第10話
奥まで行くと扉があったから開けてみるとすごく広い空間が広がっていた。
「騒ぎの正体が君たちか」
「どうも。レイナのお兄さん」
「知っていたのか?」
「旅の途中でレイナが魔法に精を出している兄がいるんです。分からないことがあったら教えてあげてくださいねと」
「なら教えてくれよ。何故レイナを殺した。なぜお前が生きている。それで何故あれほどの評価を得ている」
「今生きているのはレイナのおかげだよ」
「え」
「あいつが救ってくれたから。あいつがいてくれたからここまで生きてこられた」
「何を綺麗事を言っている。俺が聞きたいのはもっと黒い部分だ」
「お前はあの事件を知っているのか?」
「少しはな。冒険者仲間から聞いた時は驚いたよ。お前が殺したんだよ」
「それもそうだな。俺を庇って死んだ。俺が殺したのと一緒だな」
「え」
「俺は住民を守るために結界の展開に集中していたところを狙われた。ブレスにも気づかずな。それを守ったとレイナなんだよ。それが無ければ今頃住民は死んでいたし、俺も焼き殺されていた」
「今は凄いじゃないか」
「あれ以降どれほど努力したか知っているのか」
「知るか」
「転生魔法だろ」
「知っていたのか。なら協力しろ」
「あれはまともに起動しない。どれほど術式を直しても」
「なぜ言いきれる」
「試したから。本人ではなく近い人間でな。でもアンデッド化するだけだった。それだか数分以内なら直せる復活草を作り出したのではないか。俺と同じ思いをして欲しくなくて」
「え」
「知らないのか?発明者は名前を変えてあるがあれを作ったのは俺だ」
「何を言っている。いい子ぶりやがって。ならレイナが死ぬ前に作らなかった。作れれば救えていた」
「それに魔力が足りなかった。それと素材がある所を知らなかったから」
「お前にはそれほどの魔力があるのか」
「今な。昔にはないほどある」
「なら試してやる。杖を取れ。杖を使わなくても使えることは知っているが杖を使え」
「分かった」
「従う必要は」
「黙れ」
触覚による拘束だった。それもそれなりにエロい状態で。
「やめて。そこはダメ。いやん」
悲鳴とそんなことを言っていた。
「お前もいい趣味してるな。ストレージオフ」
神レベルしか装備できない。神装エンジェーリーという武器である。
「それか。弱そうだな。始めるぞ」
「ああ」
「汝の理よ」
闇と光の槍と矢が食う宙に浮いていた。ジョークの指示によって飛んできた。杖を地面に二回トントンとすると地面に魔法陣が出て鎖が伸びて破壊した。そのままジョークに攻撃した。
「凍りついて、弾けろ」
杖の前に魔法陣が出て冷気が出された。でも凍ることはなく、魔法陣を破壊した。そのまま腹に数本鎖が刺さった。
「グェ」
血を吐き出した。
また更にトントンとして鎖に雷魔法を出して鎖を伝って雷が流れた。
「グァァァァァァァァ」
「どうだ。痛いだろ」
「ご主人様、そんなことはいいですから早く倒してください」
「そうだな。理を読み解き、元素は、元素に戻りて、エクリクッションレイ」
目の前にでかい魔法陣が出て真ん中が前に行った。そこから爆風が出た。それに触れたものは消滅した。鎖が外れたことによって、
「あれを守りたもう」
結界を貼ったが結界ごと破壊して巻き込んだ。そのまま綺麗に地理も残らず消え去った。目の前は平になっていた。
「これは凄い」
「自分でやっておいて。そろそろ、いやん」
「変な声を出すな」
「セバスが女性を発見したとか」
「分かった。壊れろ」
言葉に応じて触覚が燃え去った。
「ありがとうございます」
「いや」
「それにしてグラビィティレイですか。全てを元素に戻す危険禁止魔法のひとつ」
「ああ」
「神に怒られますよ」
「許してくれるさ」
「そうですか」
言われたいちの穴をおりると細くなった女性が鎖や手錠で壁に結ばれていた。奥に行くと変な白い液体が付いた女性が五人いた。ここにいるだけで分かるほどの異臭である。死体に異臭はそれなりに凄い。ここに言ってよく耐えられるな。さらに奥に行くとしりを突き出した状態の女性がいた。左側が真っ赤になっていた。
「これ酷いな」
「はい」
「この女性たちどうするかな」
「王家に引き取ってもらっては?」
