第3話



手紙が来ていた。魔術師団に来るように。面倒だから行かない。別に来れればと書いてあるから。


学校が普段通りの登校になった。学校に行くとコソコソが聞こえるようになった。なんでかは知らないけど、教室に行くと絶対に誰かしらみている。まじでやめて欲しい。先生が変わっていた。もちろん襲われた生徒は病院に行っているそうである。何が起きるか分からないから。最近、校舎裏に呼び出されるようになった。また今日も呼ばれた。


「何かな?」


「今付き合ってる子はいますか?」


「居ないけど?」


「ならヒマリちゃんとはどのような関係なんですか?」


「あのことは普通の友達だよ」


「良かった。私と付き合ってください」


「無理」


「なんですか?」


「それは君には理解できないから」


「私の何が悪いですか?処女だし、キスだってした事ないし、エッチだってしてあげるんですよ」


「そこが問題じゃない」


「私の何が」


「ごめんね」


教室に戻った。それから後をつけられている。数日でやめると思っていたけど、やカナかったから逢いに行くことにした。


「一週間前から何かな?」


「気づいてたの?」


「もちろん。なんの用かな?」


「言ってた意味を知りたかった」


「そっか。辞めてくれる?」


「嫌です。私はあなたが好きなんです」


「なんで、そんなに好きなの?」


「そうだよ。悪い」


「付けるのは違うと思うよ」


「だって、知りたかった」


「しかしな」


「教えてあげてもいいじゃない?」


「あれ、ココア、帰ってきたのか?」


「ああ。今回は二十階層までしか行けなかった」


「そっか」


「してあげればいいだろ」


「でも」


「それでも耐えられるなら考えて上げればいいだろ」


「分かりました。ここじゃあダメだから家に行こうか」


「いっていいんですか?」


「興味無いならいいだよ」


「行きます」


道の途中にあったお菓子屋でお菓子を買った。家に帰った。


「ここが」


「ここはココアの家だよ」


「一緒に住んでるんですか?」


「そうだよ」


「そうすか」


「そんなに気にしない方がいいよ。別にそんな気がないから」


「そうですか」


「じゃあ。紅茶でも入れますか」


「私、先に風呂に入ってくる」


「ああ」


手洗いうがいをしておいた。お湯が沸いたからパック型のやつにしておいた。だって捨てるのが面倒だから。


「ホイ」


「ああ。気持ちよかった」


「ココア教授」


「どうした?」


見ようとしたら、


「ダメ」


引っ張られて胸に顔を埋めた。死にそうになった。


「死んじゃううぅぅぅぅぅぅ」


こんなに胸が柔らかくて弾力があるなんって。


「ごめん。見ようとしたから」


「死んじゃうって」


「ごめんね」


「俺も悪かったから」


「うん」


服を着てココアが来た。


「じゃあ。話しますか」


「ああ。これは五年前の話になるな。どこ生まれたのかわからなかったけど、家族に捨てられたんだ。ちょうどさまよっていた時に魔術師団の一人に拾われた。もちろん、魔術の才能があったから、それで魔術師団の中にある魔術がどれくらい使えるかを測定する部隊があって、それを受けたら執行官室と呼ばれるところに配属された。ここからはほんとうにやばいし、聞いたら普通の生活は出来ないよ」


「それでも聞きたいです」


「なら話しますか。その部隊は犯罪を行った魔術師を中心に暗殺するんだ。他にも、女王陛下の護衛とか、危険なミッションを中心に行う暗殺者チームにいたんだ。でも仲間が嘘を流したおかげで解任されて今ここにいる」


