アテナたんとカッコウ狩り
あれから数日。
「
あの日、アテナを連れていったん帰宅した後、奴は実にイイ笑顔でのたまうと、せっせと設計図を引き始めた。相変わらず物静かではあるが、なんとも言えぬ殺気が漂っており、神々の王たるワシですらそうそう声はかけられぬ雰囲気である。
「
何だか金ぴかのやたらと立派な鶏がばっさばっさとやってきて、人語で報告した。
あまりにデカい鶏が、鳥特有のつんざくような声でしゃべるもんだから、一瞬度肝を抜かれてしまう。
こいつ誰だっけ……と考えることしばし。
そう言えばヘリオスの使いだと思い出し、跳ね上がったまま飛び出しそうな心臓を必死でなだめる羽目になった。
空から地上の全てを見渡しているせいか、ヘルメスと互角に情報通で、時々こうやって他の神の悪さを告げ口するのが悪い癖である。
……いや、冥界の王が
「ヘパイストスあにうえ!!おいいつけどおり、アレスあにうえに『アテナのあたらしいどうぐをつくってもらうから、とうぶんのあいだヘパイストスあにうえはおうちにかえれません』っておつたえしました!!」
「よし、でかしたぞアテナ」
未だにひらがなでしゃべっているアテナは成長に応じてかなりの長文を話すようになったため、読みづらいことおびただしい。
「いやカタカナや句読点も使いこなせるようになったから、かなり読みやすくなりましたよ?」
そういう問題ではない。知恵と軍略の女神がこれで良いのか。
「アテナはひらがなでもちゃんとしんぼうえんりょをめぐらせているからよいのです!!」
……さよか。こいつの巡らせる深謀遠慮とはとりあえず
気のせいですね、わかりましたもう言いませんから
「よし、完成!これで奴らを文字通り一網打尽にするぞ!」
何やらヤバそうな笑みを浮かべた
「ヘパイストスあにうえ!さっきアフロディーテさまとアレスあにうえがそろっておさんぽにでかけました!いまがチャンスです!!」
どうせろくなものではないから正体を知りたいとは思わないのだが、嫌でも思い知る羽目になるのだろうなぁ……。ワシはそこらの花を観察しているふりをしながら、万事見なかった、聞かなかったことにできないかと思いを巡らせるのであった。
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