第36話 友人

……トゥルース会談があってから1日後、ガトレイは魔王城のジャキ王の部屋にいた。


「……んー悪くない椅子だ。アイツには勿体ない物だな」


ガトレイはジャキ王の部屋を悠々と使っていた。


「……しかし何だこの大量の本は見ていてうっとしいぞ」


ガトレイが愚痴を言っていると誰かがジャキ王の部屋にやって来た。


「……ガトレイ……この部屋はジャキ王の部屋だ。あまり荒らすなよ」


そう言うのは魔王幹部のジキルだ。


「何だジキルか?……何の用だ」


「お前はいつまでふんぞり返っている。さっさと自分の国に帰れ」


「……俺はもう悪魔族デーモンの王だぞ。ここにいる事は必然だろ?」


「……誰もお前が王だとは認めてないぞ。それにジャキ王は生きている」


「……お前も言うかジキル。ジャキ王は死んだんよ。アイツは帰ってこないんだよ」


「……いや、アイツは死なんよ。いつか帰ってくるはずだ」


「フッ……ではジャキ王はいつ帰って来る?俺が世界を物にした後に帰っても遅いぞ。その時にはもうアイツの居場所は無いからな」


「……お前が世界を物にする事は無い俺達幹部が阻止するからな」


「……おっ?この俺と戦うつもりか?……確かにお前と戦うとなったら骨が折れるだろう。だが俺にはバックがいる。そう簡単につぶせると思うなよ」


「…………ガトレイお前は後悔するぞ。ジャキ王を怒らせるとどうなるか分からんぞ。これは元友人としての忠告だ。今のうちにやめるんだな」


「後悔するだと?……今更言ってもう遅いわ!俺はもう前にも後にも下がれんのよ!俺は自分のためにやってるだけだ!……俺はやらずに後悔するぐらいだったら、やって後悔する方を選ぶぞ。俺はこの腐りきった国を立て直すんだ!」


ガトレイは少し怒鳴り声でジキルに言う。


「………ガトレイ……お前の気持ちは良く分かる。以前の俺もそうだった。……だが、もうそんな考えは時代遅れなんだよ。だから俺はお前ではなくジャキ王に付いて行ったんだよ」


「……やはりお前も既に腐っていたかジキル。お前もジャキ王の言いなりなんだな。……俺は失望したぞ。お前なら俺の事を理解できる奴だと思ったがもう無理のようだな」


ガトレイは椅子から立ち上がり部屋から出ようとする。


「おい、何処に行く。話は終わってないぞ」


「……もう話す必要は無い。それにさっきは自分の国に帰れと言ったではないか、だから帰るとするよ。……ガトレイ、今日からお前と俺は敵だ。俺は次にお前を見たら殺す、だからお前も俺の事を見たら殺しに来い」


「…………」


ジキルはガトレイの言葉に沈黙になる。


「…………ジキル、俺はお前の事をずっと味方だと思っていたよ……じゃーな」


ガトレイは悲しげに伝え部屋から出て行った。


「…………ガトレイ……俺はもうあの時の俺ではないんだ。俺はもう前に進んだんだよ。……だからガトレイお前も前に進める事を願っているよ」


そうジキルは独り言を言い、部屋から出て行った。


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