49.5話 レッスン2
人気アイドルの小鳥遊ひよ子に”なな”の正体が俺であるということがバレてしまった後、俺と”たまも”が一緒にいるときにひよ子も同席させるという条件で公言しないと約束してくれた。
「実際のところどうなんですか? バ美肉してる気持ちって?」
まだ”たまも”が帰ってこないことをいいことにひよ子はゆったり椅子に座って居座るモードになってしまった。
「どうって言われてもな。最初の頃はヒヤヒヤしながらやってたけど最近は普通だな」
「普通って凄いですね。ファンの人を騙してるって感覚とかないんですか?」
「騙すって言われてもな~。基本的にVtuberのリスナーってVtuberのガワあってのものだと思うんだよな。だから個人的には中の人が男か女なのかってあんまり重要じゃないんじゃないかって」
もちろんバ美肉してることがバレれば”なな”のファンは9割離れて行くだろうが。
「確かに言われてみればそうですね。外見も中身もファンの求めるものを演じていれば素の人間性はあんまり関係ないのはVtuberもアイドルも変わらないのかもしれません。」
「とんでもないことを言うな。さすがに人間性は大切だと思うぞ」
「そうですか? 私のファンの人たちなんて大抵私の可愛い外見しか見てませんよ」
「そんなこと無いだろ」
「そんなことあるんですよね~。ライブも握手会もTwitterも大体猫かぶってますからね。お兄さんも私とこうして話すまで清楚可愛いって思ってたんじゃないですか?」
確かにひよ子とはこうして話してみてかなり印象が変わった。意外と小悪魔というか黒いというか。
「まぁ、言わんとすることは分かる」
「でしょでしょ! そういう意味ではお兄さんのバ美肉も似たようなものなんですね~」
「確かに平常心で配信してる兄貴は猫ってか美少女かぶってる」
うまいこと言いやがって。
〇〇〇
それから数分後。”たまも”が部屋に帰ってきてひよ子を見つけてから軽くお説教をし、部屋からつまみだしてしまった。
ひよ子はふてくされたように頬を膨らませていたがしぶしぶ出て行った。
それから俺たちは”たまも”のレッスンをたっぷり1時間受け俺たちは”たまも”の誘いでお昼ご飯を一緒に食べることになった。
最初は千鶴だけが誘われたのだが、そこにひよ子が乱入してきて俺とひよ子を追加した4人で食べることとなった。
チョイスした店はひよ子の強い希望で近所のファミレスで食べることとなった。理由は良いものはいつでも食べられるのでチープなものが食べたいとのことだ。
「たのしみですね~」
「ひよ子ちゃんお願いだから他のお客さんにバレないようにしてね。騒ぎになるのはごめんだから」
「わかってますよ~。せんせー達こそ身バレしないように気を付けてくださいよ~」
先頭を歩きながらこちらを振り向き意味深に”たまも”と俺を交互に見ながら忠告してくる。
「私たちは声変えてるんだからバレるわけないでしょ。バカなこと言わないで前見て歩きなさい」
声変えてるのに最近いろんな人に正体バレまくっている俺は苦笑いするしかない。
「”たまも”ちゃんひよ子ちゃん相手だとお母さんみたい」
「やめてよ千鶴ちゃん。この子が子供なだけだから」
「ママ~!」
「やめなさい!」
うーん。はたから見るとてぇてぇなぁ~。
バ美肉Vtuber始めました こめかみと @kome-kamito
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