第5章 スクープは爆発物の様だった。
第1話 仮面夫婦の生活
現在は一応フリージャーナリスト。
誰もが振り返るほどの美貌を持ち、隙の無いメイクがそれを際立たせて、ある程度年齢を重ねた現在でもそれは健在である。
仕事ぶりは大胆かつ真面目で、一言で表現するとデキる女であった。
紙面等で見えない裏の事情に執着しているところがあり、ある意味ジャーナリストは天職なのだと思わせる。
大手商社の夫を持ち、結婚を機に新聞社を退職。
退職理由は夫から家庭に入ってほしいと希望された為。
現在夫とは別居中であり、夫との間に子供はいない。
離婚をして自由になりたいと思っているが、夫が離婚に消極的な様である。
夫と別居を機にジャーナリストになる事を決意して現在に至る。
「あたしと
「
「だけど妊娠の兆候は全く表れなかった。」
「結局、あんた達も知っての通りあたしには未だ子供が居ない。」
「子供を望んでいた
よくある話である。
望んでいる子供が出来ず仲が冷めてしまう。
俺も
子供の存在が俺の自尊心を保つ一つの言い訳になると信じ込んでいた。
だが、俺と
今になって思えば、俺は最低の行動をしたと後悔している。
そして、別れたのは俺が38歳、
俺は
そして別れを切り出したのは俺だ。
その事に対して繰り返し後悔している。
そして俺は最低だと自己嫌悪に何度も陥った。
俺と
だが、
今の俺には
「
「
「おいおい、出て行くだけでご無沙汰無しかよ、無責任だな!?」
「一応ね、
「あたしもね、最初はやり直す事を何度も提案したわ。」
「だけどその提案はあいつは拒否した。」
「同居してないのなら籍入れてても仕方ないから、離婚する提案もしたわ。」
「だけどそれも拒否された・・・。」
「何だよそれ!? やり直すのもダメ? 別れるのもダメ? 意味解んねーよ!」
その姿を見ていた
「
「だから離婚するとその役員の顔を潰すと考えている居るのではないかと思うのよね・・・。」
「
「だけど見栄なんかはっちゃって、仲人を会社役員にお願いしたから離婚も出来ない。」
「まあ
その瞬間の
その表情を見て
「何なんだよ・・・旦那は好き勝手しているのに別れられないって・・・。」
「そうだよな、最初は好き合って結婚した結果こうなるって、想像も出来なかったよな・・・。」
離婚歴のある
だが、
「好き合っていたか・・・。」
「あたしは、
「好きだったんじゃないのかよっ!」
「だってさ、
「結局、金かよ!」
「そんなんで、決めるからこんな事になるんだよ!」
「金かよって、どうせ何十年も連れ添ったら、気持ちは冷めるんだから無いよりある方がいいでしょ!?」
「確かに金は必要だが、それが人を好きになる理由じゃねえ!」
「別に付き合った相手が、偶々お金持ってたってだけ! 確かにそれは結婚する決定打となったけど・・・。」
「たまたまなんだな?」
「ええ、たまたまよ。」
「まあ・・・
「そうそう、嘘つかないと誤魔化せない時は、あたしは黙ってるだけだし。」
「まあ、お前は昔から言いたい事は躊躇する事なく言ってたからな・・・それこそ嘘の必要ないくらいに・・・。」
「まあ、あたしが躊躇なく言ってるのは
「他の人には、いくらあたしでも多少は気を遣うわよ!」
「俺だけかよ!」
「ひでえ女だな!」
「せっかく、人がお前の結婚の同期が不純じゃないって認めてやってるってのに!」
「あら、ありがとう!」
「下品な頭で理解してくれて!」
そして急に目を逸らして小声でつぶやいた。
「でも結婚の理由はやっぱ不純だったのかもね・・・。」
その言葉を聞いた牧田は引くに引けなくなったのか更に声を荒ぶらせていた。
そして、いつもの二人の関係に戻っていた・・・。
「だああああっ!」
「てめえら、うるせえ!」
家主である、俺の叫びに二人共静かになった・・・。
「しかしな・・・どうやったら旦那は別れてくれるんだろうな?」
俺は
「お互い情も無く、別居して居て子供もいない・・・。」
「別れる理由しか思いつかねーよ!」
「離婚せずに別れる方法ってないかな?」
俺はバカな質問をした。
「そりゃー、確か相手が死ねば離婚せずに再婚も出来るな。」
夫婦の死別は確かに籍からは消えない。
離婚には相手の同意が必要でお互い同意すれば籍を抜くことが出来る。
籍を抜くといっても戸籍には元の相手の名前は残っており、その名前の欄に
いわゆる離婚経験者がバツイチと言われる言葉が生まれた理由である。
日本では重婚は認められていない。
そう考えると死別となり残された相手は、再婚は出来ないのか?
そんな事はない、死別の場合は特別に再婚は出来る。
まあこの場合も死別した者の名前は残るのだが、しかも
籍を抜くには本人の意思が絶対に必要だ。
死者からはそれを聞くことは不可能なので、こういう処置が取られているのだろうか?
「もしかして・・・。」
「三島・・・お前の旦那、お前が死ぬのを待っているのかもな・・・。」
大真面目にバカな話をする
その言葉を聞いて、
「バカですか・・・、
俺も
「そんなの待ってたら、
「なら、三島・・・旦那に殺されるかもしれないな・・・。」
本気で言ってるのだろうか?
「殺人じゃない! 会社自体に居られなくなるわ!」
「あのヘタレな
馬鹿馬鹿しい会話であった。
しかしこのくだらない会話がこの先、
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・
杞憂に終わった・・・。
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