「でもあの世界に踏み入れるべきではないわ。目の前が血だらけになるから」


「そうでしたか」


「それでも変わらない?僕の罪も一緒に受け入れてくれる?」


「何言ってるんですか?受け入れるよ」


「犯罪ではあるけどあるけど、人を殺したんだよ」


「でもそれは任務としても」


「でも」


「そんなに気にしているなら、それ分幸せになればいいじゃん」


「そうかな」


「そうだよ」


「いいじゃないか。私もいいと思うぞ。だって私だって好き勝手やらせてもらってる」


「そうかな」


「それを決めるのは、ジンが決めることだよ」


「そうか。でもな」


「カナちゃん、済まないが数日待ってやってくれないか?」


「いいですよ」


「それと今日話したことは口外しないでね」


「はい」


「した場合、殺さないと行けなくなるから」


「分かりました」


今日のところは帰ってもらった。


「どうするの?」


「分からない。だって女性関係はこれまで殺すためにしか使ってこなかったから」


「そうだよな。でも女性の扱い方はわかってるでしょ」


「ああ」


「それでも、あの子は無理なの?」


「それは無いけど」


「やっぱり昔のことが?」


それから数日部屋にこもって悩み事をしていた。



ココアには心配された。カナがよく来てくれている。たまたま鍵を閉め忘れていた。カナが入ってきた。


「いつまで待たせるの?やっぱり私の体はまだ足りない?私のお母さんみたいにボイじゃないとダメ?」


「そうじゃない」


「ならないよ。私怒ってるだからね」


「死のうかな」


「それは私が許さない」


「お前に俺が止められるの?」


「命をかけて止めてみせる」


剣をゆっくりと抜いた。結界は展開済み。


「ダメだから」


「止めてみろよ」


首筋に持っていた。


「やめてよ。生きていれば辛いことだってあるよ。私だってこれまであったもん。自分勝手な男とかが居て脅されたりもあったよ。でも生きなきゃダメ。悲しむ人が出てくるよ」


泣き崩れた。なんか色々あり過ぎて人生に病んでいた。この数日間。


カナが近づいてきて後ろから抱き締めてくれた。


「辛かったね。これからそんな思いさせないから。絶対に幸せにするから」


「うぇーー〜ん」


「大丈夫だよ」


数十分泣いてやっと泣き止んだ。


「なんで止めたの?」


「だって、私同じようなことを昔両親にしたことがあるの」


「それで」


「うん。私と同じことをして欲しくはなかったな」


「そっか。胸のこときにしないだな」


「あ、ごめんね」


離れてしまった。


「離れなくていいのに」


「エッチ」


「あの答えだけど、受ける」


「やった」


また抱きつかれた。好きだなと思いながら受け入れた。


「というか、同棲して結婚しよう」


「待って、飛躍しすぎ」


「幸せにするからね」


「そんなこと言っても親が許すわけ」


「別にいいわよ」


「お母さんとお父さん?なんでここに?」


「ココア教授から見てほしいものがあると言われてね。それにしても人の命を救える人になるとはね」


「だって、せっかく貰った命だから大切にすることにした」


「そっか」


「でもお父さんが認めないじゃない?」


「その子ならいいぞ。そこの男」


「はい?」


「滅多に俺は男を許さないが、お前ならいい。あとカナを泣かせるな。泣かせたら海の底に埋めてやる」


「はぁ」


「お父さん、なんで?」


「言ってなかったが、今通ってる学校は結婚とかも考えて男性との付き合い方を教えるのも含まれている。今度ある合宿の部屋が男女ペアでひとつなのが理由だ」


「そうだっだ」


「カナいい男見つけたな」


「いいの?」


「いいわよ。その代わりその男の人に私たちの家の方に入ってもらうわ」


「私はいいけど、ジンがいいなら」


「僕は構わないよ」


「ココア教授、構いませんね」


「いいけど、資金面とかは?」


「どうにかします」


「そうか。私は構わない。あと話した通りです」


「そうか」


