第5話





「お疲れ様」




「あ、すいません。聖女様、この人と知り合いで?」




「それ本気で言っているの?騎士団長」




「え」




「この子こそ十二年前の魔王を討ち取った本人よ」




「その方は歳が言っていたはず、この人は若い」




「その情報自体の間違えね。昔の名前は忘れてしまったけど、そのギルドチームの中で最年少よ」




「え、」




「それも剣も魔法も操れる天才児よ」




「ならこれまで魔法の技術を受け継がずにどこに」




「先程の話からもわからなんのか?お前記憶改造してやろうか?」




「え」




「そんなことできるんですか?」




「奴なら可能だろうな」






「少しおとぎ話でもしようか」




「え、急に」




「十二年前、帝国と玲弥国が戦争をしていました。そこにあいるニャンというギルドの中でも最強レベルの人間が集まったギルドチームがありましたとさ。その人たちは盗まれた聖剣を探して旅をしました。その戦争に魔族という横槍が入りました。その頃、あいるニャンはその戦争を楽しんでいました。そこの横槍に許せずに反撃を開始しましたとさ。本基地まで攻めていき、魔王を含む魔族を駆り尽くしました。魔王城を出たところで赤ちゃんの鳴き声が聞こえてきました。それを察知した魔塔がそれを救いに行きました。それを会議の結果、魔塔が育てることになりました。めでたし。以上」




「なんだその話」




「これまで俺に起きた出来事です」




「え」




「文献か、そのくらいの騎士団の人に聞けば分かりますよ」




「そうか」






それで今回呼び出したのは?」




「魔法飛行機があるのは知っているか?」




「一応は」




「あれに付与する飛行魔法を作って欲しい」




「今、教師をしている炎龍に頼もしめよ」




「あいつは飛行魔法は扱えない。それにフライとかは秘宝魔法、古代魔法だから文献がないだよ」




「それで森の中から呼び出されたと」




「ああ」




「本当に迷惑な話だな」




「いいのか?推薦消すぞ」




「わかりました。そのかわり報酬は予定されていた額の二倍は貰うからな」




「それでやって貰えるなら構わない」




「それでその飛行船は?」




「必要か?もう付与できるのか?」




「お前、何考えている付与するのにその物質と重さと質量を図るのは魔法の常識だぞ」




「すまん」




「で、どごだ」




「今、この国にないだよ」




「じゃあ、どこにってもしかして玲弥国家か?」




「よく分かったな」




「行くぞ」




「少し待て、川を挟んだ向こうだぞ。フライを使うにしても魔力が持たない」




「違う。中庭に案内しろ。それと騎士団長に頼みたいことがある」




「なんなりと」




「なら、今、魔印剣学院のナミという受験者に伝えて欲しい」




「はい」




「数日帰らない。それと何かあれば騎士団を訪ねろと伝えてくれ」




「はあ!!」




「行くか」




王様に中庭に案内してもらった。思った以上に広くて安心した。空を向いて叫んだ。




「紅竜」




数分するとすごい風が起きた。上にでかい影ができた。紅竜が地面に着くと、騎士団と王様が警戒していた。




「安心しろ、こいつ俺の眷属」




「いつ作った」




「作ったってよりも捕まえて手懐けた」




「いつ?」




「お前らと旅をする前だな」




「見たことないぞ」




「そりゃあ、そうでしょうね。見せたことないから」




「そうか」




ピョイと背中に乗った。王様も乗った。姫も登ろうとしていたけど登れてなかったから降りてお姫様抱っこをして乗せてあげた。




「ありがとう」




「いいよ」




「王様」




「なんだ」




「あなたが行かれると困ります。今日はこの大切な資金源となっている方との会談です」




「レイ、どうにかならねえ」」




「眷属召喚」




空中に魔法陣が出て女と男がひとりずつ出てきた。男の方はスーツを着ている。




「お呼びでしょうかご主人様」




「お久しぶり。お前会談得意だよな」




「はい。あなたの資金面の管理をしていたので」




「それならよし。二日間、この国の資金と安全は任せた」




「はい。お任せ下さい」




「乗っ取ろうとするなよ」




「はい。全て仰せのままに」




「私は娘の方ですね」




「ああ。何かあれば直ぐに通信魔法を飛ばせ」




「はい」




忍者みたいに飛んで行った。




「本当に大丈夫か?」




「大丈夫さ。セバスに任せておけば、少しスパルタかもしれんがな」




「え」




「頼むぞ」




「グウウウ」




バサバサ。飛び立った。結界を簡単にすり抜けた。結界というものは個性が出る。その人によっては抜け穴ができてしまう。多分炎龍が貼ったな。これほどあまい張り方をする人を他に知らない。




「僕、寝るから何かあったら叫べばこいつがどうにかするから」




「わかった」




ストレージからお布団を出してかけて寝た。ぐうぅぅ。




それから二日間連続で海の上を飛び続けた。起きると二人とも寝ていた。このままだと落ちるから糸魔法で固定しておいた。それからまた寝た。着くと、




「グッゥウ」




「着いたか」




「着いたのか?予想以上に早いな」




「そうか。少し遅いくらいだ」




「お前は何を求めている」




「迅速な対応」




「なんだそれ」




「村長の教え」




「ああ。あの町の」




「ああ」




王城の広い位置に行くように命令した。



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