想い人

バブみ道日丿宮組

お題:愛の電撃 制限時間:15分

想い人

 彼女が結婚したとき、俺はどんな顔をしてただろうか。

 笑ってたのか、泣いてたのか、それとも怒ったのか。

「……はは」

 今の自分の顔はわかる。

 なにせ鏡の前にいる。

 顔色が良くも悪くも見えるが、それも仕方のないこと。

 人を殺した後に笑顔でいられるはずはない。殺した直後は爽快感でいっぱいだったが、時間が経つにつれてなんともいえない感覚が手に残ってるばかりだ。

 洗面所で顔を洗うと、部屋へと戻る。

 そこにいるのは、彼女の結婚相手。

 息は当然してない。首を切られた状態でできるものがいるならば、それは奇跡ともいえるだろう。

「……」

 切り取った頭は、驚きの表情で固まってる。

 触っても変化しないのは死後硬直というやつだ。

 殺してやりたかったと思ったが、まさかしてしまうとは思わなかったな。

 それだけ彼女を愛してたかと疑問にも思うが、してしまったことを考えると、そう思わざるを得ない。

 問題はこの死体をどう片付けるかだ。

 部屋の中は血溜まりだらけ、異臭もしだした。

 これと毎日過ごす気にはならない。生きてたとしても一緒にいる気にはなれない。

 こいつは彼女を奪ったやつだ。なら、この結果は当たり前のこと。

 なら、分解するか。

 首を切断するのに使った工具はまだまだ現役。四肢を切り、内臓をえぐり出すことも可能である。

「……しまったなぁ」

 血だらけになるのであれば、お風呂場で殺せばよかった。

 まぁ……殺すつもりで呼んだわけでもないし、殺すつもりで工具を用意してたわけじゃない。

 たまたまだ。

 たまたま殺したいと思ったからだ。

 そうであるならば、仕方のないことだ。

 袋詰にして、いろいろな場所に捨てればいいか。

 そうだ。とりあえず、スマホを破壊しよう。警察に発見されるわけにもいかない。

 俺は優しい先輩として、彼女の側にい続けなければならないのだから。

 工具を押し付け、切断する。

 最後には水の中に落とした。

 これもバラバラにして捨てるか。意味があるとは思わないが、しておくことにこしたことはないだろう。

「さて……」

 はじめるとしよう。

 肉の解体は何もこれがはじめてじゃないのだから。

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想い人 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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