契約魔術を使うらしい。


「ここに記入してくれる」


「はい」


名前と同意を書いた。そこに血を垂らした。


「よく分かってるね。結婚したことあるの?」


「昔、書類関係の仕事をしたことがありまして」


「それで」


「はい」


書いて血を付けるのに躊躇っていた。


「手を貸して」


「うん」


ナイフで軽く切って付けた。


「ありがと」


腕輪に腕輪に魔力を流して治癒魔術を発動した。


「治った」


「治癒魔術を使った」


「そっか。でもバレると罰則があるらしいよ」


「そうなんだ」


「うん」


紙が燃え去った。


「これで成立ね」


「「はい」」


荷物を詰めた。異空間収納鞄にいれておいた。


「それどうしたの?」


「ああ。こないだ言った時代に買った」


「そっか」


家に行くと屋敷だった。


「結婚したのはいいけど、何者?」


「私?」


「うん」


「子爵家だよ」


「嘘」


「そんな人がなんで俺と?お見合いとかあるだろ」


「それだと本性が分からないし、それにいい男いない」


「それで僕を選んだの?」


「だってさ、最近色々あってついでに昔のこともあって病んでるから心の支えになりたかった」


「そっか」


「あと魔術を教えて欲しいからかな」


「カナはなんで魔術を使いたいの?魔術は剣術とかよりも殺しには優れている」


「私は昔目の前で友達を失ったの。もう同じことをしたくなし、して欲しくないから」


「そっか」


「教えてくれる?」


「いいよ」


「やった」


勢いよく抱きついてきた。


「コラコラ」


「カナ、やめなさい」


「いいじゃん。私の旦那だから」


「そうだが」


「わかったよ」


「例のこと言っちゃうよ」


「なんの事?」


「しらを切るだな。一緒に写ってる写真にキスをしてたことを」


「きゃああああ」


「うるさい」


「だって余計な事を言うから」


「え」


「やっぱり引く?」


「別に、でもこれからはやめてね」


「ん?」


「本人にすればいいだろ?」


「うん」


「ラブラブなのはいいけど、子供は学生を卒業にしてからにしなさいね。ゴムありのエッチなら文句はないわ」


「いいの?」


「別にいいわよ」


「わしは認めんぞ」


「この人は気にしなくていいから」


「うん」


カナが自分部屋に案内された。ピンクと白の部屋だった。凄くあっていて可愛かった。


「この部屋どうかな?」


「いいと思うぞ」


「良かった」


「どうした?」


「だってジンってこいうの嫌いかなと思ったから」


「そんなことないよ」


「ならいいの」


「俺の部屋は?」


「ここだよ」


「一緒の部屋なのか?」


「うん。私じゃあいや?やっぱり胸が?」


「いやいや。反対にこれ以上大きくならないで」


「なんで?」


「襲いかねないから」


「私は別に襲われてもいいよ。ジンになら」


「そっか」


「そうだ。言い忘れるところだった」


「何が?」


「あのね。明日から林原合宿があってね。少し離れたところで合宿することになった」


「へぇ。僕のペアは?」


「私だよ」


「良かった」


「私でよかったの?」


「知ってる人とかの方がいいじゃん」


「そうだね」


「買い物に行くか」


「え?」


「準備なんかしてないぞ」


「私は一応出来てる」


「そっか。じゃあ行ってくるな」


「待って私も行く」


「別にいけど、親はいいって言うのか?」


「お母さん」


「何かな?」


「買い物にいっていい?」


「メイドにまかせなさい」


「ジンのものを買いに行くの」


「でもね」


「大丈夫だよ。ここの護衛よりジンはつよいからね」


「そうのか?」


「うん」


「いいわよ」


買い物に出かけた。


「そのお嬢さん、私と遊ほうぜ。ついでに気持ちよくなれるぜ」


「嫌よ」


「この男がどうなってもいいのか?」


回し蹴りを食らわせた。


「ぐぁぁぁぁぁ」


「嘘だろ」


