第20話 それは静かに。
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「――――!?」
「――なさい」
「起きろぉぉぉお!!」
「んあ?」
やっぱりループした。
「なんでこんなに呼んでんのにぐっすり寝てられんのよ」
「……あ、なんだ。ゆいか」
そういえば前回はちょっとミスって嫌われちゃったんだよな。
「はぁ……。ほら、遅刻するから!」
なんか、いつものループより身体が疲れている気がする。やっぱ前回の失敗を引き摺っているのかもな……。
オレは布団の中で両手をにぎにぎした。
よし。とりあえず、ゆいには七日、八日とかに訊こう。また、初日からバンバン聞いてたら嫌われてしまう。
ほんと、このループはゆいという心の支えがないと本当にきつい。
十月一日。
「きゅー太。今日ギリギリだったな」
「ゆいが朝起こしてくんなかったからな」
「……あんだ? それは自慢ですかコノヤロー!」
肩に腕を回してきたかと思うと、いつも通り首を締めにかかってきやがった。
「お前前世どんな徳を積んできたんだよ。仲のいい、しかもルックスも普通にいい異性の幼馴染とか、何生に一度の奇跡起こしてんだよ」
さぁ……もう数え切れないくらいですよ……。
「ちょっ、痛い痛い。ギブギブ」
「いいなぁ。俺も幼馴染に起こしてほしいぜ」
「バカヤロー。ンなわけねぇだろーが! お前も幼馴染を作れば解る。こんなもんだ」
「……? え? ん?」
「だからチゲーって。付き……あれ? どうしたお前?」
やべ。一言ずらしたか? こいつもこいつでいつもの間抜けな顔がいつにもまして間抜けてる。
ま、多少ミスってももとの路線に戻るから問題ないな。
「……いや、お前こそどうした。とうとう頭がおかしくなったか?」
「ははは。そうかもしんないな! お前のが感染ったかもしれんな」
「オイソリャドウイウイミダー!」
この行く川の流れのような棒読みに近いフレーズ。
これは初めてのパターンだよな……?
オレはいまのフレーズを『情報』の海から引っ張り出そうとしたが、ふと気になることがあった。
「あれ? なんか今日少し曇ってね?」
「……あ? そうか? まぁ、少し雲はあるけど、許容範囲だろ」
いや、そうなんだが……。いつもの十月一日より曇ってる気がする……。
「……まぁ、そうだな」
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