第32話 八王星

……月日が流れズィーナ王国で大爆発が起きてから1週間が経過しようとしていた。


ズィーナ王国の街は半壊してしまったが街の人達が復旧作業をしていた。ズィーナ王国の大爆発は瞬く間に全世界に知れ渡り、今ホットなニュースになっている。悲惨になってしまった国を助けようと各地の国が救助に参加していて、野蛮族バーバリアン小人族ドワーフ竜人族ハイドラゴン鬼人族オーガが来ていた。


色んな種族が協力し合って1週間前は大量の瓦礫、鉄骨の残骸などがあったが、ほとんど無くなっており、ズィーナ王国の衣類、食事、住居も提供されズィーナ王国の人達は何とか生活出来るようになっている。


しかし、ズィーナ王国で復旧をしているさなかクレース王国で人間の王が集まる八王星やおうせい会議が行われていた。


「…………爺さんお前の国はどうなっているんだ?」


「だから、わしは知らないんだよ!誰かが勝手にやったんだよ!」


大きな罵声で言ったのはズィーナ王国の王 モテモ・クレーバスだ。そして質問をしてきた奴がアバヅ王国の王 キュナス・パスカである。


「……勝手にやったとか、知らないでは通用しないんだよ。お前はズィーナ王国の王だろ?お前の国が問題を起こしたんだぞ爺」


間に入って言ってきたのはウラス王国の王 キューラ・ファクナだ。

そう、アイシャが住んでいる国王である。


「……取り合えず話をまとめよか」


そしてこの会議をまとめるのがクレース王国の王 レゾン・ウィロだ。


「……1週間前に大きな戦闘用のロボットがズィーナ王国を襲撃をしたとそのロボットはズィーナ王国の地下で開発されていた。そしてそのロボットは各国を破壊するようにインプットされていた。でもモテモ王はそんなロボットは知らないと……でいいかしら?」


「ああ!そうだ!わしは知らないのだ!誰かがわしの国で勝手に作ったんだ‼」


「爺さっきから知らないとか言ってるけどそれを証明出来る物が無いぞ?本当はお前の差し金で作らしていたんだろ?」


「いい加減にしろキューラ‼…確かに証明する物は無いがお前たちだって私が指示を出してロボットを作らせた証明が無いじゃないか‼」


「……分からん奴だな。お前の国で作られたのが最大の証拠だ。それにあそこの地下にはほとんど爆破で消えてしまっているがちょっとした証拠は出てくるはずだぞ……今お前の立場を考えろよ……お前はズィーナ王国の王だぞ責任を取らないといけないんだぞ?」


「……このままモテモ王が証拠を出せないならロストロンド行きだな」


「なっ‼わしをロストロンド送りにするつもりか‼サレース‼」


「…ええ、そうね、このまま行けば間違いなく刑務所送りになるよ」


「お前まで言うのかレイン‼……ジャトルお前は私の味方だよな?」


「……ノーコメントで」


もうモテモ王は誰の味方になってくれる奴はいなくなってしまった。


「お、お前ら‼本当にわしをロストロンドに行かせる気か‼」


「……モテモ王よ、証拠を出せばロストロンド行きは免れる。だから1周間後にもう一度八王星会議を開く。その時に証拠を出すんだ。……私はモテモ王が刑務所送りになるのは見たくはない」


「……レゾン……」


「フン、1週間で証拠が見つかると良いな。……あと逃げるんじゃないぞ?今からお前は監視対象にするから逃げられないと思うけど」


「……キュナス……バカにしよって……」


「……とりあえず今日は解散だ。次の会議は1週間だ。その時にモテモ王が証拠をだし、モテモ王のロストロンド行きを決める」


そう、レゾンが言いこの日の会議は終わった。




……数時間後、会議の場所にレゾン、レイン、キューラが残っていた。


「……レゾン話とは何だ?」


「……私からではないレインが話があると言ってきたのだ」


「……とりあえずこれを見てよ」


するとレインは数枚の紙を2人に渡した。


「……これを見てほしい」


「……何だこれは?世界統一?」


キューラがしかめた顔でレインに言った。


「……このロボットを作った責任者、Dr.ペックスが言ったのよ。彼らは世界統一を目的に作られた組織らしいよ」


「……ちょっと待て、何でお前がその事を知っているんだ?」


「……私が独自で調べ上げたのよ、……まぁーちょっと誰かに手伝ってもらってたけど、ここに書いてある情報はほぼ事実の事が書かれているよ」


「……モテモ王はこの事を知っているのか?」


「モテモ王はこの事については知らないわよ。何なら無関係よ。ロボットを指示を出したのは他の連中の奴らだよ」


「……モテモ王が無関係なら八王星会議の時に何故教えてやらなかった」


「……まだ、誰が指示を出したのか分からないからだよ。分かっているならあの時に言っていたよ。」


「……レイン何故この情報を私たちに教える?レインお前目的は何だ?」


レゾンがレインに質問をする。


「……ただの情報提供だよ。あんた達2人は犯人ではないのは分かっているし何より他の王と違って信頼しているから教えるのよ。それにこのままだと人間の国は滅んでしまうよ。バカな組織が一丸となって世界統一を考えているんだから全世界が敵になる日も近いよ。……あの戦闘用ロボットは元々他種族の国を破壊するために作られたロボットなのよ。今回は悪魔族のジャキと鬼人族のガオウが止めてくれたのよ」


