第17話 調査開始。
オレは女神に啖呵を切ったわけだが、ループすることをこのまま甘んじているわけじゃない。
オレが目指すのはゆいと共にループのその先に進むこと。
女神は言った。ループの先へは二人一緒には進めないと。
ループを止めるにはゆいを殺さなければならない。
殺さなければ、オレが死んで、そしてループする。
選択肢は『殺す』『殺さない』で、オレは『殺さない』を選ぶ。
「まずは、ゆいがどうやって世界をループさせているのか調べないとな」
ループを止められる方法は知っている。
でも、その方法じゃダメだ。別の方法を探すしかない。
そのためにはループについてもう少し知っておかないといけない。
どうしてゆいがループの中心にいるのか。
本当にゆいがループさせているのか。
もし違ったら、今度こそあの女神を殴り飛ばしてやる。
「あ、ゆい、あ、ええと最近調子はどうだ?」
ゆいはジト目で怪訝そうにオレを見る。確かにこの質問はオレたちの間柄では不自然極まりない。
「なーに? 思春期の娘を持つ父親みたいな質問だね」
「言い得て妙。何か変わったこととか、面白いこととかないか?」
「そーね……。強いているならいまのきゅうちゃんとか?」
「……あ、てことはいつもどおりってことか?」
「そうだね。いつも通りが一番いいよ」
ゆいは弾けるようにはにかむ。
オレも心底そう思うよ。ほんとループとかやってらんないからな。
「そ、そうだよな」
やっぱり自覚はないか。
「うん……。で、急にどうしたの? 何かわたしに後ろめたいことでもしたの?」
いや、後ろめたいことはたしかにあるのですが……。
でも、それをゆいに話したところで、頭の病院に連れてかれるのが関の山だろう。
「ん? ああいや。とにかく何か変わったことがあったら、すぐにオレに教えてくれ」
これ以上踏み込めば変に勘ぐられるし、別にループできる回数に上限はないんだ。慎重に行こう。
「え、うん」
「それじゃ!」
とりあえずここは撤退だ。オレは廊下を駆けて男子トイレに直行した。
「あ―――。ないわけじゃないんだけどな……」
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