【第三章】旅路の先 編

第33話 魔王幹部

魔王、ジャキが行方不明になってから2週間が立とうとしていた。


そして、魔王の城で魔王の幹部達が話し合いをしていた。


「……魔王様はいつ帰って来るんです?」


そう声を出したのはロココだ。


「……分からない、……時々何処かに行ってしまう事があったけどこんなに戻ってこないのは初めてよ」


魔王の秘書、ミアが言う。


「…ミア、お前は魔王様と一緒に人間の国に行ったんだろ?……ロココお前も魔王様に呼ばれてナージと人間の国に行ったらしいではないか。お前も何しに行ったんだ?それにナージは来てないがアイツは何をしている」


ミア、ロココに質問をしたのは魔王の幹部の中でも知的で古株の悪魔、ディーロンだ。


「……ナージは療養中です。人間の国で重傷を負ってしまいました。」


「あのナージが重傷か……今ニュースになっているあのロボットと戦ったのか?」


「いや、僕とナージはあのロボットと直接戦っていません。ナージはロボットの攻撃に巻き込まれてしまって重傷を………」


「……それほど、ロボットが強力な物だったんだな……」


ディーロンは少し悲しげに言った。


「……そんな話はどうでもいいんだよ。今回の話は魔王様が帰ってこないのが問題なんだろ?……単刀直入言うが魔王様はロボットにやられたんだろ?」


ちょとイラついた感じに言ってきたのは新米幹部のギギだ。


「おい!新米の癖に嘗めた口を言うなギギ!魔王様が死んだとでも言うのか!」


ミアがギギに怒る感じに言う。


「……ギギの言う通りかもしれません。魔王様は死んだかもしれないです。」


「お前まで言うかロココ‼」


ミアはさらに怒りを感じさせる言い方を言う。


「……ミアは知らないと思いますが自分はこの目で魔王様が爆発に巻き込まれるのを見たんです。それからは魔王様の姿を一度も見ていません……」


「それはないな!」


そう言うのは魔王幹部の中で一番の古参、ジギルだ。


「ジャキ王は死なんよ。アイツの能力は破格の性能だ。どんな事でもすぐに再生してしまう。俺はアイツと何回か戦った事があるから分かる。アイツの能力がある限りジャキ王は誰にも倒せんよ。だからアイツが訳の分からんロボットにやれるはずが無い」


「でも、ジキルさん仮に魔王様が生きてるとして何故帰ってこないのでしょうか」


「……何か理由があって帰って来れないんだろ……そうではない限り2日後のトゥルース会談を欠席をするわけがない」


ジキルの言う通り2日後にトゥルース会談が行われるのだが、あのジャキ王がトゥルース会談を無断で欠席にするはずが無いのだ。


「……やっぱり死んだんじゃないの?」


「ギギまだ言うのか!ジキルは生きてると言っているんだぞ‼」


「……落ち着けミア、ジキルは生きてると言っているが、もしかしたら本当に亡くなっているかもしれん。……最悪のケースを考えるんだ。……とりあえず2日後のトゥルース会談を欠席にするのはまずいから、誰かが代わりに出席をしないといけない……トゥルース会談に誰が行く」


「…………」


そうディーロンが言うが誰も志願して行こうとしない。


「……誰も志願しないなら、このディーロンが行く事に……」


「いや、俺が行こう!」


遠くの方から誰かの声が聞こえた。みんなが部屋の出口の扉の方を見るとそこに誰かがいた。


「‼」


そしてみんながそいつの顔を見て驚く。


「何故お前がここにいる‼」


「フフフ……」


そいつは不敵な笑みで対応した。




……2日後、トゥルース会談の日がやって来た。


前回同様に人間の国でトゥルース会談が行われる。そして会談が行われる部屋にはもう既に他種族の代表者が座っている。そこには鬼人族オーガ代表の王ガオウの姿もあった。あの爆破に巻き込まれていたけど、どうやら無事だったらしい。

……そしてまだ来てない奴が5人もいた。5人中3人は前回と同じ奴が来ていないらしいが、もう一人は魔王族の代表が来ていない。そろそろ始まるというのに魔王の幹部すら来ていない。


「…………5人の欠席者だがトゥルース会談を始める」


そう言うのは人間代表のレゾン・ウィロだ。


「…おい、ちょっと待ていつも来ているジャキ王が来ていないぞ。それでも始める気か?」


話を遮るように割って入って来たのは小人族ドワーフドミノ・アバライだ。


「……その事についてだが今から説明をする」


そうレゾンが言う。


「その説明はしなくていいぞ!」


急に扉の方から声がした。代表者は扉の方を見る。


「ん?何でお前がいるんだ?」


魚人族マーマンのトトイが不思議そうに質問をする。


「俺は地底族ネザーデーモンの代表者だぞ。少し遅れたがこの会談に参加する権利があるはずだが?」


そう現れて言ったのが地族族ネザーデーモン代表の王だった。


「今更何しに来た?地底族ネザーデーモンの王よ。今回はお前が来ても地底族の事について話はしないぞ?」


レゾンがそう説明をする。


「………今回の俺は地底族ネザーデーモンの代表者ではなく、悪魔族デーモン代表者として来たんだよ」


「何⁈」


レゾンは少し驚いた感じで返事をした。


「何を驚く?俺はジャキ王の代わりに来たんだよ。このガトレイがな!」



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