何分何も知らない物で


「よーしこれでいいんだな!良いんだよな!」


ダメだ分からん……多分説明書を見るにここに入れるってのは分かるんだが……この後どうすればいいんだ?電源はどこだ?と言うかこれ何?寝ればいいの?ベッドタイプって聞いてたけど寝ればいいんだよな?あぁ何にも分からん!


「と言う訳で助けて」


「えぇ……俺ぇ?」


「あぁすまん『晴夜はるや


コイツは『白井しろい晴夜はるや』。俺の友人であり隣の部屋でもある。中々面白い奴であり、同じ高校である。ちなみに妹がいるらしい。通称『シロ』。一回合ったことがあるが凄いぷにぷにしている。


「はぁ……あぁこのタイプね、これはここに電源があるからゲームしたいならここ押せばいいから。普通に寝る場合は電源を付けずに寝ればいいんで」


「悪いな毎回」


「ま、隣だからな。今度飯でも奢ってくれや」


「あぁ分かった!」


さて準備も終わったところで!早速やっていきましょう!ここを押してベッドに寝れば大丈夫!……もうゲームの中?確かログインって言うんだったか……うん、多分今ログイン中なんだろうな。


「おぉ自由に動く!自分の体みたいだぁ……」


『ようこそ初めましてスカイ・マジックへ!私はチュートリアル妖精の『テニャー』です!』


「へーテニャーちゃんか、よろしく!」


『はい!それでですね!ここではゲームの中へ持っていくアバターを作る場所となっています!』


「アバター……?」


『まぁ分身みたいなものだと思ってください!』


よく分かんねぇけどそう言う事なんだろうな……要するにもう一人の俺って訳だな?成程なぁ。そりゃ同じように動くよなぁ。


「とりあえず現実と同じ感じで作ってくれない?」


『えぇと……あっ、ベッドタイプですね!それでは全身をスキャンいたしますので少々お待ちください!』


なんだか凄いんだなぁ。……結構早めに帰って来たな。


『はい!スキャン完了です!と言う訳でこちらがアバターになります!後は付けたい物を好きに付ければ完成となります!』


「へー……ちょっと色々見せて?」


『はい!』


ふむふむ……まぁ俺は何もつけない素の状態で行くのが一番だと思うな。個人的には……ほら、俺の体を一番知ってるのは俺だけだし?そう言う意味でもほぼ何もつけないで行くべきだと思うんだよね知らないけど。


「とりあえずこれでいいや」


『成程ほぼ素の状態ですね!問題ありません!ではお次にこのゲームについて解説させていただきます!』


「ゲームの解説……と言うとなんだ?」


『単純に言えば……実はこのゲーム、ステータスという概念がありません!』


「……それが何か?」


『えっ』


ステータスって何……?具体的に……何?いやマジで……何?


『ま、まぁその……簡単に説明させていただきますと……その、例えばその人の強さを可視化したものと言いますか……』


「あーそういう奴……成程大体分かったよ」


それが無いって事は……強さが無いって事か?


『このゲームでは身体能力がそのまま出力されます。例えば全振りとかが出来ない、と言う訳ですね!後付けで強化は出来ますが、それはステータスとは違いますね』


「要するにもし仮に俺がグローブなんかを付けたら拳系が強くなるって事?」


『そうです!ですので様々なスタイルがあります!』


「成程なぁ……」


スタイルってなんだ?まぁ今の話を聞いていると……要するに色々武器があって、その武器を使って強くなるって訳だな!よーし……あっまだあるみたいね。


『そして今から戦闘のチュートリアルを開始させていただきますが……例えば格闘技などはされているでしょうか?』


「うん、やってるね」


『であれば大体分かると思いますが……このゲームはかなりリアルに近い挙動と取る事が出来るのです。ですから自分の動きを完璧に再現出来るという事ですね!』


「要するに……俺の特技が完璧に再現出来る……と」


『はい!それではあちらのかかしを好きなだけボコボコにしてください!』


あちらの……あぁダッサ!なんだこの妙にムカつく顔のかかしは……よしぶん殴るしかないな!まずは適当に……顔から。っと、かなりいい感じに入ったんだがまるでダメージになってないような気が……なんかムカつくなもっとやるかじゃあ表我流叩き込んじゃおうかなぁ!


「表我流一の拳……『一害いちがい』!」


どぉっ腹に穴開くはずなんだが……やっぱこのかかしクソかてぇなぁ……まぁいいやこの際俺がまだ習得してない五の拳まで試めさせてもらおうじゃないの!


~十分後~


「クソッバカみたいに硬い!」


しかも五の拳が成功したのに全然意に介してないんだけどこのクソかかし!心が折れ……折れ……折れない!これが諦めない心!と言うかそろそろ始めるか……流石にこれ以上やるとなんか無駄に時間がかかりそうだし……明らかにテニャーちゃんもはよ行けって感じの目で見てるし……


「さ!それじゃ始めるとしますかね!」


『頑張ってくださいね!』


「あぁ!行って来る!」

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