閑話 インタビュー 1
もしもーし。シュテリアさーん? 口半開きで固まってるぞー?
「し、失礼しました。あまりにも突拍子もないお話だったので」
あれ、信じてもらえてないかな。
「いえ、信じます。信じなければ聖者様のお力が解明されません。【鑑定】【無限収納】【言語理解】ですか……魔法とはやはり神の御力のことだったのですね」
ちなみに俺は今母国語の日本語で話してるつもりなんだけど、いい感じで翻訳されてシュテリアさんには聞こえているっぽい。逆にシュテリアさんの言葉も俺が分かる言い回しで翻訳されてるんだよね。
「そ、そうなのですね……。あの、どんな言葉も理解して会話できるということは、虫や獣の言葉も」
言葉というほど複雑じゃないけど、分かるよ。
「……す、すごい。魔物もですか!?」
いやぁ、あいつらは叫んでるだけだね。意思がないと言ってもいいかも。とにかくあいつらは壊して殺して食らって暴れるだけの存在で、生き物としての営みはなにもできない世界の害悪だから、積極的に倒そうって記事に書いといて?
「は、はい。それはもちろん……。あの、無限収納の御力についてですが、聖者様が持ち上げられるものであれば何でも、ということで間違いないでしょうか?」
そうだけど?
「海水をすくい上げたら『持ち上げられた』ということになって、海すべてを収納できる、とか?」
いやいや、すくい上げた分だけだよ。それに持てないものは収納できないから気体も無理だね。
「そ、そんなことまでお話いただかなくても! 聖者様の弱点になるようなことは記事にできませんし!」
ははは。お気遣いありがとう。まぁ、そんなこと知られた程度で俺はどうにもならないけどね!
「え、ええと【若くて健康的な体】ですが、聖者様ご自身は今のお姿はお気に召されているのでしょうか」
それなー。俺、鏡に映らないから自分の姿を見たことがないんだよね。
「えっ!?」
ヴァンパイアの種族特性なのよ。あ、これはオフレコにしといてもらおうかな。オフレコってどう翻訳されて伝わってるのかわかんないけど。
「は、はい」
伝わった!
いいねぇ、悪くないよシュテリアさん。ちゃんとメモを塗りつぶして消してくれてるし、実に賢い女性だ。
ところでシュテリアさんから見て、俺の姿はどうなの?
「それは……」
ほら、それ、ほんとそれ!
誰に聞いても俺の外見についてちゃんと答えてくれないんだよね! どんだけブサイクなんだよって。マジで凹むわぁ。まぁいいけどさぁ。
「……か、かっこいいと思いますが(こんな絶世の美男子相手にどんな感想を言えばいいのかわからないんですけど)」
うん、お世辞ありがとね。気を使わせてすまん。
「鑑定の御力についてもお伺いしたいのですが、それはどこまでのことを見れるのでしょうか」
えーとねー
「? どうして空中をなぞっているのです?」
ここに俺にしか見えない紙というかモニターというかディスプレイというか、とにかく鑑定した情報があるわけよ。で、どこまでのことが見れるのかって話しだけど、結構鑑定のスキルレベルを上げたからほとんど全部わかるね。
例えばシュテリアさんの生まれてこれまでの間にできた出来事とか、身体能力とか、スリーサイズとかも……。
「スリーサイズとは?」
あぁ、ごめん。こちらの世界ではあまり気にしていないみたいだけど、胸周り、腰周り、尻周りのサイズを図るんだ。こっちではあまり身に着けないみたいだけど、得に女性が下着を選ぶ時に……ところでシュテリアさん。手に持ってるそれ何?
「最近都で流行っているアミュレットです。厭らしい男を寄せ付けないという噂だったので、聖者様の手篭めにされないように肌身放さず持っています」
いやいやいや! 記者さんにはなにもしないけど! てかそれ十字架だよね!? なんでそんなもんが流行ってんだ!? あ、ごめんなさい、スリーサイズは見てないです。見てないってことにしてくれません!?
おーいキサナ! 記者さんに一番いいケーキをお出しして! 高級紅茶も! 早く!
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