「それもそうだな。全員救え。森の方まで連れて行け。処理の終わった人全員でやれ」
ストレージからでかい布を大量に出した。奥まで行って出したままの杖をトンとやって炎を起動して焼き尽くして骨を回収した。例の左側が赤い子が残っていたから剣で杭を切って布をかけて肩に乗せた。
「なんでこんなことを?」
震えていた。
「なんでと問われてもな。昔好きだった女の尻拭いって所かな」
「これ程強い方にも居たんですね。今は?」
「俺はその子を死なせてしまった。絶対に死なせないって約束したのに」
「すいませんでした」
「いいよ。おれが勝手に話したことだし」
「でも」
「いいから」
ゼバスが食べ物を食べさせていた。仕事が出来てマジで怖い。この子にも食べさせてから紅竜を召喚してその子に乗ってもらった。乗れるスペースに乗って王家の中庭まで直進してもらった。報告を受けたのか王様が直ぐに来た。
「早いな」
「もう終わったからな、セバスたち頼む」
「はい」
少女達を下ろした。
「これは?」
「その施設に監禁されていた。名前はないらしい。裏オークションで買われたって教えてくれた。それで数が数だからってなって王都に連れてきました」
「ご苦労なことで」
「ならメイドにしましょう。ちょうどメイドが不足していますし、メイド長よろしいですね」
「はい」
「好きなだけ持っていてくださいな」
「どうも」
何十人と連れていった。まぁ、多くても困らないのだろう。それほど少ないのだろう。まぁ、知らんがな。
「王よ。俺は行くところがある」
「そうか。主謀者は殺したのか?」
「塵としてやったさ」
「そうか。ならいいが」
セバスとエナを連れて桜の木の所に行った。前の王が気軽にここに作ってくれた。レイナが桜が好きだったから作りたいと頼んだらすぐに手配してくれた。手を合わせた。
「これは?」
「黙りなさい」
「すいません」
「我々が願い、理を何度も読み取り、不可能を可能にしてきた、汝に願う、我に生命神の祝福を」
手を上を出して唱えた。初めて応じてくれた。俺の思いが通じたらしい。
『今回だけだ』
『生命神、ありがとう』
『いいさ、この何十年君の姿を見て心を痛めてきた。少しくらいは幸せになって欲しいからな』
『そうなんですか?傷ついているつもりは無いのですが』
『あれは自覚のなさによるものか』
『え?』
『なんでもない。数分しか繋げないが楽しんでくれ』
『はい』
目の前が輝いて眩しくて目を閉じてまた開けるとそこにはよく知っているショートカットで茶髪で筋肉質の体をしたレイナだった。普通の服を着ていた。
『レイ、久しぶりだね。元気だった?』
『今の僕を見てそう思うか?』
目からよく知っているものが垂れてきた。レイナを失ってから毎日のように泣いていた。その時と同じもの。
『泣かないでよ。君を置いて死んだこと後悔しちゃうじゃん。せっかく守ったのに』
『何度も帰ってくることを願ったんだぞ』
『よく分かっている。生命神から毎日のように願っているって、でもそれはダメだよ。前を向かないと』
『でも、君のことを守れなかった僕にそんな資格はないよ』
『レイ、前を向け、下を向いているものに何が出来る?前を向け、前を見ろ、君には未来が広がっているはずだよ?それをダメにしたら私が助けた意味が無くなるじゃん。お願い、前を向いて未来に進んで』
『でも』
『いつから言い訳王になったのよ。昔はあんなにかっこよかったのに』
『どうしてだろうな。なんか色々あっていな』
『全部見ていた。私を大切にしている気持ちも全部わかったから。それじゃあダメなんだよ。私からの最後のお願い』
『最後みたいに言うなよ』
『大丈夫。心はいつだって一緒だよ。それにレイの心をうちとめたのは私だけだし』
『そうだな』
涙と鼻水を啜りながら聞くことにした。
『結婚して幸せになって』
『それはお前を忘れろってことか?』
『違うよ。先も言ったじゃん、心はいつだって隣にいるって、でもそれだけじゃダメなの、私をどれだけ思っても戻ることは出来ないの。だからね、私を幸せにしようとした分、自分がこの人と思える人を幸せにして欲しいの』
『分かったよ』
