アテナたんと定置網漁
「父上、大漁ですよ」
「たいりょうです!! いきがいいのです!!」
イイ笑顔で上機嫌に見せてくれた、網の中でジタバタと激しくもがく「獲物」は、もちろん魚などではなく……
「むがー、むがむが、む~~!!!(テメエ何しやがんだ、さっさと離せ!!!)」
「んむぅ、むぅぅ、むぅぅ(ねぇアナタちょっとした出来心なのよ、赦してちょうだい)」
言わずと知れた
何しろ
「うっわ、兄上だっさ。さすがに退くわ~」
その数少ない例外の一人、
ワシの息子たちの中でもアレスと並んで一二を争うイケメンだが、芸術家肌のコイツは陰惨で血生臭い激戦が大好きな
逆に、
当然の事ながらこの場は全面的にヘパイストスの味方だ。
「まったくもって穢らわしい......同じ十二神とは思われたくありません」
吐き捨てるように言うのは男嫌いで有名な
「おい
「いえいえ、アフロディーテ様はこの期に及んでもアレス様と離れがたいようで。私は彼ほど閨の技に自信がございませんのでご遠慮申し上げます」
からかうアポロンにヘルメスが皮肉たっぷりに答えると、それまで笑いをこらえていた神々がたまらず噴き出した。恥をかかされた
「……あ、逃げた」
後に残されたのは、やはり全裸のままの
「とにかく、これだけ派手に不貞を働いたんだ。賠償金を払って離縁する他あるまい」
嘆息しながら
「追って沙汰するので、今日のところはいったん帰宅するように」
冷たく言い放たれたポセイドンの言葉に極東名物「赤べこ」のようこくこくと頷くと、アフロディーテは全身に網を巻きつけたまま、へっぴり腰でよたよたと逃げ出した。
この時のアフロディーテの全裸よりもさらに卑猥な姿をモデルに「全身網タイツ」なる衣装が地上で作られたとかいうのはまた別の話である。
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