「何?悪魔と鬼人はこの事を知っているのか?」


キューラは驚いた顔でレインに言う。


「ええ、少なくともジャキ王には知られてしまったけど、彼はこの事に関しては協力すると言っていたわ。鬼人族のガオウはどこまで知っているのか分からないけど詳しくは知らないと思うわ」


「……そうか……はぁーまだ悪魔族と鬼人族でよかったものだ。もし他の種族がこの事を知っていたらどうなっていたやら」


「……だが、いつまでも隠し通せないわよ。このズィーナ王国で起こった事は今一番大きいニュースになっている。すでに全世界が知れ渡っているわ。……多分、次のトゥルース会談でこの事について言われるわ」


「……だからモテモ王には責任をとって貰うのよ。元々は自分の国の管理が出来てないからこのような事が起きたのよ。モテモ王にも責任があるわ」


「……だが、ロストロンド行きはかわいそうだと思うけどな……それよりあいつは証拠を持ってくるのか?」


「……多分無理だね。あいつは逃げるよ多分。モテモ王に残された時間で証拠を持ってくるのは不可能よ」


レゾンが辛辣な言葉で言う。


「……うーん、そうか。犯人が見つかるまではロストロンドで頑張ってもらおう。……しかしその犯人の事については見当がつくのか?レイン?」


「大体はね、これも多分だけどアバヅ王国のキュナス、ミャトル王国のジャトル、ポレコ王国のサーレスの中に犯人がいるはずよ」


「……やはり消去的にこの3人なるか……」


「だけど、裏には勇者がいるのよ。多分大まかに動いてるのは勇者の方よ」


「……なるほど勇者が動いているのか……これは厄介な事になったな」


「ええ、私たちは勇者には手も足も出せないからね。だから悪魔と協力する形にしたのよ」


そう、人間の国の王たちは勇者にはどうしようも出来ないのだ。なぜなら勇者は元々世界の平和を守るために作られた物で王たちの勝手な判断で選ばれた一般人の人間なのだ。なりたくもない勇者になった奴も多い、昔はそこまで勇者の勢力はなかったが、時代に連れて勇者の勢力は大きくなり人間の王の力ではもうどうしようも出来なくなってしまったのだ。今更王の命令なんか聞かない連中ばかりで、いつ反旗を翻すかもしれない奴らだ。


「……なるほどな……所でだがジャキ王は今何をしているんだ?協力をしてくれるんだろ?何か裏でやっているのか?」


「……ジャキ王は行方不明よ」


「行方不明?」


レゾンが驚く、あのジャキ王が行方不明になるのとか聞いた事が無かったからだ。


「……1週間前に戦闘用ロボットが爆発を起こした時にジャキはその近くにいて巻き込まれたのよ。そこから行方が分からなくなってしまったのよ」


「……粉みじんになったんではないのか?」


「……そうかも知れない……でも近くにいたガオウも爆発に巻き込まれたけど生きている。ジャキ王がそう簡単に死ぬのはあり得ないのよ」


「しかし1週間も姿を現さないんだろ?それはもう死んだと思っていいんじゃ無いのか?」


「……多分あいつは生きているよ」


レゾンが静かにしゃべり出した。


「あいつは多分何処かで何かをしているんだと思う。今は姿を現さないだけで生きていると思うよ」


「……そうかお前が言うんであれば生きてるかもしれないな……まぁーとりあえず……あれだ……レイン?俺達の協力も必要だろ?俺達にこの情報を教えたのも協力して欲しいからの事だろ?」


「……簡単に言うとそれが一番の目的よ。なんせもう私がひそかに調査をしているのをバレてしまったから、代わりにやってほしいと思って言ったのよ。……無理やりとは言わないが出来れば協力して欲しいのよ。危険な事になってしまうが……」


「……何を言っている。俺はもちろん協力するぞ!悪魔が協力しているのに人間であるこの俺が協力するのは当たり前だ」


「私も協力するは……勇者に関しては私も気になっていたのよ」


「……助かるよ……後この話はあまり誰かに教えないでほしい。あくまで秘密にしといて欲しい」


「了解した」


「……では、また2人にはやって欲しい事があるから後日伝えるわ」


「あぁ、分かった。……とりあえずは今日の所は解散にするか」


こうして3人だけの秘密の会話が終わった。




…視点は変わりズィーナ王国の宮殿にいるモテモ王に変わる。


「……クソ‼何でわしがこんな目に合うんだ‼わしは何も知らないぞ‼」


モテモ王は激怒していた。


「何が戦闘用ロボットだ!あんなの作れと命令した覚えもないし国の地下に秘密裏に開発していた……ふざけるな!」


ガン!


モテモ王は近くにあった椅子を蹴り上げた。


「1週間で証拠を見つけてこいだと不可能だ!あいつら無茶苦茶の事を言いやがって‼」


するとモテモ王は隣の部屋の扉を開けた。


「おい‼荷物の準備は出来たか!早くここから出るぞ!」


モテモ王はズィーナ王国から逃げるつもりだ。


しかし、予想外な事が起きた。


「なっ何だこれは‼」


目の前を見ると3人の家来が血を流している状態で倒れていた。そしてもう1人見かけな顔の女が家来の胸ぐらを掴んでいた。


「きっ貴様何処から入って来たんだ‼ここはわしの部屋だぞ‼何しに来た‼」


「……何しに来たって…………ドゥームサービスよ」




…そしてこの日の夜モテモ王は自分の部屋で首が無くなった状態で発見された。



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