アテナたんともう一人の兄上

 前回アレスのペットを全滅させてしまったアテナ。ペットの放し飼いは迷惑だから注意してくると飛び出していったが……果たしてまともに聞く耳を持つだろうか?


「アレスどの!!ペットのはなしがいはいけません!!やせいかしてにんげんどもがたいへんなめにあってたではないですか!!せきにんをもってうんこのしまつをしてくだい!!」


「うわなんだコイツひらがなでえんえんしゃべるな」


 いきなり突貫してきたアテナにびっくりして飛び上がる、見てくれだけは精悍な印象の超イケメンことワシの長男=闘神アレス。お前もほとんどひらがなでしゃべってるような気がするんだがワシの気のせいか?


「いきなりお前なんなんだ、どこのどいつだ?主神ゼウスの嫡男であるこのアレスに偉そうに」


「ちちうえのちゃくなん?」


「オリュンポスの支配者にして神々の王である主神ゼウスと、権威の象徴たる神々の女王ヘラの嫡子がこの俺様、闘神アレス様だ。ちなみに戦乱神エリスは俺様の妹な」


「なんと!!えりすあねうえのおにいさまならあてなにとってもあにうえです!!

 アレスあにうえ!!」


「いきなり兄上とか言い出してもおまえなんか知らんぞ……一体どこのだれなんだ?」


「あたしはオリュンポスのしはいしゃゼウスと、ティターンのおうじょメティスのむすめアテナです!!」


 どうだ!!といわんばかりの顔でつるぺたんなおむねを「えっへん」とばかりに張っているアテナ。


「そうか!!そういえば俺様ににてけっこう美人だな!!父上はあちこちに子供がいすぎて兄弟がどんだけいるのか俺様もよく知らんのだ!!これからよろしくな、妹よ!!」


「はい、あにうえ!!」


 脳筋どうしすさまじいテンションで意気投合したらしい。


「ところで妹よ、ここには何の用で来たんだ!?」


「はい、ペットのはなしがいをやめてくださいといいたくて!!スティンファロスであにうえのペットのとりがだいはんしょくしてたいへんだったのです!!へぱいすとすあにうえがひみつどうぐをはつめいしてくれてなんとかたいじできたのですが、どくのうんこがいっぱいおちててたはたがつかえないのです!!」


「だからひらがなで延々しゃべるな!!せめて句読点を打て!!というかスティンファロスって俺様の青銅の鳥?え?ぜんぶ退治しちゃったの!?毒の息とか吹いてかっこいいから気に入ってたのに!!」


「きにいってるならきちんとつないでかってください!!はなしがいはめいわくです!!ふえすぎないようにするためにペットかうまえにひにんしゅじゅつするのもじょうしきですよ!!」


「うっさいな!!俺様のペットなんだからどこでどう飼おうが俺様の勝手だろ!?」


「だめです!!にんげんがこまってあやうくくにがほろびるところだったんですよ!?ちちうえにはじをかかせないためにも、マナーをまもってください!!」


 いかん、さっそく兄妹喧嘩になっておる。まぁ、脳筋身勝手俺様のアレスと同じ脳筋でも真面目っ子優等生のアテナではそりが合わんだろう。

 産まれて初めての兄妹喧嘩はヘパイストスとエリスがそれぞれを迎えに来て強制的に連れて帰るまで続いたのだった。ふぅ、先が思いやられる。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る