第61話 バーンクロス家の邸宅にて
-----バーンクロス家の邸宅にて-----
「お姉様が高校に入学されて、もうすぐ一年ですわね……」
オレンジ色の髪の美少女がそう呟く。
彼女はフレアの妹である。
年齢は一歳差。
フレアが第二学年に進級するタイミングで、彼女は高校に入学することになる。
「もうすぐです。もうすぐで、わたくしもお姉様と同じ学校に……」
彼女は学校には通っていない。
貴族の子女は、学校に通わずに家庭教師で済ませることが多いのだ。
人魔高等学園ミリオンは、例外的な存在だと言える。
あそこは世界各地から有望な者をスカウトして、一流の教育を施すために作られたものだ。
「待っていてくださいまし。お姉様なら首席での卒業間違いなしでしょうが、万が一ということもあります。わたくしが後輩として入学すれば、サポートも可能ですものね」
妹はまだ、姉のフレアがどんな学園生活を送っているかを知らない。
もちろんフレアから手紙による連絡は行われているのだが……。
ディノスによってセクハラの限りを尽くされたことなど、報告しようもない。
そのため、妹はフレアが首席合格者として順風満帆な学園生活を送っていると信じ切っていた。
「まずは入学試験ですね。筆記は問題ないでしょうが、実技はどうでしょうか? やはりここは、お姉様に恥をかかせないためにも、しっかり対策を取らねばなりませんね」
彼女はそんなことを呟きながら、自室にて今後の対策を練り始める。
そうして夜は更けていったのだった。
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