの方が量が多かった。
ノワールがサルンに
この歴史ドキュメンタリーは『世界の記憶』というシリーズのうちの一つだ。
オープニングテーマが終わり、テレビの画面には三十代くらいの女性が映し出された。彼女の後ろにはクロマキー合成で古代遺跡のような背景が映し出されていた。
『今から六九年前、第二次世界大戦が終わって
彼女の語りと共に、画面の右下に少女の白黒写真が出てきた。
『彼女の名前は『エリー・ヴァルマ』。イギリス本国出身の父とインド人農民の母から生まれたハーフで、ムンバイの近辺にある農村で暮らしていました』
映し出されている少女の全身の写真には、いくつか普通の人間ではあり得ないものがある。
龍の翼と
『では、そんな少女が世界を震撼させた歴史。さらに、なぜ現在のような龍人と人間が共生した社会が出来上がったのか。これらの歴史を、早速VTRで見ていきましょう』
それから画面が少しづつ薄くなり、数秒経つと完全に真っ暗になった。
こうして、翼と尾を持つ不思議な少女についてのVTRが始まろうとしていた。
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