乙女心は同性でも分からない?


 おはようございます。木元です。小説のネタ集めにプレイしていた乙女ゲームで、衝撃的なイベントが開催されました。ユーザーによる投票で、イケメンの中でも最も人気のある最モテイケメンを決めようというのです。投票券はゲーム内で入手出来るので、好きなキャラの順位を上げたい人は、プレイすればする程投票券をゲットし、そのキャラにぶっ込めるという仕組みです。


 まさか乙女ゲームで、こうも苛烈なイベントが催されているとは……。ユーザー間でキャラの人気を競おうなんて、普通のソシャゲでも中々やりませんよ。恐ろしいわ。


 私は調査の為に潜り込んでいるユーザーに過ぎないので静観しようと思っていたのですが、投票券はログインするだけでも貰えるので、攻略対象一号に調査協力のお礼として渡しておきました。最近中間発表があったので覗いています。誰が人気なのかハッキリと分かるという事は、ベスト3に選ばれたキャラを攻略しておけば、乙女ゲーとは何たるかを効率よく学べるという事ですから、その点では楽しみでした。


 まず攻略済みの一号の順位を見ると、下から三番目というマイナーキャラという事実が発覚し、折り返しまで来ている三号も一号よりは上ですがまああんまり変わらない順位という、映画もアニメもマニアックなものを好むある種私らしい結果でした。思わぬ形で人格を浮き彫りにされた格好で、中々に癪にも障りました。私とは同族嫌悪なのかもしれません。驚いたのはベスト3のキャラでした。


 三位と二位は未攻略のキャラだったのでよく知らないのですが、何と一位にあの、顔を合わせる度に暴言吐いて来るクソ野郎の二号がいたんですよ! それも二位と圧倒的な差を付けて! そんな馬鹿な! 仕事こそ超出来るけど「仕事出来ない奴=人間としての点数カス」と思ってるような、自分より仕事出来ない奴には容赦無く暴言吐きまくって来るあの人格破綻者が! 中間発表でぶっちぎりの一位!? 何で皆あんな奴好きなの信じらんねえ!!


 攻略は続けてますけれど本当に仕事一辺倒なんですよこいつ。仕事以外で人と関わりを持とうとしないし、仕事と無関係なものは全部どうでもいい下らないものと考えてるし、かと思えば主人公と共通の趣味である読書をするんですが、恋愛小説ばっかり読んでるっていう訳分かんねえ奴なんですよ! 何でお前が恋する乙女サイドみてえな事してんだよ私を惚れさせてみろよ! 暴言吐かれて血管千切れそうな思いしかしてねえわこちとら! 恋所か人付き合いもまともにしないくせに何で恋愛小説しか読まねえんだよって訊いたら、人心を掴むとは仕事をこなすにおいて重要な技だから、感情の中でも特に自分には理解し難い恋愛について本で学んでるんですって! 二度とその口開くな馬鹿野郎! 私は、人と真正面から向き合わない奴なんて大嫌いだ! ストーリーはそろそろ折り返しなんですけれど、エンディングを迎える頃にはまともな奴になってるんですかね……? 何でこんな奴が一位なのか、マジでサッパリ分かんねえ……! めちゃくちゃエラソーだし……!


 これでも主人公が困ってたら、一応助けてくれるんですよ。本人はそんなつもり無いんでしょうが。鈍臭くて見るに堪えないから俺が片付けた〜とか、二度とそんな無様な姿を俺の前で晒さないよう精々励めとか、喧嘩売るのも仕事みたいにまーア好き勝手言いやがってあンの野郎ォ!! ここが私が普段やってる死にゲーの世界なら、千度殺しても足りない不興を買ったと思え……!!!


 でも今の所、好感度ほぼマックスで攻略出来てるんですよねえ。反抗的な態度しか取って無いのに、何でだろう。ミスしたの二回ぐらいしか無いんですよ。ミスって言っても百点を逃しただけで八十点ぐらいの。それはつまり成功なんよ。ア゛ア゛ッ! ムカつくゥ!! 勝手にトキめいてんじゃねえ!!


 有益な情報が得られるイベントであるのは間違い無いので、調査は勿論続行します。いやでも、ホントに分かんない。性格悪くないですか? 暴言吐いて、反抗的な態度取られたら喜ぶって。悪そのものみたいな心してんだけど。サディストやん。もしそうなら今の私とは完全に二号のオモチャに成り下がっているので、怒りが更に燃え盛りそうです。何か学生の頃もこんな奴いたなあ。私が嫌がる顔見るの好きな同級生の女の子がいたんですよ友人なんですが。あれはまあ、いい所もあるって知ってましたし、向こうも本気で私の怒りを買うような事はして来なかったので許してましたけれど。二号ももしかしたら、そういうタイプなんでしょうかね。誰でも許せる程私も聖人じゃねえけどなァ! 損失を受ける関係でも続けても構わないって思えるぐらい、ツラでも声でも無い、その内面で魅せてみろよ!


 もし二号のような性悪の魅力を知る方がいらっしゃいましたら、コメントを下さい。私が友人の方を許せた理由は、強烈な人間不信のくせに同じぐらい寂しがりなのを知っていたからでした。私がよくも悪くも裏表が無さ過ぎる性分なので逆に不気味だと感じ、どこまで振り回せば私が離れるか長らく試していたそうです。文字にするとマジの外道ですが、生きている内にひねくれてしまっただけで元は普通の奴と知っていたので怒りませんでした。性格が歪んでしまうぐらい辛い事なんて、生きてるだけで勝手に幾らでも起きます。私もそんな平凡な理由でいちいち人を嫌える程、暇でも狭量でもありません。そんなのキリがありませんし、私が自分で選んだ友人が、私に不適切な人間だとは思いませんから。人に誰と友達になるか選んで貰うなんて、それこそ病的でしょ。ねえ?


 それでは今回はこの辺で。


 よい一日を。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る