第3話 機動強襲端撃部隊

六角形の小口径のレールガンには光が無かった。

流線的な形状を捨てたこのタンクはレールガンを車体中央に、機銃を上部に一門とチャージャーカウンタースモーク(TKS)を二個。極振動対実弾装甲は灰色に塗装されている。

対反発式走行による車体から溢れ出る光は、いわばガス車の排気ガスみたいな物だ。

その車両の後ろをヘルメットを被った色々な研修を乗り越えて来た者達が居る。

タイガー級の隊員も居るだろう。動きが少し活発的な隊員が居た。

上り坂をかけ上がりながら機銃がカメラだけを動かして周りを確認する。

敵が情報を入手できないのと同じように、こちらも位置情報からIFFまで光信号に頼らざるを得ないほどに窮屈だった。

つまり、視界内に情報源がなければなにもわからないのだ。


「プラズマ2からピポー1へ情報を送りました。返信もきました」


「よし、プラズマ2はプラズマ1から離れて敵へ端撃を仕掛ける。4速で向かうぞ」


「了解」


二手に別れて敵を端撃する。

敵陣地は二方向からしか攻撃できない陣地に陣取っている。

しかも、その一方はもう一部隊のある進軍困難な通路だ。

そこで、遠回りになるが。敵指令所に味方部隊を突っ込ませ、敵二部隊を麻痺。

その後、航空支援と共に強襲。端撃を仕掛ける。

まあ、上手く行くかは時間だな。

4速状態で8分。

約半分は進んだ。

ここに味方部隊を残して戦場の観測を行ってもらう。

運が良ければ砲撃可能位置に敵が居るかもしれないからな。


「では、武運を祈ります」


「ああ、そちらも」


観測は敵の位置だけではない。スナイパーの配置に味方の細かな状態。そしてそれを伝える色々な方法を駆使した味方部隊への迅速な情報伝達。

目であり足である。

口は別だが、観測部隊が居ないと進軍など無理だ。

特に、こういった情報が制限されている戦場では必要不可欠だ。

それから2分が経過した。

敵部隊を感知したレーダーにより機銃が旋回しだす。

カメラは車内に引っ込み。機銃下部に装着されているカメラへと切り替わった。

レールガンにも光が灯り、露出部のバレルがオレンジ色に輝いた。

自動装填システムが計算した弾数は26発。

そして別に52発。

合計78発が、このタンクにある。

機銃は70発のマガジンが装填中も含めて3個。

TKSは4回が限界だ。

相手は坂道に陣取っているらしい。

なら、遠くから曲射で撃てば・・・いや、だめだな。

ブービートラップが仕掛けてあるかもしれん。

慎重に偵察からだな。

よし。


「プラズマ2から部隊へ。曲射での砲撃を行い、敵指令所へ攻撃を仕掛ける。まずは高台の確保の為に偵察を行い。その後、12発目の着弾と同時に強襲。確保する。偵察部隊と強襲部隊に再編成してくれ」


すると話し合いが始まり、強襲部隊14人。偵察部隊4人となった。

強襲部隊は敵陣地近くで待機。

偵察部隊はタンクを隠して7人で偵察を行う。

時間は2時間。

タンクをすぐ近くにあった車庫に隠して彼は手にSMGのPt-Aを持った。

腰にはHGのpugile-ppkがホルスターに収まっていた。

坂道をまた登り、上へと歩く。

HUDの色と表示内容が変わった。

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