第2話 姫を救出作戦

次の日、クラス全員で海に行き、

撮影が始まった。


「よーーいスタート」





学校から帰る途中、

海で知人Aと遊ぶことにした。

『結局、お前、テストはどうだったの?』


知人Aが聞いてきた。


『25点。そっちは?』


『23点』


『やったー。2点勝ったー』


知人Aが僕に水をかけてきた。


『今回はちょっとお腹痛くて』


『またそうやって嘘ついて……』


水をかけあい、

気がつけば両方ともずぶ濡れだった。


『楽しかったな』


ずぶ濡れのまま帰ろうとした時、

萌音を見つけた。

その隣には翔太がいた。


『あいつらまさか……』


知人Aがそう呟いた。

とても悔しくなった。





「カッーート。最高だわ」


いつになっても緊張する映画撮影。

萌音が僕の方に近づいてきた。

「本当は昨日、

ここに行くはずだったのにね」

「うん」

まさか、萌音は僕のことが好きなのか。

少しだけ期待してしまった。

しかし、それは呆気なく終わりを迎える。

次の日、教室に行くとザワザワしていた。


「何があったの?」


空に聞いたが、答えてくれなかった。


「ねえ、教えてよ」


「お前が1番辛いかもしれないが、

萌音と翔太が付き合ったらしい」


「え……」


頭の中に衝撃が走った。

うそだ。嘘だ。

萌音ロスが起こってしまった。

あの映画通りになると……。

一旦忘れようと空を見上げた。

ここ最近撮影があるため、

疲れが取れていない。

今日も撮影があるし。

よし。撮影に集中しよう。


「よーーいスタート」





あれから萌音は学校に来なくなった。

なんだか嫌な予感がしていた。

いつも通り窓から空を見上げていると、

1匹の鳩がこっちに近づいてくる。

勢いよく向かってくる。


『何?』


鳩は窓のヘリに座った。


『萌音様が連れ去られてしまった』


どこからか声が聞こえたが、どこか分からなかった。


『どこから声が聞こえるんだ?』


『ここだよ』


『どこだよ?』


『鳩だよ!』


鳩が喋るなんて聞いたことがない。


『嘘つけ!』


『本当だよ。それより萌音様が』


萌音様?


『何で萌音様って様をつけるんだよ』


『萌音様は私の王国の王女だからです』


もう意味が分からない。


『わかりました。全て話します』



そして、萌音の過去が話された。


『5年前、ソウル王国では

100人が住んでいた。

その1人1人が人間であり、魂を持っていた。

魂を取られると記憶を失い、

体力がなくなる。

さらに狼に狙われやすくなる。

なぜなら魂は美味しいのだ。

ただし、魂を持つものは強くなれる。

また、魂をとって誰かに渡すことも出来る。

そんな王国の王女だったのが

アンドリューモネだった。

王女の魂は人の5倍大きく、

狙われやすくなる。

萌音様は国の事を

第一に考えていろんな法律を出していた。

そんなある日、1人の悪の魔法使いが現れた。

悪の魔法使いは

僕たち住民を鳩にしてしまった。

そこに、1匹の狼が現れた。

狼は萌音様を連れて行った。

なんとか助けに行こうとしたが、

狼は強かった。

結局、みんなで助けに行った時には

萌音様は魂を食べられてしまい、

記憶を失っていた。

1匹の鳩が生贄となり

魂を取り戻すことが出来たが、

また狙われてしまうと思い、

人間界に送った。

人間界に行き、

名前を萌音と名乗り海洋高校に入った。

その狼が魔法使いの仕業で

人間に化けてたのです』


『それがどうしたんだよ』


『その狼が翔太なのです』


『え……』


『早くしないと……。

今、魂を取られてるかもしれません』


『記憶を無くしてしまうのか?』


『はい。そうです』


『でも、どうしたら良いの?』


『勇者になるのです』


『勇者?』


『はい。こっちにも

協力したいという人がいるので』


訳あり?不安が募ってきた。


『こっちにきてください』


そう言われ、

グランドに行くと1人の黒い女が立っていた。


『お前に魂を授ける。私の魂と引き換えに』


『そんなことをしたら……あなたは?』


『私は姫のためなら

命を捧げても良いと思ってる』


『何で……』


『私は姫のお母さんだから

行くぞ。1.2.3.』


突然、自分の体が光り始めた。

気がつくと勇者の姿になっていた。

右腰に剣を持ち、青い服を着ていた。


『うわーすげー』


バタン


黒い女は倒れてしまった。


『大丈夫なの?鳩さん』


『とにかく今は姫の救出を

目指してください』


『分かった』





「カッーート」


改めて思うがこの話は独特すぎてすごい。

これを作った人を尊敬するわ。

思ったよりスムーズに行き、

1時間目が始まる前に

全て終わった。

あとはクライマックスだけか。

1時間目が始まった。

周りを見ると萌音がいなかった。

熱が出たのかな。風邪をひいたのかな?

隣の空に聞いてみた。


「なあ、萌音は熱?」


「それが分からないんだよ」


「そうか」


まあすぐに治るだろう。

そう思っていた。しかし、予想は覆った。

1週間は来なかった。

そして、空から電話が来た。


「やばい。萌音が………入院した」


「え………」


僕は萌音がいる病院へ走り出した。

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