第5話
『テステステステス、ただいま、マイクのテストちゅー』
スピーカーからクリアな音声が響く。
『オーケーです。いよいよ始まります、【
「「「「桃ちゃん先生ー!」」」」
会場から生徒の黄色い歓声が響く。
『桃ちゃん先生、言うんじゃねーよ!』
マイク越しに吠える桃ちゃん先生。元魔女、【桜花の魔女】とは思えない落ち着きの無さであった。
『解説は、元迅雷の魔女、
『優勝はウチのガクで間違いないでしょうけどね』
『公正な、って言ってんだろ、迅雷の! 【
『あの時は桜花のを抜いて、私がダントツ一位でした。ガク、親子で連覇がんばろー!』
『うるせーよ。傷口に塩を塗るなよ! それと頂点に立つのは魔女だって言ってるんだろ!』
「「「「桃ちゃん先生ー!」」」」
それはそれでギャップ受けなのか。会場から生徒の黄色い歓声が再度響いた。
『気を取り直して。エントリーした7人の魔女。7人の
桃ちゃん先生の煽りに、会場が歓声と拍手で膨れ上がる。
『まぁ、今年はココアかもしれないけどね』
ボソリと呟く迅雷の魔女の言葉は、観衆達の興奮の前でかき消されてしまったのだった。
■■■
箒にまたがって、ガクはリディの目を覆う。
あの時と一緒で。
「おまじない」
そうガクは言った。
「いらない情報は目に入れなくて良いよ。コースは、何度も調べた。トラップのリサーチも済んだ。視覚、聴覚も良好。だから、リディは魔法に集中して」
コクンと、リディは頷く。
「それと、もう一つおまじない」
クイッと顎を指ではさむ。
温度が重なる。
それだけ。
ただ、それだけのこと。
原始的で、科学的じゃなくて。魔術的な言語も、魔法陣も何も使わなかったけれど。
それだけで。
魔力は、無尽蔵に湧き上がって――二人の魔法が完成する。
「これは油断、できませんわ」
隣の魔女が狼狽するが、ガクは知ったことじゃない。
もう一つ、不意打ちでおまじないをする。
ガクは、リディを背中から抱きしめる。
雪がチラつく。
空気は凍りつく。
この舞台は、すでに【氷柱の魔女】が支配している。
「「行こう」」
リディとガクの声が重なった。
■■■
…。
……。
………。
【3】
:
【2】
:
【1】
『『おまたせしました! 【
桃ちゃん先生と、ガク母の声が重なった。
閃光が空を染め――るより早く、空気を凍らせた。チラつく雪の乱舞。加速する魔法。
【氷柱の魔女】と【
雪をチラつかせ。乱舞させて。空気を凍らせて。
並行の世界は重なる。
二人の世界は、並列で。
本当なら、重なるはずもなかったのに。
箒星が弧を描いて。
結晶を振りまいて。
■■■
――また私は、この星に来る。だからガー君。次、来た時も、絶対、私のパートナーになって。他の魔女の【
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