『良かった。これだけは忘れないで、もう君はひとりじゃないよ。神剣、勇者、聖女、炎龍、玲弥国家の王様、あと名前を忘れちゃったけど魔法剣士の子、ナミちゃん、それと君が作り出した眷属たち。みんなが君を認めているんだよ。それを忘れないで、それに私だって生まれ変わたってずっと君を思い続けるよ。だからね』
『ああ。俺も絶対に忘れない。何度だって思い出す。子に身が滅ぼうともな』
『うん。自分の体を痛めつけちゃめだよ」
『ああ』
『それと、我が、命じる、私に存在する、加護、祝福、ギフトを、一生愛するものに捧ぐ』
僕が光ってなんかが送られてきた。自分を鑑定すると長峰の祝福、常永の幸運、絶対の愛だった。
『いいのか。これはお前のギフト』
『いいよ。大切に使ってね。これでいつでも繋がっていられるし』
『ああ』
『愛が重いとか思わないの?』
『別にお前にどれほど愛されたって受け止めるつもりでいたからな』
『そうなんだ』
『ああ。それほど愛していた』
『ありがとう、約束守ってよ。絶対だよ』
『ああ。また報告に来る』
『楽しみにしているね』
『ああ』
抱きついてきた。普通に体温を感じた。
『しっかり健康に気をつけるんだよ。睡眠もしっかりしてね。ってレイの場合は取り過ぎか。しっかりやるんだよ。最後に幸せになって』
指切りをした。普通は契約魔術を使う。魔術は魔法よりも威力が二倍以上ある。
『約束する』
『えへへ。約束だよ』
それを言って光が散っていた。昔なら泣き崩れていただろ。笑顔で見送った。その後、予想外なことに神の間に呼ばれた。色々中身がいた。真ん中から創造神、生命神、商業神、加工神、恋愛神、魔法神、剣術神、酒神がいた。
『お久しぶりです』
『そうだな。ざっと十六年くらいか?』
『いえ、十三年です』
『そうか。久しすぎて忘れておった。よく耐えてきたな』
『え』
『どうした?』
『怒られるのかと思って覚悟していたから』
『怒られることをしたのか?』
『死者と会うこと』
『それはわしらが許可した。その子に対する思いが伝わったからな』
『そうでしたか。この場を借りて感謝を申し上げます』
『気にするな』
『そうだぜ。お前はよく分からない子供だって育てたじゃないか』
『はい』
『それにお前は神の次に来れるほどのギフトを与えたからな』
『【無限】ですか?』
『ああ。あれはお前に無限の可能性を生み出すものとなると思ったからな。ワシたちの予想の遥か上を行ったよ。眷属を作り出すとは誰も予測していなかった。それに君は魔法の在り方を知っている。だろ?』
『はい。魔法はこの世の理を崩し、曲げた道に進むものとなる。それに何度も道を間違えることになり、一度間違えると戻ることが出来ない。それに至ってはならないところはで至った人間は人間としての威厳を失う。ですよね』
『ああ。君は人としての威厳を失っているがな。数十年前の暴走で』
『その時は申し訳ありませんでした』
『いいさ。君は思いが強いからな』
『よく言われます』
『そうか。そうだ。我からプレゼントだ』
指をパチィンと鳴らすと空から剣が降ってきた。丁度の重さで長剣いや太刀だった。
『これは?』
『君へ、神々からの贈り物だよ。大事に使ってくれ』
『はい』
『それと僕からは』
手を前に出してパチィンと鳴らすと僕に加護がかかった。魔法神の加護であった。
『いいですか?』
『ああ』
『俺からも』
『わしからも』
酒神と剣術神が加護をくれた。
『ありがとうございます』
『私からはこれと加護を、私の加護は普通の神と違って、特別な効果が多いの。ひとつが悪い女が寄り付かなくなる。二つ目はラッキースケベが増える。三つ目が運命の相手があらわれるよ』
『ありがとうございます』
『君は本当に素直だな』
『嬉しいですから』
『そうか』
恋愛神から直接渡されたものはよく分からないもだった。神々は笑いながらそのうち役に立つから持っておきな。
『はい』
『剣はストレージに入れておくから』
『はい』
『それと相手からの鑑定で私たちが与えた加護が見えないように神の力で隠蔽したから安心して』
『ありがとうございます。本当に助かりました』
『またいつかね』
『はい』
人間界に送り返された。
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