実在しない膝イタ独身熟年おじさんVSインターネット


 ネットの広告表示の際、そのユーザーにより適切な広告を表示する為、あなたの事を教えて下さい悪用しませんし安全に管理しますから。って言われた事がある人、多いと思うんです。私も腐る程ありました。教えた事は無いんですけどね。


 たとえばGoogleアカウントを持っていると、Googleが表示する広告の内容について設定が出来ます。それもしてませんけどね。私がGoogleアカウントを作った際に教えている個人情報は、必須項目である生年月日ぐらいです。性別すら伝えていません。ネットに絶対安全な場所ってありませんから、情報を守るには、そもそもそれをネットに持ち込まない方法しか無いのですから。大きな企業もハッキングされて、情報流出して謝罪するってニュースを見た事があるでしょう? 故に私は寡黙を貫いているのです。つまりGoogleからすれば私とは、年齢しか分からない人間なんですね。ここではペチャクチャ下らない事書き連ねてますが、Google相手になるともーう一言も口を利きません。詮索しないで頂戴。


 歳しか分からない人間に適した広告とは何なのか。導き出すのは困難でしょう。広告設定とは、どういうものに興味があるのかといった情報、たとえば映画、音楽、というジャンルごとに、積極的に表示させるのか否かを選べるのですが、私はそれすら野放しです。検索履歴も毎日全削除するよう全てのブラウザに設定しているので、履歴から私の趣味嗜好を追うという事も出来ません。この可能な限り追い求めた秘密主義。素晴らしいでしょう。故にこの守りとは鉄壁なのです。ここではめちゃくちゃ書いてますけど。お母さんがデブとか。プロフィールにも思いっきり、ダークファンタジーが好きって書いてる。


 然し広告表示も立派な仕事。たとえ謎の人物が相手でも、止める訳にはいきません。でも、どうやって興味を引くような広告を表示すればいいのか。インターネットに残された道はただ一つ。まだ削除されていない、今まさに私が閲覧しているそのフレッシュな情報から、適切な広告を導き出すしか無い!


 その日の私はピクミンブルームという、ポケモンGOのピクミンバージョンみたいなお散歩ゲームに夢中で長距離を歩き回り(十キロ強)、若干膝が痛くなっていました(アホ)。まあ暫く歩き回るのを控えていれば治りますし、現在も継続中のストレッチと軽い筋トレで脚力アップを図っていますから過剰に歩かなきゃいい話なんですけれど、ふと思ったのです。そう言えばお年寄り向けに販売されてるグルコサミンだの何だのって、本当に効くのかなって。


 検索してみました。グルコサミンには詳しくないので、検索ワードもガバいです。「膝 痛い グルコサミン」みたいな。そしたらお年寄りのモデルが起用された、関節に効くらしい商品が現れる現れる。テレビでは見ないだけで、ネット販売のみの商品も沢山あったんですね。


 こんなにあるなんて知らなかったー、と、ある程度閲覧して満足した私は、カクヨムさんにログインしました。公募用の長編書きたいし。カクヨムさんにも広告表示システムが実装されて何年でしょう。もうすっかり見慣れて気になりません。さーあダッシュボードに入ってプロット確認したら、あれをああして……。


 ダッシュボードをクリックしようとした手が止まりました。それより先に、視線がトップページに釘付けになっていて。


 トップページは好きなんですよ。カクヨムさんに居ついたきっかけでもあるんですが、キャッチコピーの色が鮮やかだから見てて楽しくて、よく眺めてます。ですがその日釘付けになったのは、注目作品達のキャッチコピーでは無く、その少し下に表示されている広告でした。


 普段は何でか「今ならガチャ◯連無料!」だのと謳う、軟派そうな美少女ゲームの広告ばかりです。今更見当違いなインターネットの、浅い広告になど動じません。


 然しその日表示されていたのは、紫を地に黄色の明朝体で、「熟年専用マッチングアプリ」と記された広告でした。


 熟年専用マッチングアプリ……!?


 そんなものがこの世に存在するのか。そう言えば何年か前から、熟年離婚という言葉を見聞きするようになった。つまり熟年の為のマッチングアプリが開発されても、不思議では無い……!?


 世界の未知と遭遇した私は、熟年専用マッチングアプリの広告の隣に並ぶ、もう一枚の広告に目を奪われます。


 そこにはお年寄りのモデルがどこぞの屋外で、苦い顔を浮かべ片膝を着いている姿。そのお年寄りを飲み込む勢いで大きく記されている赤い文字は、「膝に悩みがある、五十歳・六十歳の方に!」と訴えつつ、肝心の瓶でも入ってそうな細い縦長の箱はめっちゃ小さく表示されていて結局何が言いたいのか分かりにくい、関節に効くらしい健康商品を宣伝する広告があったのです!


 いつも軟派なゲームの広告なのに、何で突然、揃って熟年向けの広告が? 今日だけで急激に少子高齢化が進んで、若者向けより熟年以降へ広告を打った方が儲かるとインターネットが判断した? えほんまに何で? 今日もしかして、世界終わる?


 パニックになりかけるも気付きました。そうだ、私は広告表示についての情報を何ら明かしていないし、表示するには今閲覧した情報を基にするしか無い。さっき私、グルコサミンとか調べてた……。つまりこの検索履歴を使ってインターネットは私を、膝に悩む性別不詳独身熟年と判断したって事……? いや、普段あんだけ下らねえ美少女ゲーム連打してるって事は正確には、膝イタ独身熟年スケベおじさんって思われてるって、コト……!?


 ダッシュボードをクリックしました。何故なら私は、作家を夢見るカクヨムユーザー。ならばこの怒りも力に変えて、いいものを書くのが醍醐味ってものでしょう。どうせ相手も、心無き機械なのだから。


 って感じに、この話をしようと思ってたんですよ。「あ」ってタイトル付けた日に。グダグダになったり他に面白い出来事が起きたりで、今日になりましたけどね。あけましておめでとうございます。今年もシクヨロね。


 カクヨムコン用の短編も仕上げて来ましたよ。今は非公開ですがかつてこのエッセイで「こえけんに使えますかね?」って相談した際書いた体験談を基にした、ハズカシーいラブコメをね! 食らえーッ!!


「クールな先輩が僕とのほっぺチュー(罰ゲーム)で突然デレた」

https://kakuyomu.jp/works/16817330650356531339


 普段はこんな事書かないんですが、もし読んで面白かったら、応援ボタン、コメント、レビュー等をお願いします! あとよかったら宣伝も! 後でTwitterでバカ程宣伝してやるんだからどんだけ恥ずかしい思いしながら書いたと思ってんのよコンテスト終わっても暫く宣伝してやるからマジで。


 それでは今回はこの辺で。何ですか私の名前が木元 宗から「納車で脱輪」に変わってる? ランキング形式のコンテストに参加してる間は名前変えるのを恒例にしてるんですよ私は。以前このエッセイでも書いてたでしょ。


 よい一日を。



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