第39話 再び
……数時間後、ジキルはウラス王国に着いていた。そしてナージがいる場所に向かっていた。
「……久しぶりに人間世界に来たがここは何もないな。こんな所にナージはいるのか?」
ジキルの周りにはほとんどが木とか草しか生えておらず建物とかもほとんど立っていない、相変わらずの超ド田舎だ。
しばらくジキルは歩いていると遠い方向に大きな屋敷が確認できた。そうジキルはアイシャが住んでいる屋敷に向かっていた。
「……あれか……あそこにナージがいるんだな」
ジキルは屋敷に到着すると大きな声でナージの事を呼んだ。
「ナージ!見舞いに来たぞ!」t
すると屋敷の中からナージではなく、一人の女の子が出てきた。そうアイシャが出てきたのだ。
「……うるさいわよ!人の家に向かって大きく声を出すな!」
アイシャは不快に思ったのかジキルに少し怒る感じに言いつけた。
「……すまない大きな声を出して……ここにナージと言う名前の奴がいると聞いてここに来たんだが本人はいるか?」
「……ナージ?……あぁーアイツね。屋敷の中にいるわよ」
するとアイシャは手のひらを前に出し魔力を練り出した。
ボンッ!
「……えっえっ!あれ⁈」
なんとアイシャは屋敷にいたナージを目の前に呼び出したのだ。
「ほら、あんたの知り合いが来ているわよ」
「えっ!ジキルさん⁈」
ナージはいきなり瞬間移動をさせられて驚いていたがジキルが目の前にいる事にさらに困惑をする。
「……おい、お前何もんなんだ。こんな高等な魔術をするとわ……」
ジキルも困惑をしていた。目の前でナージが召喚されたからだ。
「……この魔術は転移召喚術だろ?この魔術は生きてる物は召喚出来ないはずだ。転移召喚術はその物を一度粒子ぐらいに分解してそれを復元してから自分が作った術式に呼び出す魔術だ。生きてる物を呼び出すとその物は粒子レベルになり大体は何らかの障害を与えるか体が元に治らなくなり。危険性がある。基本は武器や食料などを遠くに運ぶために使われる魔術だ。それに術式なしでやるとは」
「……よく分かったわね。私が色々試行錯誤してやっと出来たのよ。確かにこの術式は生きてる奴を転移をすると大体は体がバラバラになって転移されるが私が編み出したのは転移をする前にその物をコピーをしてから粒子レベルに分解をする。そして私があらかじめコピーをした物をここに作り出す方法よ」
「……ん?待てよ。転移された物はそっくりさんって事なのか?」
「そうね。確かにここにいるナージはオリジナルではなくクローンよ。でもそれは体だけがクローンで魂その物はオリジナルと同じよ。だから私がやったのはオリジナルの体を破壊をして魂だけの存在にさせる。そして私がオリジナルと同じ物、クローンの体を作り出しそこに魂を植え付ける。これが私がやった事よ。まぁー別にこんな事をしなくても別の方法もあるけどね」
「……なるほど……複雑だが大体は理解できた」
この時ジキルは今までの魔術知識を捻じ曲げられた感じにさせられたのだった。
「……所でナージお前の傷は重症だと聞いたがもう大丈夫なのか?」
「……えーまぁー大丈夫なんですが……」
ナージは何かちょっと複雑そうな顔でジキルに言う。
「こいつは一度死んでいるのよ。ズィーナ王国の戦闘で片腕を失い多量出血で死んでいたわよ。けど私がさっきの応用で新しい体を作り、魂をその体に憑依させたのよ。まだ体が馴染んでないからそんなに体が動かせないけどその内以前と変わらない程に動かせるはずよ」
「……まぁーそんな感じです。ジキルさん俺もまだ死んだと言う事実の実感がわかなくて……ハハッ……」
ナージはジキルに苦笑いで返事を返した。
「まぁーここで話してもあれだから家でも上がったら?キア!」
アイシャはキアの事を呼びつけると瞬時にアイシャの目の前に現れた。
「キア、客をもてなして」
「かしこまりました」
「……キア、お前こんな所にいたのか」
「……はい。お久しぶりです。ジキル様」
「……何、あんた達知り合いなの?」
「はい。お嬢様。ジキル様はおじさまの友人であり部下なので私の事は知っております」
「なるほどね。おじさんの部下なのね」
「……おじさん?ジャキ王の事か?」
「そうよ……まぁーその事は後で話すは早く屋敷に行くわよ」
こうしてジキルはアイシャの屋敷で休みを取るのであった。
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