第6話
翌朝。
今日もいつも通りの朝……だと思ったのだが、今日はちょっと違うらしい。
「――は、隼人、起きないと遅刻するよ?」
聞き覚えのある声に、俺の頭は一瞬にして覚めた。
「おはよ……って!?ど、どうして結月がここに!?」
目の前にいるのは、銀髪少女の結月だった。
あまりの驚きで、頭はもちろんのこと、目までも一瞬にして覚めた。
「あ、えっと……ゆ、結衣が起こしてこいって言うから、その……」
結衣がくればいいものを、なぜわざわざ結月に言ったのだろうか。
いや別に、結衣の方が良かったなんて考えはないからな。ただ、俺と結月は仲がよくないないから、こうして結月に起こされるのは……。
「……あぅぅ」
俺のベッドの上でたいく座りをしながら、小さな声で唸っているように思える。
「あ、えーと……」
白くてすらっと伸びた足は、ちょっとエロいように思える。
「……ど、どこ見てんの?」
「はっ……!?」
い、いかん、俺はどこを見てるんだ……。
「と、とにかく!朝だから早く降りてきてよ」
「あ、は、はい……?」
ちょっと機嫌が悪そうにそう言うと、早足で俺の部屋から出て行ってしまった。
「うーん……まだ仲良くなれないか」
結月と仲良くなるにはどうしたらいいのか。これから考える必要があるな。
「―—あっ、お兄ちゃんおはよっ!」
寝癖を手で直しつつ、リビングへ向かうと、真っ先に結衣が俺の方に向かってきた。
「お、おはよ……ってか、なんで俺の部屋に結月が……」
「ああ……お兄ちゃんと結月にも仲良くなってほしいと思って、わざとお兄ちゃんの部屋に行かせたの」
だから結月が……。
「それで、仲良くなれた?」
「いや、ほんの数分で仲良くなれるわけないだろ」
「そっかぁ、それは残念」
ほんとに残念に思ってなさそうだけど。
「まあとりあえず、朝ごはん食べちゃってよ。結月と仲良くなる日は、まだあるでしょ?」
「……そうだな」
結月と仲良くなれる日が来ることを信じているが、はたしてそんな日は来るのだろうか。
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