連想推理探偵部④
一限目が終わり思乃と想太は再度合流した。 特に役割分担に変更はなく、朝の続きとして活動していく。
「では僕は相原さんと一緒に美鈴さんを捜しにいきますね」
「分かったわ。 浮気調査は私に任せて」
想太と二手に分かれ、二年生の階へ行き浪川のいるクラスへ向かう。 身を潜めひっそりと浪川の様子を窺った。
「ねぇ、あの人誰?」
「三年生じゃない?」
「何かこそこそとして怪しいんだけど・・・」
周りに不審がられるも完全に無視。 今思乃は学校に生える電信柱になったつもりなのだ。 依頼を達成するために浪川から視線をそらすわけにはいかない。
―――・・・!?
そこで意外な光景を目にする。 先程は複数の同性と話していたのだが、現在は複数の異性と楽しそうに絡んでいたのだ。
リア充ここに極まれりと言った様相で周りには天使がサンバを踊っている姿を幻視した。
―――ちょっと!
―――いくら何でもプレイボーイ過ぎない!?
―――これだからモテる男子は・・・ッ!
そう思っていると近くから気になる内容の会話が聞こえてきた。 無視しようかとも思ったが、内容が自分に向けられていて無視できないものだった。
「あの人ずっと浪川くんのことを見ているよ」
「本当だ。 あの人も浪川くん狙いなのかな?」
確かに浪川を見ているのは事実だ。 そして、浪川の様子を見ていると女子から人気があるのはすぐに分かる。 ただ気になったのはそれだけではない。
―――浪川くん狙い?
―――・・・どういうことかしら。
―――浪川くんは佐々江さんと付き合っているのに何か違和感のある言葉ね。
―――二人は付き合っているということを公言していないのかしら?
―――・・・いえ、佐々江さんの性格からしてそれはないわ。
―――偏見になってしまうけど、あの手のタイプは拡声器で“私たちは付き合っています!”と宣言するタイプ。
―――プライベートでは手錠を常備しているはずよ。
疑問は尽きないが、休み時間が終わりそうなため一度自分の教室へ戻った。
―――確かに異性とのボディタッチを含め、あれを浮気とするなら真っ黒ね。
―――だけどさっきの女子たちの会話が気にかかるのよねぇ・・・。
―――まるで根本から大きく間違えているような、そんな感覚。
二限目が終わってもう一度浪川のいるクラスへ向かった。 すると丁度佐々江がやってくる。
「探偵さん! 何か証拠は掴めましたか!?」
ボディタッチはあったが浮気の証拠とするには弱い。 浪川に浮気でなくてただのクラスメイトとのスキンシップと押し切られる可能性もあった。
―――まぁそれを嫌だと思う気持ちは理解できるけど、やっぱり単なる勘違いなのかしら?
「それがまだね・・・」
「そんなぁ・・・」
「そうだ! ちょっと佐々江さん、浪川くんと話してきてくれないかしら?」
「え、私が? それはいいですけど・・・」
浪川のもとへ行く佐々江を見送った。 二人の会話に集中し聞き耳を立てる。
「ねぇ、浪川くん!」
「な、何だよ・・・」
「今日の昼休みも一緒にお弁当を食べない?」
「いや、俺は普通に友達と食べるし」
「でも私浪川くんのためにお弁当を作ってきたんだよ?」
「それは有難いけど、俺は別に作ってほしいだなんて頼んでいないから」
「でも私からのお弁当だよ? それは嬉しいでしょ?」
「まぁ気持ちは嬉しいけど・・・」
浪川の態度がどこか素っ気ないのが気になった。
―――やっぱり何かあるわね・・・。
―――浪川くんの発言からは佐々江さんとの一定の距離を感じる。
―――最近喧嘩したりとか言い争いがあったりとか・・・?
―――あぁ、もう!
―――行き詰ったら連想ゲームよ!!
―――そう、これは遊びの連想ゲーム!!
―――今回の依頼は浮気調査だった。
―――佐々江さんが付き合っている浪川くんが最近おかしいから、様子を見てほしいとのこと。
―――これが大前提。
―――そして調査の結果違和感を感じたこと。
―――同性と絡んでいたのは、常識の範囲だから今はよしとしましょう。
―――まず気になったのはさっきの休み時間で聞いた女子たちの会話。
―――私も浪川くん狙い?
―――いいえ、今は依頼を受けているから浪川くんを監視していた。
―――でもその行動が狙っているように思えた?
―――それはどうして?
―――彼女たちは『あの人“も”浪川くん狙いなのかな?』と言っていた。
―――“も”ってどういうこと?
―――そしてさっきの佐々江さんと浪川くんの会話。
―――佐々江さんは毎日お弁当を作ってあげているようだけど、浪川くんは『別に作ってほしいだなんて頼んでいない』と言った。
―――それはどうして?
―――普通彼女なら嬉しいと思って是非頼まない?
―――佐々江さんの料理が下手だから断ったという可能性もある。
―――でもそしたら最後に答えた『佐々江さんからのお弁当は嬉しい』という発言と矛盾する。
―――それは一体・・・。
―――二人の関係はもしかして・・・?
あと一歩のところで詰まっていると浪川が同性の友達と一緒に教室から出てきた。 いつの間にか佐々江との会話は終わっていたらしい、 そこで驚くべき会話を聞く。
「浪川、そろそろ彼女を作ったら?」
「そうだなぁ・・・」
「佐々江に毎日言い寄られて飽き飽きしてんでしょ? なら佐々江除けにでも彼女を作った方がいいぜ」
浪川たちはそのようなことを話しながら通り過ぎていく。
―――・・・なるほど、そういうことだったの。
彼らの話を聞き疑問がなくなり全てが繋がっていた。
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