「誰が俺を救ってくれた女に手を出していいて言った」


「うるさい」


「黙れ。ドン」


軍用魔術か。そのくらい。腕輪に溜まっていた魔力を使って結界を展開させた。


「何が起きやがった」


「さぁな?」


手に魔力を込め、腹パンをした。後方に思いっきり飛んで行った。


「こいつ強いぞ。逃げろ」


逃げって行った。腕に抱きついてきた。


「ありがとう」


「いいよ。危ない目に遭われたのは僕だから」


「すぐ自分のせいにする。そんなに気にしなくていいよ。まもってくれたじゃん」


カナおすすめの店に行った。色々揃っていた。全て異空間収納鞄に入れておいた。手を繋ごうとしたら、


「同級生に見られたら恥ずかしいからダメ」


言われてしまった。抱きついたりするくせに。色々なことを考えながら歩いていると急に止まった。


「どうしたの?」


「寄りたい店があるんだけどいいかな?」


「いいけど」


付き合わされたのは女性下着屋だった。サイズが小さいらしい。新しくしたかったけど言えに言えなかったと言っていた。サイズを計ってもらって新しいのを数個買っていた。その時またされていた僕は周りに視線が痛かった。これまで魔術師から向けられたのよりはマシだった。


「誰に見せるの?」


「誰にも見せないよ」


「へぇ」


「まぁ。ジンには見せてもいいかも」


「別に興味無いからいい」


「聞いておいて酷い」


「モゾモゾして照れてるのが可愛くて」


「もう」


ポコポコ叩いてきた。全く威力がない。


「あれ、カナちゃんじゃん」


「あ、ミキちゃん、リオちゃん」


「何してるの?護衛もなしで」


「買い物だよ」


「何買ったのかな?」


「秘密」


「見せろ」


袋を取られていた。


「あれ、これ誰に見せる気かな?」


「誰にも見せないよ」


「嘘、いつも心配してたジンくんじゃないの?」


「それ秘密でしょ」


「いいじゃん。って本人がいるし」


「どうも」


「ごめん。言っちゃった」


「もういいよ」


「どうして二人でいるの?」


「買い物だよ。明日の合宿の」


「へぇ」


「カナはとても甘え坊ですぐに泣くけど、悪い子じゃないから。それにその子一人のために何でもする子だから大切にしてあげて」


「わかった」


「これからは?」


「特にかえるつもり」


「カナ、確か水着買ってないよね」


「なんで知ってるの?」


「ふふふ。大体予測出来てる。もしかして子供の頃のやつ着る気か?」


「ダメなの?」


「ポロリするよ」


「それはやだ」


「なら買いに行かなくちゃ」


「うん」


「ジンくんも来る?」


「行くよ。カナの護衛任されてるし」


「ああね、だから護衛が居ないのか」


「うん」


水着専門店に連れていかれていた。中に入る色々あった。辞める前に海に用があって買ったやつがあるか問題はない。引き止められていた。


「何。スクール水着コーナーに行こうとしてるの。もうカナに着られないよ。それに誘ってると思われるぞ」


「ヤダ」


「少しは自覚した方がいいよ。その胸」


「うるさいな」


「本当のことだよ」


「わかったよ、なら何がいいの?」


「ビキニかな?」


「それって大人とかが着るやつ?」


「うん。でも似合うと思うよ」


「わかった」


そんな露出の少ないビキニを選んでいた。白だった。


「どうかな?」


「いいじゃない」


耳元で、


「そこは可愛いって言わないと」


「そっか。とても可愛いし、似合ってる」


「えへへ。ありがとう」


「照れてる」


「うるさい」


それから家に戻った。夕ご飯ができていた。


「ここ凄いな」


「だって、貴族だもん」


「そっか」


「おかえりなさい。何もなかった?」


「変な男性に絡まれた」


「怪我してない?」


「大丈夫だよ。ジンが守ってくれたから。それに対処までしてくれたから」


「さすが。カナが選んだこね」


「うん」

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